冬合宿 中央アルプス(千畳敷~檜尾岳~檜尾尾根エスケープ)


2022年12月27日(火)~31日(土) (係)上田

参加者:吉村、西村

2022年の冬合宿は3度目の鹿島槍ヶ岳を計画していたが、年末寒波のため北アルプスは断念。南アルプスの甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳に転進することでほぼ計画が練りあがった時、なんと戸台~北沢峠が通行止めの情報が入る。

少し風が強いかもしれないが中央アルプスなら縦走できるかもと微かな期待をして千畳敷~檜尾岳~空木岳の縦走を冬合宿のルートに選定した。結果的に檜尾岳までは歩けたものの、強風のため檜尾尾根をエスケープし敗退となった。

なかなか年末年始の雪山は厳しい。

(12月27日)

8:00吉村車に乗り込み廿日市発、今回はメンバーが3人に減少してしまったため車中泊で高速道路の深夜割引を適用させてもらった。16:30駒ヶ岳SA到着。

(12月28日)

5:00起床、6:30駒ヶ岳SAを出発、7:00駒ヶ根高原スキー場駐車場に到着。8:15のバスまでには時間があるが、前回のサギダル尾根の経験から早めの到着、チケットの購入をしようということで菅ノ台バスセンターに向かう。

結果、今回は一番乗り。年末だからか2月に来た時よりは人気が少なかった。バスとロープウェイを乗り継ぎ一気に標高2,612mの千畳敷へ。

ロープウェイで一気に標高2,612mへ

9:30アイゼンを装着し極楽平へ向けて出発、トレースを期待したが残念ながらMAX膝下までのラッセルを強いられる。稜線に出たら雪は飛ばされているだろうと期待し3人でラッセルを交代しながら進む。

極楽平へのラッセル

11:05極楽平到着、予想以上に風が強い!でも檜尾岳までは行けるだろうと判断し、トレースの消えている稜線を歩き出す。足が雪に沈み込む量が多かったり少なかったりの嫌な歩きが続く、心配なのは歩ける場所が稜線の木曽側ばかりなので風を遮れる場所がないことだ。

極楽平から、写真ではわかりませんが風が強い!稜線の木曽側(右側)を歩いていく

11:35島田娘を過ぎ、濁沢大峰への登り返しになるが、このあたりから岩と雪のミックス歩きになり、鎖も埋もれているしルーファイしながらの縦走になる。

濁沢大峰への登り返し

14:15濁沢大峰に到着、想定外に遅れている。風も強いし、休憩できる場所もなく、先へ急ぐ。日の入りまでに檜尾岳まで辿り着くのか怪しくなってきた。

濁沢大峰を通過

16:00檜尾岳手前の鞍部に到着、ここも風を凌げる場所もなくノンストップで檜尾岳への登り返しラッセルしていく。一気に高所まで上がって活動しているせいか濁沢大峰以降ずっと息切れがするが、気温の下がった檜尾岳への登り返しは雪が固まりやすくラッセルは楽しい。

が、17:00日の入りタイムアウト、山頂につく前にヘッドランプ装着。山頂までまだまだの見込み、風も強いし絶望感すら漂ってくる。山頂の東側の尾根に入り込まないとどうにもならない。「ガンバ!ガンバ!あと少し!」と励まし合いながら山頂を目指す。

檜尾岳、登頂!

ヘッドランプの短い照度範囲ではルートが見通せないのでGPSも活用しながら、18:05なんとか檜尾岳山頂へ到着。手が冷たいがとりあえず記念撮影、上手く撮れたかわかりませんが撮り直す余裕は無し、強烈な風(‘Д’)。

寒気が入ってきた~

そして、山頂から東側の尾根へ飛び込むと、たった5mほどで風から解放された。長かった・・・。「死ぬかと思ったわ」と各自思い思いの言葉を発しストレスを開放。

さて、次なる課題は檜尾小屋へ行くことだが、もう真っ暗でルートが見えない。山頂へ上るのとは異なり、一回下ってから小屋へ行くことになるが、どこを下るか皆目見当がつかない。GPSも駆使して3人であたりを1時間ほど捜索するが、疲労もあり集中力も無くなってきているし意見もまとまらない。決断、ここでビバーク!

山頂直下の風を凌げる場所にテントを設営し、雪から水を作り終える頃には22時になっていた。クタクタになりながらも夕食を食べながら作戦会議、「今日より明日の方が距離も長く風も強い。明日は檜尾尾根を下ろう。」

(12月29日)

6:30起床、テントが風に揺さぶられることもなく熟睡、テントから出てみると東の正面に檜尾小屋がバッチリ見えた。

太陽の明るさがあるのと無いのでは全然違うことを実感、さすがにヘッドランプだけでは辿り着くことは不可能であると感じた。(ここの下りのルートは明るくてもルートがはっきりせず少し難しい)

檜尾岳からの朝焼け、正面に檜尾小屋

9:00ビバーク地を出発、昨日は作戦会議が0時を回ったので、遅めのスタートにした。「6時間もあれば下りれるだろう」と楽観的なリーダーの計算である。

檜尾岳の山頂直下のビバーク地

山頂はすぐなので、念のため風の状況を確認しに山頂へ行ってみるが、昨日と同等かそれ以上の風が吹いている。空木岳の方向も当然、風は強そうであった。

空木岳も風は強そう

9:15檜尾小屋を見学し、檜尾尾根を下る。途中、シャクナゲピークで誤って左の尾根に下りないように吉村さんからアドバイスを貰う。

檜尾小屋

9:45小檜尾岳を通過した頃より、風に雪が飛ばされないせいか、柔らかい雪が多くなりアイゼンからワカンに切り替える。ひどい時は膝上までのラッセルを強いられ、このあたりから全然スピードが出なくなった。

足元の雪が多くなってくる

12:30シャクナゲピーク通過、迷うことなく右の尾根を辿っていく。このあたりから樹林帯に突入し、ルートもよく確認しないと登山道を見失いそうになるのでGPSを併用しながら慎重に下りていく。

シャクナゲピーク以降の急斜面の下降

シャクナゲピーク以降は傾斜も強くなり、一旦ルートを間違えてしまうと登り返しが大変になる。今回、慎重に下りてはいたが、大岩のある部分でルートを外れてしまい重い荷物を担いでの50m登り返しに30分以上かかったりもした。

皆さん、けっこう疲れてます

そんなことで、予定通りの時刻にバス停にまで辿り着くことは出来ないと判断、地形的にビバークできそうな赤沢ノ頭を本日の目的にした。16:00赤沢ノ頭に到着。

本日はここまで、今日も目的地まで達せず

(12月30日)

5:30起床、7:30出発。昨晩の作戦会議の結果、今回の雪の状態だとコースタイムのちょうど2倍の時間がかかる計算になり、今日はそれを考慮し12:00檜尾登山口を目標とした。

あと少しです

初日の疲れがなかなか取れることはなく、最後の最後までタフな山行となりヘロヘロと急斜面を辛抱強く下りていく。9:25標高1,524ピークを過ぎ、うまく行けば10:30頃のバスに乗れる可能性も出てきた。

うまく行かなかった場合は目の前をバスが通過していくパターンでもある。今回の山行はなかなか計画通りに進まなかったが、最後くらいは間に合いそうなバスにすべりこもうぜ!と言うことになり、最後の力を振り絞る。

バス停に到着!

10:23檜尾橋のバス停に到着、檜尾橋バス停は檜尾登山口から少し下った橋のところにあった。バス発着は10:26で、すべり込みセーフ!ワカン、ピッケルも外しただけの状態で手に抱えてバスに乗り込み、合宿山行は無事に終わることができた。

 

今回、リーダーとして年末年始の天気を予測し、中央アプルスなら行けるだろうと判断したが、現実は厳しいことがわかった。

ルートにもよると思うが、今回は稜線の木曽側だけしかルートが取れないことが大きな原因である。

風を遮る場所のないルートで風速20m/s以上の風を受けながら長時間歩くことはなかなか困難、リスキーであることがわかった。また、山麓の積雪が締まってなく緩い場合、柔らかい雪であっても非常に歩くの時間がかかることも経験した。

百名山もゲットできず敗退の山行となったが、予測と現実の差を体験でき貴重な山行となった。次回の山行の糧にしたい。

<コースタイム>

(12月27日)

8:00 廿日市発 → 16:30駒ヶ岳SA ※車中泊

(12月28日)

6:30 駒ヶ岳SA発 → 7:00駒ヶ根高原スキー場 → 8:15 菅ノ台BC発 → 9:12 千畳敷駅着 → 11:05 極楽平 → 11:35 島田娘 → 14:15 濁沢大峰 → 16:00 檜尾岳手前鞍部 → 18:05 檜尾岳山頂(適地泊)

(12月29日)

9:00 泊地発 → 9:15檜尾小屋 → 9:45 小檜尾岳 → 12:30 シャクナゲピーク → 16:00 赤沢ノ頭(適地泊)

(12月30日)

7:30 泊地発 → 9:25標高1,524ピーク → 10:23 檜尾橋バス停 → 10:45菅ノ台BC → 広島へ(12/31_13:00廿日市着)

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