雪彦山 (係)三谷


三谷

7月13日(土)~15日(月・祝)
参加者 吉村、平本、徳永、兼森
朝8時、広島を出発し、山陽道を経て国道29号線に入る。お昼にキャンプ場に到着。河原で昼食を取り、ルートの取り付きの下見に向かう。林道を車で上がり、神社前を通り過ぎて、展望台の前に車を停める。ここより、登山道に入る。山ビルが多いという情報から、ヒル避けスプレーを入念にかける。
大曲を下り沢の合流地点で取り付きへの尾根を上がらないといけないのだが、沢を下りすぎてしまった。登り返して斜面に取り付くが、今度は踏みあとを見失ってしまった。斜面を登ると、やっと岩壁の基部が見えてきた。
前方で悲鳴が。ヒルが出たらしい。確かに、足下を見ると、気色の悪い茶色い物体が靴に這い上がろうとしている。この場合、ヒル避けスプレーも焼け石に水である。かけ登ると、三峰の岩壁基部の踏みあとに出た。どうやら岩場への取り付き?白テープが目印になるようだ。
見覚えのあるチョックストーンがある。滑りやすくあまり気持ちの良いアプローチではない。実は巻き道が付けられていた。
波打ったスラブも見覚えがある。岩の感触を確かめる。明日雨が降らなければ良いが…。ゴロゴロと真っ黒な雷雲が近づいて来たので、急いで下山する。登山口直前に土砂降りにあってしまった。雨と汗でドロドロになってしまったので、雪彦温泉でさっぱりとする。
雨風しのぐために神社の境内をお借りした。宿を借りることのお許しと安全祈願にお参りする。正面に、刻々と変化する岩峰の姿、最高のロケーションである。

天気があまり良くないため、早朝登ることにする。せめて一本は登りたい。この天気の不安定さは何だろうか?原因はみんな知っている。
ヒルに噛まれた平本さんの絶叫で、大阪から来たお隣さんを起こしてしまう。平本さんは意気消沈。これをきっかけに徳永さん、兼森さんも一層神経質になってしまった。
本日、雪彦山東稜のノーマルルートを登ることにする。ノーマルルートを忠実にたどれば、それほど困難さはないため、マルチピッチの練習にはもってこいのルートである。
パーティー構成は、三谷-兼森、平本-徳永-吉村である。三谷-兼森パーティーが先行し、平本-徳永-吉村が続く。三谷-兼森パーティーは基本的につるべで、様子を見ながらリードを交代する。平本-徳永-吉村パーティーは平本さんがリード。
壁は、昨夜の雨で湿り気味である。予報では10時から雨である。今にも降り出しそうな空模様である。練習とはいえ、早く抜けたいところだ。7:30登攀開始。
1P~3P(Ⅱ~Ⅲ級) スラブ、フェイスを大テラスまで。Ⅱ~Ⅲ級の容易なピッチだが、1p目は極端に支点が少なく、フォールは致命的である。1p目を短く切っため、大テラスまで3Pとなった。5m上のバンドにはいくつかの終了点が見られる。ガバが豊富にあるので、大胆に登れるが、ポケットには水がたまっており不快である。
早くも雨がぱらついてきた。焦りが出る。継続か?中止か?幸い、雨は上がり、時折、太陽も出てくる。
2p目は兼森さんリード。本来の1p終了点付近は残置支点が乱打されており、ルート取りには見極めが必要。支点に惑わされて、行き詰まってしまった。弱気が出たので、「いったん下りて登り返すように」と檄を飛ばす。何とか次のビレーポイントでピッチを切ることができた。
3p目は容易なスラブを木の生えている大テラスまで。
4P(Ⅳ級) バンド~チムニー~スラブ。ルートが分かりづらいため念のため係リード。容易なバンドを左上し、出だしかぶり気味のチムニーを登る。随所にボルト、ハーケンが打たれており、安心である。チムニー登りと言うよりも、両岸のフェースのスタンスを使った方が楽だった。このピッチがルート中の核心部と思われる。本ルートで最もクライミングらしいピッチだった。チムニーの奥にもすっきりとした凹角に残置支点が見られるが、少し厳しそう。
チムニーの抜け口でロープの残り5m。流れの悪くなったロープを引きずって、ロープいっぱい終了点まで伸ばす。
5P(Ⅱ級) スラブ。後続パーティーが見えなくなったが、コールは聞こえている。
天気も回復してきて、後続もなかなか上がって来そうにないので、小休止する。暑いのは暑いが、風も吹いているので、我慢できないとはない。
6P(-) 尾根歩き、普通の道である。頻繁にコールを交わしているが、よく聞き取れない。問題発生か?
尾根歩きとなって頂上フェースが見えてきた。後はそれ目指して登るのみ。
7P(Ⅱ級) 馬の背リッジ、遭難碑を目指してロープを目指す。支点が少なく、ランナウト気味になる。
8P(Ⅱ級) リッジ、特に問題なし。
9P(Ⅲ級) 凹角~フェース~チムニー、最終ピッチを兼森さんに託す。難しくはないが、枯れ木までは支点がとれない。チムニーでごそごそ支点をとっているようだ。
まもなく、「地蔵岳頂上に抜けました」のコールが。取りあえずは一安心。
この頃、消防車のサイレンの音が頻繁に聞こえる。こんな山奥で民家の火事とも思えない。初の地蔵岳頂上で景色を堪能していると、今度はヘリコプターが頭上を何度も旋回する。遭難者を捜しているようだ。数度の往来で遭難者を発見したらしく、数名の隊員が降下していった。無事ピックアップしていった。
下の方で声がしている。無事上がって来たようだ。そして、青白い顔色をした平本さんが上がってきた。途中のトラブルと暑さにやられた模様。登攀終了12:30。大登攀となってしまった。
休んでいると、中央壁を登攀したパーティーが頂上に出てきた。朝、神社で休まれていた方々だ。
空を見上げると、今日も積乱雲がもくもくと発達していた。
本ルートはクライミング要素が少なく、物足りなかったかも知れないが、システムの再確認には有意義な山行だった。ルート取り、支点のセット、ビレー点のセット、まだまだ試行錯誤状態。とにかく、自分で考えて上に抜けないといけない。
地蔵岳頂上からは踏みあとをたどって下る。後は、一般登山道。しかし、急な岩場を下ったり、トラバースしなければならず、神経を使う。鎖やトラトープが設置されているが、ハイカー向けにあまり整備されているとはいえない。沢下りのようで悪い。
今日も温泉コース。今回、時間予報と気象レーダーとにらめっこだった。明日は雨。

翌日、三峰東稜を予定していた。4時にアラームが鳴るが、雨の音が聞こえる。本日は中止、もう一寝入りする。明るくなったので、片付けて帰路に就く。
酷暑、ゲリラ豪雨、ヒル、蚊・ブヨと闘いながらの印象的なクライミングだった。

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