三倉岳クライミング


松林

2022年5月28日(土)~29日(日)  係:松林

参加者:吉村、田野

係が4年前、兵庫県に転勤していた際にお世話になっていた姫路岳友会を三倉岳に招いての山行を計画した。広島に戻って以降、なかなか招待機会を設けられず、そろそろ...と考え始めた際にはコロナ禍。という状態だったが、遂に実現した。係の家の都合と梅雨を避けると日程が5月4週、比婆山スカイランとバッティングして、こちらは3人。いろいろと申し訳ない。姫路からは計8名、花崗岩の三倉岳に向けてトレーニングを積んできてくれた、とのこと。

<行動記録>

28日(土)は中ノ岳ノーマルのマルチ。ピッチを短く切ったこと、人数も多く慣れていない方もいたこと、等でかなり時間が掛かったが、無事に登り終えた。田野さんはスリップにより靴が崩壊したので無事ではないが(田野さんガンバレー)。

夜の宴会で大いに盛り上がったのち、29日(日)はBコース7~8合目の易しいルートを登り、14時前に下山完了。

姫路岳友会の山行報告を拝読したところ、新鮮味があり、初めて中ノ岳をリードした時のことを思い出しながら心地よく読めました。何度も登っている係の山行記録なんぞ面白いはずもなく、当会の皆様も読んでいただければ...と思い、執筆者ご本人と会長の了承を得て、下記に掲載させていただくことにしました。

(記:松林)

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5月28日、29日、広島山岳会との交流会で広島の三倉岳でクライミングをしてきた。
メンバーは田路さん、後藤さん、金澤さん、阿部さん、山口さん、足立さん、杉田さん、塚本の8名という大所帯。広島山岳会からは松林さんを含み3名。
8時半、三倉岳キャンプ場の駐車場をスタート。今回登るのは、中ノ岳ノーマルルート。11名でぞろぞろと登山道を取り付きまで上がっていく。中ノ岳取り付きへはBコースを歩く。よく整備されているが、急登で暑さも手伝い、なかなかしんどい。取り付きの手前で不要なものがあればデポする。私はサブザックに行動食と飲み物だけを入れていく。チムニーなどで大きなザックは邪魔であることと、ボロボロになるからだ。
パーティは1番手に広島の3人が、2番手は足立さんリードで後藤さん、阿部さんのフォロー、3番手は山口さんのリードで金澤さん、杉田さんがフォロー、最後は塚本リードで田路さんと行く。
1ピッチ目は出だしが核心のようで、足の長さが物を言う。岩のギャップを渡るのだが、少し距離があり普通には跨げないので、体を前に倒して足を突っ張って渡る。それが怖くて最初の1ピン目は、前パーティ最後の杉田さんにかけてもらってから渡った。そこからは短いチムニーを登り、尾根を上がり次のピッチへ。

2ピッチ目はクラックからスタート。3本クラックが入っていて、クラックを横にわたりながら登る。これも少し足の長さが必要だが、ちょっと慣れた。最初のクラックをまっすぐ登っている人もいた。クラックを登るとまた尾根を歩く。ロープが50mで長さがちょっと微妙なので、次のピッチ手前の木でいったん切り、上に上がり、3ピッチ目の取り付きへ。ここからは大変広島山岳会のお世話になる。A0,A1が必要な個所に広島山岳会の方がヌンチャクと適切な長さのあぶみをかけてくださる。ここでは二つの岩をあぶみを使って乗り越えていく。一つ目はなんとかクリア、二つ目の岩山は乗越から先、終了点まで手も足もない。寝ている岩なのだが、足のフリクションだけで乗り越えていかなくていけなくて、足が滑ったらどうしようという恐怖からかなり怯んでしまう。金澤さんがお助けロープを出してくれる。足立さんが気合やと上から掛け声をかけてくれる。天使と悪魔の声を聞きながら、自分だけズルするのも悔しく、気合をとった。へっぴり腰のカッコ悪い登りだったけれど、なんとかリードのプライドを保つ。

3ピッチ目の終了点からは少し下るので懸垂をする。その下から4ピッチめ。水平のクラックにカムを入れて支点をとり、そのまま横に降りてから登る。登ったところでまたお助けのスリングあぶみ。ところがそのあぶみに乗るために足を張って登っていくと登りすぎてしまい、上がるべきところに左足が届く。足先が乗っているだけなのと微妙に足を開いているので、飛び移るには少し不安。しかもあぶみがあるからあぶみが正解?悩んだ末、あぶみにうまく乗れなかったので、ドキドキしながら飛び移った。成功はしたが、後ろにひっくり返りそうで怖かった。田路さんはあぶみだと簡単だったぞと言う。まだまだあぶみの練習が足りない。その先もあぶみ。ここは普通に乗れて乗り越えることができた。いったんそこでピッチを切って、短いクラックを登り、歩いて木の根の取り付きへ。

次は5ピッチ目、チムニールート。取り付きに4番か5番かのカムで1ピン目をかける。どうやらこのルート、手も足もあまりなくて、我がエース足立さんが断念し、エスケープした。ここはエスケープしないといけないかもしれない、でも一度トライしようなどなど考えていたら、次にリードされた山口さんが突破。手も足もないからとりあえず体を入れて全身でモゾモゾ登っていくしかないという。なるほど。フェイスが得意で服がおしゃれな足立さんには難しいムーブなのかもしれない。そこからみんなでモゾモゾと芋虫になって登る。最初にどう体を入れ込むかが悩むところだけれど、一度入ってしまえば、全身使って上がっていけばいい。疲れるけれど、挟まれる安心感がなんか好きだ。

最終の第6ピッチはまたあぶみから始まる。クラックとあぶみを使って登るのだけれど、バランスを取るのが少し難しかった。まだまだあぶみ修業が足らない。そこを乗り越えると、少し下って支点のないスラブを登る。手はないけれど、白っぽい目印があり、一見怖そうだが、意外とすんなりと登れた。それを登りきると中ノ岳山頂だ。広島山岳会の方の指示を受けながら最後のビレイをする。上り下りがあり危ないので見ながらビレイをしなくてはいけないが、支点からセカンドが見える位置が遠いのでムンターを使ってセカンドの見える位置に行き、そこで確保してからビレイをする、というのを教わる。(だがあまりちゃんと把握していない。もっとロープワークの勉強が必要だ)何はともあれ、全員無事に登頂できた。11名と人数が多く時間がかかってしまったが、みんなで初めてのルートを楽しみながら登れたのはすごくよかったと思う。

最終的にキャンプ場の駐車場に戻ったのは17時だった。足立さんはここで解散。ビールで乾杯はできず残念だったが、炭酸水を片手に帰っていった。そこからは宴会準備で大忙し。テーブル、椅子を並べてスタートする。近くには山口の方の米軍ファミリーがキャンプを楽しんでいた。金澤さんのスジコンをあげたらテキーラとマシュマロチョコサンドが返ってきた。案の定、宴会は苦情が出るほど盛り上がり、途中日本山岳会の人たちを田路さんが引っ張り込んでくるなど様々な交流もあり、いい時間までみんなで飲んだ。
翌日は5時半くらいからぱらぱらとみんな起き始める。のんびりおなか一杯になるまでご飯食べたり、コーヒー飲んだりしていたら、結局出発は8時半に。昨日同じく遅くまで付き合ってくれていた日本山岳会の人たちは6時半くらいには出発していた。
この日も広島山岳会の人の案内で、中ノ岳の取り付き方面まで行き、門前払い(5.7)、ひなまつり(5.8)、七五三(5.9)と一桁ルートというのを3本ほど登らせてもらった。門前払いとひなまつりをリード。ひなまつりは叫びながら落ちたのに、帰ってみたらグレードが5.8であったことがわかって、ちょっとショック。三倉の洗礼を受けた。でも少しずつ花崗岩というものがわかってきた気がするので、また懲りずに登りにきたいと思う。
この二日間、これほど充実したクライミングにエスコートしていただいた広島山岳会の方たちに大いに感謝し、秋に雪彦山をもっと色々案内できるようルートをしっかり頭に叩き込もうと思った。クライミング頑張るぞ!

(記:姫路岳友会 塚本様)

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