雪彦山クライミング(交流会)


松林

2022年10月22日(土)~23日(日) 係:松林

参加者:吉村、姫路岳友会6名

<行動記録>

今年は人数を増やして雪彦へ行くぞー!と意気込んでいたが、各々都合が合わなかったり、田野さんも入院となったりで、たったの2人となってしまった。一度は中止も考えていたが、姫路岳友会の方にルート案内やパーティ編成を考えていただいていたので、なんとか実行に結び付けることができた。

小谷SAを5時出発でスムーズに進み、7時半過ぎには雪彦山の下の駐車場に到着。姫路のメンバーが集まって賀野神社横の駐車場へ移動。大曲の登山口から三峰取付きへ。

吉村さんは杉田-後藤パーティに入り、三峰一般ルートへ。“一般”ってルートあったかいな?と思っていたが、そこは我々が今まで“三峰東稜”と呼んでいたルートだった(確かに登山体系のルート図には“一般”と書いてある)。

私は「A0で登れるはず」とのことで選んでいただいた“友人登路”へ。三峰南東面前傾壁の左端あたり。オリジナルルートは左の草付きバンドから取付くが、現在は1ピッチ目で5.11bの凹角から登るのが主流とのこと。先行の足立-山口パーティ(9:10ごろ登攀開始)に続いて、松林-塚本-田路パーティで登る。

先行リードの足立さんが核心部で脚をプルプルしていると、「ミシンを踏んどる」と、死語のクライミング用語が繰り出される。足立さんはA0で過ごしたが、私は消耗回避で迷いなくアブミを出す。この3~4ピン目間の核心部の頃はまだ良かったものの、壁が立っているために徐々に腕が消耗してくるのが“三峰一般”と似たところか。傾斜がきつい区間を過ぎた後の立ち木までの左上トラバース区間が遠く、腕と思考の疲労も相まってホールド・スタンスの適格な判断に時間が掛かったが、何とかテラスに辿り着く。

<友人登路1ピッチ目>

2ピッチ目は簡単な階段状のフェースだが、傾斜が緩くはない。1~2ピン目間が異常に遠く、慎重な登りを強いられる。これまた腕の疲労も相まって2ピン目に着いたところでホッと一息、ヌンチャクを掴んだ。筋トレをしない人間はこのルートを登るべきではないかも。

<友人登路2ピッチ目>

3ピッチ目の下部は先ほどの階段の延長上。ザラザラの流紋岩と花の落ちた石斛が点在する風景を楽しむ余裕も出てきた。左手に見える“一般ルート”の杉田さんの頑張りも伝わってくる。中央部では左からランペが現れ、左足をランペ、右足をフェース、の体勢で左上する。ここが気持ち良いが、その先のランペがフェースに吸収されて傾斜が増し、右上に切り替わる箇所がオリジナルルートでの核心(5.10b)。支点にヌンチャクを掛けた後、左寄り遠巻きにフェースを登ろうとするとホールド・スタンスがある。とのことだが、残パワー1pのためアブミで越えて終了点へ。先行の足立さんには、「午後の部は無しで良いんじゃないですかね?」と持ち掛けてみる。

<友人登路3ピッチ目>

4ピッチ目は簡単だったのか、あまり記憶にないが、左上気味に登って行き、厳しいハング部をA0で乗越す。この乗越し辺りでルートミスの注意要。乗越し後は終了点まで近く、あとは山頂へ歩き、先行パーティ、一般ルートパーティと13時過ぎに合流。プランどおり、皆で一緒にピークに立てて嬉しい。

<友人登路4ピッチ目(?)の山口さんを一般ルートより撮影>

三峰のピークからは、細い岩稜を伝って不行岳とのコルにクライムダウンできる。コルからほんの少し不行沢側へ下った辺りが取付きの、“不行岳南面左ルート”を紹介され、1ピッチ目だけ登ることに。出出しは壁が立っているので厳しそうに見えるが、見た目ほど難しくない。とのこと。ここはパワーが残っていた山口さんを煽ってリードしてもらう。対面の三峰側の稜線から良く見え、雄姿が映える。

<不行岳南面左ルート1ピッチ目下部>
<不行岳南面左ルート1ピッチ目上部>

年配組と足立さんには宴会準備で先に下山してもらい、残りの塚本さん、杉田さん、私の3人はトップロープで登らせてもらった。支点間が近くA0も多用できるが、私は腕もいくらか回復してきており、フリーで挑んだ結果、3箇所程のA0で済んだ。垂壁を過ぎ、すっきりしたフェースのクライミングに切り替わると非常に気持ちが良い。好ルートだ。ルートが35mでダブルロープを連結してのトップロープだったので、登りのビレイ時、ロワーダウン時にビレイヤー交代が必要だったり、また回収も合わせて時間がかなり掛かった。大曲の登山口に17時。

続いては某地に移動しての宴会。最近は姫路岳友会ではグルメメンバーが増えて食事も豪華になってきたとのこと。メインのおでんに加えて、鹿肉のユッケ&刺身も出て来た。吉村さんは塚本さんのリクエストに応えて広島名物の豚耳の“ノンカット”ものを持参しており、耳に耳を当てて記念撮影。22時ごろまで大いに盛り上がった。

<鹿肉のユッケやアマゴのイクラなど>

2日目はゆっくりしながらも8時前に大曲登山口を出発する。この日は田路さんの「広島の2人に不行岳のピークを踏んでほしい」の意を受けて不行岳へ。不行沢を詰めて、「いつもラッペルしていた壁を登れるのか?」という疑問が以前からあったが、斜めに走るバンドを登ることができる。ここでロープを出して1ピッチ目がスタート。先行が山口-杉田-吉村パーティで、松林-塚本-田路パーティが続く。支点間が遠いので、バランスに注意しながらいつものラッペル支点まで延ばす。

<温故知新1ピッチ目>

2ピッチ目は上方の草付きを左から回り込んでジグザグに進み、右手上の岩場をトラバース気味に右上して立ち木まで。

立ち木から左へ6~7m(?)歩くとドン突きで、ここから3ピッチ目。ビレイ点の木を利用して空中に体を投げ出し凸凹のリッジに乗り込む。リッジからいつの間にかフェースに吸収され、先行パーティと支点を追っていると、岩場と草付きの際を登る形となる。これが“北壁バンド”の下部なのだろう。この間は支点が取りにくく不快。トランシーバーから声がして「先行パーティのいるビレイ点まであと10m」と答えたところで、ルートミスが判明。先行パーティは“温故知新”、我々は途中で分かれて北東稜へ行くつもりだったが、私が分かれる箇所を聞いておらず前を追いかけ過ぎ、そのまま“温故知新”へ。

4ピッチ目で左手のフェースに出る箇所が“温故知新”の正式な取付きで、かつての“逆くの字ルート(中央ルート)”のフリー化にあたるとのこと。慎重に左手のフェースに移り、トラバース後、直上する。急に傾斜が増し、前日の疲れで腕の耐力が低くなっているのを感じたところでA0を発動しフォールを免れる。前のパーティが居る立ち木小テラスには入り難そうだったので、1段下の狭いバンド(恐らく渋滞待機用の支点)でピッチを切る。

<温故知新4ピッチ目>

次の5ピッチ目、“逆くの字凹角”は「クラックを使って登る」と本にはあるが、恐らくクラックを使うのは部分的だったのか記憶が薄く、1ヶ所小さなハング越えのムーブが厳しかった(恐らくここが核心)記憶がある。また、体が外傾した状態で次のホールドを探すが掴めず、見えないスタンスへ戻る際は大変だった。が、何とか解決して小テラスで5ピッチ目が終了。

<温故知新5ピッチ目の凹角>

6ピッチ目はフェースを数mを直上した後は傾斜が緩くなり、左右でルートが分かれる。右はボルトがそれなりにあったが傾斜が強そうだったので(後で聞くと右ルートはA0で簡単に登れるとのこと)、左寄りの傾斜が緩めのルートを選択。「左手に見える別ルートの終了点よりは右を行け」を守りはしたのだが、左ルートの途中から右ルートへ強引に合流することになり、ロープが重くなってしまった。終了点の少し前で更に傾斜が落ち、陽が射して急に激まぶ&激暑となる。もう少しの辛抱だ。

7ピッチ目は、10mちょっと岩場を登った後は樹林に入ってロープを流す。やっとのことで13時半にピークに達し、皆で記念撮影。喜びを分かち合う。

不行岳のピークからは大天井岳との鞍部までクライムダウンし、お助けスリングの掛かるフェースは登らず右手のギャップ渡りの後、ルンゼから樹林帯へ、少し登れば大天井岳のピーク。そこから少し北側へ稜線を進んだ後、地蔵岳との鞍部へ下る。後はお馴染みの下山路を辿り大曲に15時。

<不行岳から大天井岳を見る>

今回は、今までよりも厳しいかつ著名な好ルートを2本も用意してくださり、姫路岳友会の方には感謝し尽くせない。普段一緒に登らない方々とのクライミングや親睦会では新しい発見や学ぶこともあり、有益な時間になる。次は○○ルートへ、何処何処の山へ、等、今後の行きたいルートの話も出てくる。おかげで私のクライミング気運が高まってしまった。

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