冬合宿(大山) (係)三谷


縦走路

月日:2019年12月28日(土)~30日(月)
参加者:横山、神庭、上田、西村、田野、田中
<行動記録>
冬合宿として船上山からユートピアまでの縦走を計画した。
12/28朝8時、JR横川駅に参加者6名が集合。上田さんのジムニーと係のインプレッサ2台で大山に向かう。
マルゴーで神庭くんと落ち合って、大山道路を上がっていく。上部は雲に覆われているが、伯耆富士の雄姿が一望できる。ここ数年暖冬傾向になっているとは言え、これほど雪が少ない冬の大山は記憶にない。
高気圧の張り出しにより冬型が緩み、穏やかな天気となった。この天気は翌日まで持つ見込みである。

大山自然館で、神庭くんが間伐中に保護した天然記念物のヤマネを見物する(日本海新聞2019/12/29掲載)。一匹は冬眠から覚めて激しく動き回っていた。
大山道路は冬期通行止めになっているため、仁王茶屋に回送用の車を駐めて、船上山少年自然の家に向かう。
茶園原の草原を歩き、船上山の登山口に向かう。船上山の急登を登り詰めると汗ばむほどとなった。船上山頂上の休憩舎は冬期は閉鎖されているため、避難小屋としては利用できない。

茶園原を歩く
茶園原を歩く
ナメタケのシロ
ナメタケのシロ

ここもナラ枯れの被害が著しい。一度虫が付くと森全体に広がり、歯止めがきかない。枯木は伐採されて、明るい森となっている。
さらに、測量用のマーキングテープの放置が山岳遭難を誘発している。神庭くんが林業者、遭難防止協会両方の立場で警告する(日本海新聞2019/12/30掲載)。伐採されたナラの木は、ヒラタケやナメタケのシロになっていた。船上神社周辺で幕営させてもらう。

12/29朝、晴れた星空の下、勝田ヶ山(1192m)までは緩やかに登っていく。放射冷却により冷え込んでいるとは言え、凜とした冬山の厳しさはない。標高1000m越えると、やっと登山道に雪が出始めた。樹氷が朝日に照らされてきらきらと輝いている。今日も横山さんトップで出発するが、笹原の露払いならぬ、雪払いでヤッケが濡れる。メンバーを交代して進む。
甲ヶ山の岩稜の手前でアイゼン、ヘルメットを装着。トップを神庭くんに交代。田中さんが岩の段差でアイゼンを引っかけて転倒したが、ブッシュがクッションになり事なきを得た。

ゴジラの背の通過
ゴジラの背の通過
甲ヶ山山頂にて
甲ヶ山山頂にて

ゴジラの背はスタンス・ホールドに雪が薄く積もっていて状態が悪く、アイゼンワークが確実でないと厳しい。甲ヶ山(1385m)からは、真白な雪をまとった大山東壁が一望できる。本日核心となる甲ヶ山の下り。逆相の岩場は、さらさらの雪が乗った状態で良くない。安全を優先して懸垂下降で降りることにする。上田さん、西村さんが、前週のプレ山行で実践したブッシュアンカーを作る。
一人ずつ降りるとなると、時間がかかる。悪天候だったら、厳しい内容になっただろう。

スラブ帯の懸垂下降
スラブ帯の懸垂下降

稜線に向けてトラバースするバンドが崩れて岩がむき出しになっている。垂れ下がっている固定ロープに体を預けて降りる。コルに集結して一休みする。
小矢筈の岩峰から崩落した痩せ尾根を越えて、矢筈ヶ山(1358m)へ。危険地帯を無事通過した。すでに空には巻雲がかかり始めていた。

矢筈ヶ山山頂にて
矢筈ヶ山山頂にて

大休峠の避難小屋の脇に、テントを張る。雪を盛って竹ペグで固定する。僅かな雪をかき集めて、田野さん、田中さんが水作りにはげむ。一通りの冬山のテント生活を経験した形となった。

深夜、みなが寝静まった後、予報通り、大粒の雨が降りはじめる。
12/30、この天候ではユートピアへの縦走の継続は困難なため、川床へのエスケープを決める。低気圧が通過するまでテント内で待機する。
出発時、田中さんの革靴のソールが剥がれるトラブル。神庭くんが、針金とスリングにより手早く応急処置。積雪があると迷いやすいところだが、いつものように滑りやすい石畳の上を歩く。

大休峠避難小屋にて
大休峠避難小屋にて

雪のない大山道路を大山寺まで歩いて合宿を終了とした。スキー場も開店休業状態である。

笠雲のかかった大山は、昨日の雨で雪が溶けて黒い姿をあらわにしている。青空が見えていたが、これは疑似好天。再び冬型となり荒れ模様となる。
短期間だったが、アイゼントレーニング、プレ合宿の成果が表れた合宿となった。雪が少なかっただけに不安定な箇所もあり、パーティー全体の技量を問う山行になった。

<コースタイム>
28日 14:10 船上山少年自然の家出発→14:40 船上山登山口→15:30 船上神社→21:00 就寝
29日 4:00 起床→06:00 出発→ 08:15 勝田ヶ山→10:45 甲ヶ山→12:25 コル→13:30 矢筈ヶ山→14:30 大休峠避難小屋着→20:00 就寝
30日 8:00 起床→9:50 出発→10:55 香取分岐→13:15 大山情報館

大山東面
大山東面