冬合宿 甲斐駒ヶ岳


吉村

日時:12月13日(土)~14日(日) (係)吉村(光)
参加者:平本、徳永、兼森、島本、吉村(太)
<行動記録>
 出発前の週間天気予報では、年越し寒波がやってくると報じている。今回の合宿の目標は、新人に三千mの冬山の厳しさと楽しさを体験してもらうことであり、ベテランは私のみで、事故は絶対に許されない。天候悪化が見えたら、即下山するつもりであった。
29日
 2台の車(吉村号・島本号)に分乗して、廿日市を出発する。西宮付近で渋滞にあったが20時には、(吉村号のみ)泊地の中央道駒ヶ岳SAに到着した。いつもの東屋にテントを張るつもりが、立ち入り禁止のロープが張ってある。うろうろ探していると、天候悪化で下山した剱岳早月隊の三谷・保見・松林君が歩いてやってきた。反対側の下りSAにテントを張っているので、飲み物とマットを持っている。SA関係者に怒られないように、一段上がった林の中にテントを張った。遅れた島本号もやってきたので、剱岳の様子を聞きながら、小宴を行った。
30日
 5時半に起床し、テント撤収、共同装備分け、パッキング、朝食、トイレと忙しく、登山口の戸台に向かう。冬季用の駐車場までは雪道ではあるが問題なく到着したが、後続の島本号が来ない。後から来た車に聞くと、直前のやや急な上り下りの坂は無理そうなので、手前に車を置いてくるようだ。登山計画書を出し、全員揃った8時40分に歩き出した。前半は河原歩きだが、今年は雪が多いのでゴロゴロとした河原石はほとんど雪に埋まっている。途中左岸から右岸に渡渉する所が雪の融水のため増水していて、渡りにくくなっている。大きな石を何個も投げ入れ、足場を作り渡る。廃屋の丹渓山荘が現れ、八丁坂の急登が始まる。先頭の徳永さんが、足が攣ったと立ち止まる。いつも安定した歩きをする彼女が攣るとは。68を飲み、装備を他の者へ分散させ、スピードを控えめに調整して歩いてもらう。林道や車道を4回横切ると、北沢峠は近い。峠から10分ほど下ると長衛小屋前のキャンプ地がある。雪だるまを丁寧に作っている若い女性4人のテントの隣に、場所を決め、フカフカな雪を踏み固め、テントを張る。ここのテン場はすぐ近くの山際からの小さな流れで、水が取れるのがうれしい。明日は甲斐駒が岳に登る。
31日
 5時半起床、7時出発の予定が、15分早く出ることができた。冬山は日照時間が短いため、行動が制限される。そのため、起床してからのテント内での湯沸し、炊事をてきぱきと進めなくてはならない。12月の三瓶山、大山プレ合宿では出発までに2時間半もかかっていた。今合宿では、ガスコンロを3台使うよう指示して、これが有効に活用され、進歩がみられた。完成形としては「起床して、湯を沸かし食事をして出発するまで、なーんにも言わんでもできてしまう」ことだ。
仙水小屋のまえで、水を頂き一息入れていると小屋番のおじさんが出てきて「今日は15時から天気が荒れるので気を付けるように」と御指導を受ける。仙水峠は風が収束して吹き寒い。すぐ上の樹林帯に入り風を避け、アイゼンを装着する。太一君がアイゼンのひもが短くて装着できない、なんて言っている。(ひもを短く切ったのは君でしょう。ここから帰れ!)などと怒鳴っても問題は解決しない。彼のピッケルに付けていたシュリンゲが、ひもと同じような幅なので、テープ結びで繋げてあげた。このシュリンゲがアイゼンのバックルにうまく掛り、装着完了事なきを得た。
 駒津峰までは樹林帯の急登が続く。兼森さんが遅れ気味になるが、先頭の徳永さんに離さない様に指示する。駒津峰は風が強いので、此処で耐風姿勢を教える。六方石までの下りは雪稜になっているがトレースがあり問題はない。甲斐駒ケ岳への最後の岩稜を交えた登りが待っている。徳永さんには、夏道通しでペンキを見て行くように指示。岩のワンポイントの乗越などで手間取り、予定のペースより遅い。午後からの荒天予想の事もあり、頂上を12時までのタイムリミットにする。
 頂上から降りてくる女性達とすれ違う。昨日の雪だるま隊だ。声を掛けると「頂上は風が穏やかです」と教えてくれる。右横の摩利支天が下に見え始めると、頂上は近い。祠のある頂上が見えた。本当に風は弱く、晴れ渡り360度の絶景である。みんな歓声を上げている。今、この時この場所にいる者しか見ることのできない景色だ。私にとっても冬山の三千mであまり経験のないことだ。記念写真を撮り、10分ほどで下山にかかる。上りではあんなに喘いでいたのに、皆速い。六方石の先まで戻った時に、太一君のアイゼンが外れた。ひもは大丈夫のようだが。仙水峠でもまた外れる。白状した。アイゼンの長さを甘めに調整してきたと言う。よくも岩場で外れなかったものよ。きつめに戻し直すように指導する。
 テント場に戻り隣の雪だるま隊に話を聞くと、我々が起きた5時半に出発して、朝一番で女性たちだけでトレースを付けたらしい。感心した。テントに入り、暖かい飲み物でのどを潤す。平本さんが頭痛と吐き気が出て、横になる。風邪薬を飲み、湯たんぽを抱かす。島本さんも頭が痛い。太一君の書いた天気図から、「今夜低気圧が上空を通過し、明日は強い冬型になる」と予報が出た。明日は仙丈岳を中止して、朝から下山することにした。夜中にテントを揺るがす強風で時々目が覚めたが、朝方には穏やかになっていた。
1日
 昨晩の積雪は20cm。上空には青空も見える。疑似好天であろう。てきぱきとテントを撤収する。隣の雪だるま隊も戸台に下山する。このグループとは戸台まで、ずうっと前後しながら歩くことになった。30日の入山時に渡渉した所は、さらに増水していて、再度石を入れ残置されていたアルミ梯子を調整して渡る。30分ほどで戸台の駐車場に着き、登山行動を終了した。仙流荘の温泉で汗を流し、食事をとっていると盛んに雪が降ってくる。高速の中央道は雪の影響はなかったが、名神の養老SA手前から渋滞が始まる。そのうち栗東~京都東が雪の為通行止めになり、大混乱。京滋バイパスから西宮名塩SAに着いたのが23時となり、吉村号は車中泊とした。島本号はそのまま走り、翌朝4時広島帰着となった。
<コースタイム>
12/30 08:39 戸台口駐車場→11:44 丹渓山荘跡→14:31 長衛小屋、テント場 19:00 就寝
12/31 05:30 起床 06:45 テント場→07:21 仙水小屋→08:04 仙水峠→10:09 駒津峰→10:36 六万石→11:50 甲斐駒ヶ岳山頂→14:00 仙水峠→14:45 テント場 19:30 就寝
1/1 05:00 起床 07:03 長衛小屋、テント場→07:23 北沢峠→11:31 戸台登山口

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