個人山行: 薮歩きシリーズⅢークマの棲家の最早山と向山


亀井且博

日時:12月6日(日)快晴

メンバー:八幡Dr.夫妻(会員外、JAC広島)

深入山と国道191号線を挟んで対峙する山は、国土地理院の地図には山名の記載がないが、三等三角点が設置されている標高1,065.6mの向山(柴木山)と1,064mの最早山(もやいやま)である。 深入山に登る度にドーンと正面に横たわるブナ林の山が気になり、また恐羅漢の行き帰りに特に秋にはブナの紅葉がきれいで気になっていた山である。気になりながらもすっきりとした登山道がない薮山なのでこれまで足が遠のいていたが、ようやく歩く気になり、先週に続いてDr.八幡さん夫婦を誘って一緒に薮歩きに出かけた。

<行動記録>

深入山いこいの村入り口の国道横の駐車場に車を停めて出発。国道を200mぐらい歩いて右に緩くカーブするピンクのテープがぶら下げられている場所から左の薮に入る。すぐの沢にはコンクリートの廃電柱3本が渡された橋が架かっている。

取付きの沢を渡る3本のコンクリートの廃電柱の橋

橋を渡ると少し笹が被っているが昔の峠越えの生活道らしきしっかりとした道が続いている。沢沿いの道を登るとカナクラ峠に着いた。峠から最早山に続く主稜線には踏み跡があり、笹の背も低くて歩き易い。尾根は右に左に曲がりながら緩やかに高度を上げている。忠実に笹尾根を辿る。小ピークを越えて少し登ると、やがて尾根は広くなり台地状となる。大小のブナ林で樹上には沢山のクマ棚がある。大きなブナの木には一本の木にいくつものクマ棚がある。親子で登っていたのだろう。さらに昨夜使ったような真新しいクマの寝床もあって、どこを見てもクマの痕跡でクマの棲家に迷い込んだ気がする。

クマ棚
真新しいクマの寝床

踏み跡を外さないように気を付けて登るが、どこでも歩けるので踏み跡が判然としない箇所がある。とにかく一番高い場所が頂上なので高みに向かって登る。逆コースで下る際は、ルートファインディングに苦労するだろう。最早山のすぐ下で一度林道を横切って、広く平坦な頂上台地の笹原を進むと大きな岩が座った最早山頂上に着いた。頂上からの眺望は全くない。小休止して写真を撮り、次の向山に向かう。

最早山頂上の大岩

最早山から向山へは広く平坦な頂上台地でどこでも歩けるが、地図と磁石で方向を確認する必要がある。この間は踏み跡もハッキリとせず、笹の背丈も結構高い薮漕ぎになる。少ない登山者が広い台地でてんでに歩くためにはっきりとした一本の踏み跡にならないのだ。方向を定めて真っすぐに歩いたつもりだったが、後でトレースを見ると結構ぐにゃぐゅにゃと曲がりながら歩いていた。最早山と同様に笹原を進むとテープが巻かれた木が目につき、小さな標識に向山と山名が書かれた頂上に着いた。三角点の標柱が設置されている。(三等三角点、標高:1,065.6m、点名:柴木)この辺りの樹上もクマ棚だらけである。最早山と同様に眺望は全くない笹の中である。ほとんど休憩も取らずに、昼食を摂れそうな温かい陽だまりを求めて先に進むことにする。

向山頂上

向山からの下りは西尾根に入るのだが、広く平坦な頂上なので方向を定めるのに注意が必要である。少しでも間違えて下り始めると、登り返すかあるいはそのまま違う場所に下ることになる。地図とGPSをしっかりと照らし合わせ、方向を見定めて下山を開始する。ヒノキの植林の中に入ると、やがて踏み跡があり、テープ標識も現れた。踏み跡を頼りに急な斜面を下るとやがて尾根が顕著になり、西尾根に入った。西尾根に入ってルートファインディングには気を使わなくて良くなったが、踏み跡がハッキリとしない箇所が多くなり、笹の背丈も高くなり、おまけに時折サルトリイバラなども現れて、結構な薮漕ぎになった。すぐ右に古い作業道の名残があるが、それも結構薮っていて歩く気にならない。なんとかかんとか尾根を外さないように下っていると、蔵座高原から上がってきている林道に出た。ここは林道が大きく尾根を回り込む地点で、NTTドコモの中継局が設置されている。4日前に三段峡遊歩道からの取付きで喘ぎまくったサバノ頭が木の間に聳えているのが見える。格好の良い山だ。林道に出た広い場所の暖かい陽だまりの中で遅い昼食にした。

木の間からサバノ頭

ゆっくりとした昼食後はぺちゃぺちゃと喋りながら、林道をポレポレと歩いて蔵座高原に帰った。林道入口のチェーンを跨いで国道に出て、最後は国道を少し引き返して駐車場に帰り着いた。

深入山

今日は快晴で本当に温かい日であった。クマの棲家にお邪魔して気持ち良い山歩きを楽しんだ。クマさんに出会わなくて良かった。ここに一人で行くにはクマに対する細心の注意が必要である。

<歩行距離>

8.1Km

<コースタイム>

憩いの森入り口駐車場9:22→9;28取付き→9:56カナクラ峠→11:06林道横断地点→11:16最早山頂上11:25→11:44向山頂上→12:35林道(NTTドコモ中継局)昼食13:17→14:05国道→14:15いこいの村入り口駐車場

<コース図>

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