中央アルプス(サギダル尾根~宝剣岳)


上田(大)

2022年2月11日(金)~13日(日) (係)上田

参加者:吉村、堀田

今年も厳冬期の遠征に行こうという話になり、4日の休日がとれるなら八ヶ岳、3日の休日なら中央アルプスと決め計画を進める中、どうも4連休は困難との見通しで中央アルプスを選定した。

サギダルの頭、宝剣岳をバックに

中央アルプスと決めたものの、サギダル尾根以外はあまり念頭になく、3日間をどういう内容にしようか悩む。駒ヶ岳ロープウェイを利用する場合は3日間の前後を移動日、登るのは1日に限定される。泊り装備を担いで前日から上がるか、ロープウェイに縛られないルートはないかと調べたが、良い案は浮かんでこなかった。

しかしながら、よくよく考えれば行ったことない山域だしロープウェイも初めてなので、燃焼系(動かないと充実感を得られない系)のメンバーには悪いが、ここは贅沢に前後を移動日、登るのは1日、しかもロープウェイ使用、食材も現地調達というコスパは気にしない「大人な旅」にすることにした。

<行動記録>

(2月11日)

8:30広島を出発、山陽自動車から中央自動車道駒ヶ根ICを目指す。途中、ネットを見ていると、昨日の降雪の影響でバスの通る車道を除雪するため、臨時でバス・ロープウェイとも運航休止の情報が出ていた。昼頃には運航開始となったが、こんなこともあるのかと予想外の事態に少し焦る。

予定通り16:00に駒ヶ根に到着、ご当地の食材を買い出し後に明日乗る菅の台バスセンター(BC)を確認後、駒ヶ根スキー場の駐車場に移動する。空木岳の登山口駐車場になっている場所でもあり、静かで良い。メンバーは3人なので車中泊でその日を終える。

(2月12日)

7:00少し早いが菅の台BCへ出発、登山者や観光客がどの程度いるのかまったく情報がないので、他のメンバーに批判を受けつつ早めの出発を強行した。7:15バス停到着、既にUターンするまでの行列が出来ていた。

菅の台BC、既に行列が・・・

荷物を置き係と堀田さんはその辺を散策、吉村さんは「ようわからんけどみんな並んでるから」と切符売り場の列に並んでいた。後でわかったが、切符売場の開店時間がギリギリなので、この切符売場の列に並んでないとバスが来た時に切符が手に入ってない事態に陥る。

今回、吉村さんが並んでくれたおかげで無事に切符が入手でき、バスが到着してすぐザックを担ぎ、ごぼう抜きで始発(8:15)のバスに乗り込めた。

30分間のバス乗車、途中に檜尾登山口のバス停や北御所から下車して宝剣岳に向かうルートがあることを吉村さんに教わる。

乗車率100%です、マスク装着!

8:40しらび平駅到着、ここから駒ヶ岳ロープウェイ。標高差950mを一気に千畳敷へ。

ロープウェイも満員、さすが3連休

9:00千畳敷到着。ロープウェイの駅はホテルと一体化されており、そのままホテルの方へ導かれる。トイレを済ませ、迷いながら出口を探す。千畳敷への出口には建物の中でアイゼン等の装着ができるように板が敷いてありベンチまである。

9:25装備を整え建物の北側へ。目の前には千畳敷カール、すぐ上にサギダル尾根、その右に宝剣岳、その右に八丁坂が目に入る。八丁坂はノートレース、アナウンスを聞いていると昨晩30㎝の降雪があったようだ。正面のサギダル尾根も先行者は3名、先頭はラッセルをしているようだ。

千畳敷駅からすぐ上に見えるサギダル尾根
宝剣岳と八丁坂、八丁坂はノートレース

傾斜が緩い部分を登っていくがどこもかしこも雪崩地形となっており、雪量が少なそう場所を選んで登る。一気に2,600mまで上がって来たこともあり、呼吸を整えながら上がるように吉村さんからゲキが飛ぶ。

雪崩れる可能性の低い場所を選んで登っていく

10:30地形が顕著な尾根状になるところでロープを出す、先頭は堀田さん。3人パーティで2ピッチしかなく、トップの交代は困難。バリエーション好きの堀田さんにリードで行ってもらう。

ここからロープを出す

1ピッチ目は50mロープ一杯まで上がりピナクルで支点を取ったが、足場が悪く3人ともここで足が疲れた。少し下の木で支点を取った方が良かったかも。

2ピッチ目の出だしが核心部となり、アックスを引掛けるより手で岩を掴んで登る箇所が多い。2つあるアックスの移動と置き場探しが大変だった。

2ピッチ目の出だし

核心部を超えると快適なミックスが続く。少し下る箇所が出てきて、そこを通過するとダケカンバ疎林の雪壁を登り2ピッチ目終了。2ピッチ目もロープ一杯で、直ぐ上がサギダルの頭のようだ。

2ピッチ目終了点

2ピッチ目終了点も3人だと狭いので、堀田さんにボディビレイに切り替えてもらい、係と吉村さんが先に頭を目指す。

サギダルの頭より

12:55ほどなくサギダルの頭、到着。

北に荒々しい宝剣岳、西には雪を纏った独立峰・御嶽山、南の綺麗な稜線の向こうには空木岳が見える。

サギダルの頭より宝剣岳
サギダルの頭より空木岳方向

13:10記念撮影と休憩をして宝剣岳を目指す。計画を練っていた段階から係が参考にした資料によるとここからは「簡単」とのイメージが強かったが、実はここからもハードなルートが続いたのであった(汗)。

宝剣岳手前のナイフリッジ(と思われる)

基本的は鎖のあるルートであるが、鎖が埋もれてルート不明瞭だったり、切れ落ちている場所に鎖が見えなかったりするのが厳冬期の状況であるようだ。1箇所トラバースするのに気持ち悪い所があり、ロープを出した。(残置ハーケン2個有り)

切れ切れのトラバース部

いつロープが要るか不明なので、コンティニュアンスで行こうということになりロープを出したまま宝剣岳山頂を目指す。よく撮影ポイントになっている張り出した岩場や岩のトンネルを通過。

14:50宝剣岳山頂に到着、狭い岩に乗って撮影する時間はないので、そそくさと下山する。

宝剣岳山頂にて

山頂からの下山ルートは少しサギダル側に戻ったところに鎖がある。そんなことは知らず突き進もうとする係と堀田さんに吉村さんから指導が入る。ロープウェイの最終便まであと1時間!気合を入れて下山。アイゼンがよく効き快適な下山だった。

15:10八丁坂に到着、たぶん間に合うはず。しかし、この八丁坂は一般ルートなのに結構急坂ですね・・・Σ(゚Д゚)。

八丁坂、奥に見える建物が千畳敷駅

しばらく普通に下りていたが、滑った方が早そうなのでシリセードに切り替える。御年67歳もシリセードで時間稼ぎ。

あと30分!御年67歳もシリセード

15:40千畳敷駅に到着、間に合いました。安堵!

アイゼンだけを解除して、ロープウェイ乗り場に上がるも改札は始まっていなかった。そのまま改札口で装備をザックにしまい込み15:55の最終便で下山へ。

今回はやや下調べが甘く、前半のペースをゆっくりしてしまったと反省。結果的に天候とメンバーの力量に救われた感がある。

サギダル尾根だけだと「簡単じゃん」とか言われそうだったので宝剣岳、あわよくば木曽駒ヶ岳にも行ってみようと計画したがなかなか難しく、宝剣岳までで充実した山行となった。中央アルプスも少しづつではあるが開拓でき、引き出しを増やせたことは良い経験となった。

<コースタイム>

(2月11日)

8:30広島発→16:00駒ヶ根IC(適地泊)

(2月12日)

7:00泊地発→8:15菅の台BC(始発)→8:40しらび平駅→9:00千畳敷駅→9:25千畳敷発→12:55サギダルの頭→14:50宝剣岳→15:10八丁坂→15:40千畳敷駅→15:55千畳敷駅(最終便)→しらび平駅(16:10)→16:40菅の台BC(適地泊)

(2月13日)

6:30駒ヶ根IC発→広島へ(14:00着)

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