立合川 9月21~23日


神庭

参加者:宮本、大前、神庭、会員外(柳原)



 神奈川の宮本さんの計画で、個人山行として奈良県十津川村の立合川(たちあごう)を遡行した。今回も手強そうな谷である。

 20日の夜出発して深夜に上北山へ。朝6時に宮本さんと合流して下山地の国道425号白谷トンネルへ。一台デポして、今度は入谷地の国道169号東野トンネルへ移動。国道の大きな橋の上から、これから遡行する立合川を見下ろす。深い谷に期待が膨らむ。10:40入谷。ここから先、どの滝がどうだったのか、はっきり言うとあまりの多さに覚えていない。しかしハッキリ覚えているのは、まず大滝である。大滝を見るには、登れないのをわかっていながら泳いでいかなければならないが、寒い中泳ぐだけの価値があった。底の見えない濃緑の釜、洞窟のように深く彫り込まれて大ハングになっている側壁、そして迫力の大滝。

 次に覚えているのは、2日目の朝から始まったナメと釜の連続する、最高に美しい地帯。ここでは、先を急がなければならないのに、あまりの美しさに進むに進めなかった。宮本さんもシャッターを切りまくり、「思わず小躍りしてしまう」くらい喜んでいる。

 その後も、ひとつひとつの滝・釜が美しく、頭の中にはエメラルドグリーンのイメージしか残っていない。行動記録は取っていたが、今ここでそれを説明することは難しい。説明するとしても、どの滝を直登したか、またはどちらを巻いたかの単調な説明になってしまう。これはもう、実際に行ってみるしかないだろう。

 沢登りでは、いつも少なからず事件が起こる。今回も例外ではなかった。2日目の広い河原を、大前さん達に遅れて写真をとりながら歩いていると、前方で「ウナギがいるから早く来て!」と声がする。急いでそこへ行くと、大前さんが「あの岩陰に隠れている。」と教えてくれ、大石をぶつけて気絶させようということになった。大石を担ぎ、ぶつけようと構えると、確かに尻尾が見えている。今夜は蒲焼きか?勢いよく大石をぶつけ、すぐに手を水中に入れてウナギを探る。しかし見当たらない。顔を水面に近づけて濁りが収まるのを待つと、少し離れたところに丸まっていた。でも、ウナギって縞模様があったっけ?もしかしてこれってヘビ...。棒でつつくと、水面を泳ぎだし、目の前で鎌首をもたげて攻撃態勢に入った。これはマムシ、その瞬間は背筋が凍る想いだった。その後も鷲か鷹が飛び去り、イノシシは目の前を横切り、鹿が鳴き、魚はさわれる所まで近づいて来て、最後には田房さんへのお土産まで拾って、素晴らしい自然の豊かさを感じた。

 稜線に抜けてからも、見渡す限りの山並みが続き、人とすれ違うこともなかった。紀伊半島の自然は素晴らしい。また、渓谷の発達も中国地方では考えられないスケールで、標高が恐羅漢よりも低い山とは思えない。広島から6時間から8時間と少し遠いが、ぜひ通いたい山域だと思った。

<コースタイム>
20日 6:40西条IC、0:30下北山の道の駅
21日 6:00宮本さんと合流、7:20道の駅発、8:40白谷トンネル、9:50東野トンネル、10:40入谷、13:30大滝、15:30ぬたの滝、16:00二股の滝、17:00木馬道、17:30幕営
22日 7:40出発、9:00広い河原、9:40栃の巨木、11:00とても深い8mの釜、12:00 2段30mの滝、13:20ケヤキ谷、15:40第8ゴルジュを越えた所の流木、17:00八丁河原の小屋、17:20右又で幕営
23日 8:00出発、9:40蛇崩尾根、10:30笠捨山、12:00行仙宿山小屋、13:20白谷トンネル、15:00北山村おくとろ道の駅(温泉)16:30発、17:30下北山の道の駅、翌1:00西条IC、2:00広島

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