三段峡本流下部 沢登り


松林

2017年7月9日(日) 係:松林
参加者:吉村、元廣、川本
<アルバム>
<行動記録>
 夏合宿の黒部川上ノ廊下の遡行を想定して、それに似た沢は無いのか?と、沢の本を見返していると、「灯台下暗し」と言わんばかりに“三浦本”の先頭に三段峡が載っていた。泳ぎの沢は今までの沢登りとは少し“別ジャンル”であるため、行きたい沢でも順位の低い位置にあったのだ。
 梅雨の後半で天気や水量を心配していたところ、週半ばの5 日(水)に九州北部で豪雨による甚大災害が発生し、それに先立って中国地方でも島根県西部から芸北地域にかけて線状降水帯による多量の降水量を記録した。4~5 日の降水量は八幡で334 mm、内黒山で100mm という極端な降り方だったため、八幡原を流域に含む三段峡の本流下部は厳しいが、流域が少し南の左俣なら大丈夫なのではないか?という予想で左俣を計画したが、正面口に寄って長淵橋から川を覗くと、水量は多くなく穏やかに見えたため、本流下部に行程を変更した。
 泳ぎの沢に対応するため、各々がウェットスーツ等の着衣を纏い、長淵橋より入渓する。砂地の淀を進んで行くと水深が深くなり、早速泳ぎが始まる。吉村さんと川本くんはスムーズに突破するのだが、元廣さんと係が2 倍も3 倍もの時間をかけて進む。これで歴然とした泳力の差が露見した。そしてその先で川幅が細くなり水勢が増す様を見て、多くはないと思っていた水量が実は多い。ということに気付かされる。今回の山行は、泳ぎに加えて“渡渉の練習”も兼ねているため、早速“スクラム渡渉”をやってみる。流れに対して陣形を斜めに組んで進む方法だ。
 間もなく核心部の“竜ノ口”が現れ、“口”手前の水流の弱まった場所まで泳いで取付く。残置ハーケンを見つけてリード以外の3 人がそこに固まるが、半身が水に浸かったままで体が冷える。川本くんと吉村さんがトライしたが突破できず、遊歩道を使って高巻きする。
 ゴーロ帯を岩伝いに進んだり、岩壁に挟まれた淵をへつったりと、様々な地形が現れ、それに対応しながら進む。泳ぎを挟むと係は遅れ気味になり、写真を撮るにもレンズの曇りを除去しなければならず、いつもより大変である。それとは対照的に、吉村さんと川本くんが活き活きとしていて楽しそうだ。悪場に差し掛かると前2 人が既に対策を練っており、お任せ状態である。
広い淵を泳ぎ、両岸から張り出した岩に流木が引っ掛かった淵は、川本リードで突破する。時間が掛かっていたが、流木の所まで行くと、岩の裏側が難しいへつりになっているのが見え、その理由が分かった。
 “石樋”の箇所は水勢が強く、高巻きする。続いて川の真ん中に大岩がある先の淵でロープを出し、吉村さんがトライ。しかし水圧に押し返されてまた断念する。その先は比較的進みやすい地形が続いたが、川幅の細いところで振り子渡渉や飛込み渡渉(流されながら対岸へ着岸する)を試すことができた。
 やっとのことで黒淵に着き、梅雨時期で舟のいない淵を泳いで行く。この淵は幅が広いので流れが緩いのだが距離が長く、泳力の弱い2 人には身に堪えた。
 “本流下部”は葭ヶ原までとされており、当初はそこまで進むつもりだったのだが、時間も押しており、常人3 人は既にお腹いっぱいだったため、多数決で「何でもう止めるんですか?」と問う若者を制してここで終了とし、遊歩道を歩いて正面口まで戻った。結果的に“泳ぎと渡渉の練習”と書いた通りの良い練習となった。
<コースタイム>
8:10 長淵橋 → 8:42 竜ノ口 → 11:25石樋 → 12:30(?)二谷 → 14:24黒淵 → 14:37~15:00 黒淵橋、片付け → 15:50長淵橋
(記:松林)