個人山行 大山弥山尾根西稜


三谷

2014年3月8日
参加者:保見、松林、三谷

<行動記録>
雪山講習会の前日に大山北壁を登ろうと、二人を誘ってみた。昨シーズン含めて一度も北壁に取り付いていなかったため、今シーズン最後のチャンスにかけた。
金曜日の21時頃広島を出発する。県境峠では凍結して路面の状態がよくなく、大山の仁王茶屋に到着したのは深夜1時だった。
テントを張って、寝酒を引っかけてシェラフに潜り込む。明け方はよく冷え込んでほとんど眠れなかった。

5時半起床。雪は止んでいた。南光河原の駐車場に車を移動させて出発する。
積雪量が気になるところだが、とにかく元谷に入ることにした。
先行者がつけたトレースを使わせてもらう。
徐々にガスが晴れて来て、青空が見え始める。元谷で北壁の大パノラマを目にして、これだけでも来た価値はある。と言っている場合ではない。登らなければ。
北壁に向けてトレースが真っ直ぐ伸びている。小屋の横で先行パーティーに追い付きラッセルを交替する。滝沢リッジを登攀するそうだ。我々は弥山尾根の西稜へ。
彼らはデブリのある沢の正面を詰めていったが、我々は雪崩の恐れがあるため樹林帯沿いに登った。踏み込む雪が重たく、ふくらはぎが辛い。
弥山尾根正面の疎林帯に移り、登攀の準備をする。見覚えのあるデルタ状の岩場が取り付きとなる。
最初の4ピッチを保見さんリードで取り付く。登攀開始9時。
1ピッチ目は、右から固雪のルンゼを登り、尾根上に出たところのテラスでピッチを切る。
2、3ピッチ目は、急な雪壁をブッシュを掴みながら登る。凍った雪の上に不安定な雪がのってトップは難儀しているようだが、アックスがよく決まって快適な登攀である。
久し振りにふくらはぎが痛い感覚だ。
後方に2つのパーティーが見える。このペースだと追い付かれるだろう。
一瞬ガスが晴れて、登ってきた尾根が見渡せた。
4ピッチ目辺りより、ブッシュが疎らとなり、純粋な雪稜となる。
5ピッチ目、ここでロープを結び直し松林くんがトップで登り始める。小岩峰は右から巻き、越えたブッシュでピッチを切る。
6ピッチ目、雪壁を越えて、尾根の向こうに松林くんの姿が消えていく。雪稜登攀が初めての松林くんは、支点構築を非常に丁寧に行っており、時間が刻々と過ぎていく。ロープの流れが止まっている状態が続く。なかなか声も届かず、やきもきする。周辺は完全に真っ白で、暗くなるとまずいことになる。時間を巻いて行くように促す。
7ピッチ目、尾根は徐々に斜面に吸収されて雪壁となる。別山が目線の高さになる。ということは、稜線はまだ遠そうだ。
8ピッチ目以降は、傾斜が緩んできて単調な雪の斜面になる。ロープ操作が煩わしいためロープを解いて登り続ける。
登攀開始から6時間が経過しようとしていた。視界は数十メートル。稜線はまだ見えない。
「まだかまだか」と言っているうちに、先行パーティーが横切るのが見えた。ホワイトアウトでここが稜線なのか確証が持てない。そのパーティーは道に迷ったそうだ。稜線に出ると、右方向に進むという意識しかなく、そう言われると、不安になってきた。地図を広げて見ても、現在地に自信が持てない。しかし、弥山尾根を登って来たのだから、頂上はすぐそこのはずだ。
空間と雪面の境界が曖昧で、恐る恐る右方向に下ってみると、縦走路入り口の標識があった。ここに間違いない。さらに摺り足で下って見ると、頂上小屋が見えた。助かった。当然、この時間に登山者はいない。後から聞くと、小屋には安藤さんたちがいたと言うことだった。
翌日、縦走路では痛ましい遭難事故が起こる。改めて、冬の大山は厳しいと思った。
登攀終了は15時。
あとは赤旗を頼りに下り、何とか日暮れ前に下山することができた。
そして、麓のスポーツ公園で例会本隊のみなさんと合流することができた。
久し振り寝不足での大登攀は疲れはてた。若い松林くんも疲れて早々に舟を漕いでいた。翌日の訓練も綱引きをしたり、スコップを振り回したりと、全身が筋肉痛となった。

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