2020年夏合宿 黒部川上ノ廊下(2日目)


~90周年記念山行~

日程:2020年8月9日~8月15日 ※移動日含む

<係>吉村

<参加者>宮本、坂口、松林、上田、西村、田中、堀田

アルバム

<行動記録>

8月11日   2日目   (記)西村

4:00AM起床。昨日の疲労も感じるがドキドキワクワクの1日が始まる。朝食を済ませ皆急いで準備をする。

が、半乾きの沢着の装着とザック内の防水対策に手こずってしまう西村。実は昨日夕方ザックを開けると、防水したはずの荷物の底の方に水が少し入ってきていた。厚手のビニール袋で包んでいたが、それでも何かの角で傷がついてしまったようだ。厚手のビニール袋の中はさらに個別に防水袋で小分していたので、大きな被害はなかったが、湿ってしまったものもあった。下山用の靴と登山着・靴下だけは絶対に濡らさないように、気を付けて支度をした。

準備が一番遅いのは概ね、田中GO

6:30AM、出発。天気は晴れ。午後から雨の予報と昨日聞いている。黒部川の水量は昨日と比べると変化はない。歩きだして5分、さっそく渡渉。2人ずつ組んで進む。冷たい(TT)。朝から冷えて仕方ない。なんて考えている間もなく、すぐに次の渡渉。

早朝、2人でのスクラム渡渉

今度はロープを出す。田中GOがロープを付け振子渡渉で対岸に渡る。

振子渡渉でロープを渡す

次に坂口さんがもう1本のロープを引き田中GOの張ったロープにセルフを取り対岸へ渡渉。これで計2本のロープをセットができた。8人の遡行は時間がかかるので、2本あると早く渡渉できる。

その後も渡渉、渡渉、へつって泳いで、また渡渉・・・。これが黒部川なんですね(笑)。

4人での渡渉もだいぶ息が合ってきた
水流の強いところはお助け紐で確保

松林さんの泳がなくても渡れそうなポイント観察眼とリーダーの総合判断で「ここはスクラムで行こう!」「これは振子!」「ヘツリ~」「泳げ~」と、だんだんメンバーの手際も良くってくる。スクラム渡渉は4人ずつで組むと、この強い流れには効果的だった。

本日も晴天なり

天気はよく青空も見え、素晴らしい景色と美しい川に見とれてしまう。上ノ廊下は「明るい沢」と聞いていたが、本当に開けていて明るい。河原歩きになると太陽が心地よく、とても歩きやすい。

10:40、見上げると堂々と「下ノ黒ビンガ」がそびえ立っていた。ビンガとは、この地方で「岸壁」という意味だそう。こんなに大きな岸壁を上から下まで目の前で見れるのは上ノ廊下くらいなのではないだろうか。

下ノ黒ビンガ
ビンガ、ビンガ~♪

圧巻の下ノ黒ビンガからしばらく行くと、本日の核心部「口元ノタル沢」の出合にあるゴルジュ帯が見えてくる。合宿前から遡行DVDで予習をしていたのだが、水量が全く違う…(--;)。昨日奥黒部ヒュッテまでの遊歩道ですれ違った3人はここで敗退したと言っていた。

口元ノタル沢ゴルジュ到着、水流が速い

ゴルジュ帯へ進み、核心部を見ながら皆で作戦を練る。が、右岸も左岸もかなりの水量と水流で弱点が見つからない。とりあえず突破部隊の上田(大)が左岸に泳いで渡ってみることになった。西村の出る幕はないので、後ろから声援を送るしかない・・・。

ザックを置き、ロープを付けた上田(大)は覚悟を決めた顔で飛び込んだ。クロールで泳ぎ、左岸の目を付けた岸壁のポイントへ取付く。が・・・、ホールドがなく流されていく。流された少し下流には足場と手掛かりがあり、なんとか持ちこたえていた。そこからジワジワと手掛かりを見つけながらヘツって上がってみるようだ。が・・・・ボルダリングジムの壁のようにはいかず、何度やっても途中で手掛かりが見つけられず、流されていく。

その少し上流の岸壁なら手掛かりありそうなのに、全く届かない。後で聞くと、沈んだロープが黒部川の水圧で水中に引っ張られ、そして冷たい水で手の感覚も無くなり、思うように動けなかったようだ。

とりあえず、上田(大)挑戦
左岸に行きたいが・・・
流され、撃沈(T_T)

ここで、リーダーの判断により泳ぎでの突破は諦め、高巻くことに。残念だが、先に進まなければ。凍えた上田を引き戻し、口元ノタル沢出合まで戻ると、左岸から高巻くルートがある。残置ロープが目印になっていた。

一息入れて、山の中に入っていく。少し登ると、早速ロープを出すことになった。その後、ほぼ全ての巻き道でロープを出す。

後方への伝達が難しい

ここの巻き道は狭く先が見えない。草もブヨも多い。すぐに抜けてしまいそうな草を束ねて支点やセルフを取った。違った意味でスリリングなルートだ。8人でのロープを出した高巻きは最終的に4時間を費やしていた。皆苛立ちを抑えることにも苦戦していた。

最終ピッチ

やっとの思いで最後のピッチを終えて河原まで下りると、既に17:00。振り返るとリーダー吉村さんが、ニヤリと対岸を指さしていた。見るとそこには高台になった幕営適地と思われる場所が!ヘロヘロだったので救われた気分だった。

最後にスクラム渡渉をして、そしてその高台を確認しに行くと、なんと平らな優良物件!皆すぐにツェルトを張り、濡れた沢着を脱ぎ、焚火をセットし、食事をとり、本日の反省会からのいつもの楽しい宴で疲れを癒した。

満天の星空と雷は怖いが、幻想的

夕暮れから暗くなるまでの間、薬師沢方面の山の上で雷が何度も稲光っていた。寝ている間に強めの雨が降ったが、思ったよりぐっすり眠ることができた。強めの雨も、一時的な雨だった。

<コースタイム>

8/11(火)   晴れ時々曇り・小雨

6:30泊地発 → 6:50熊ノ沢出合 → 8:30~11:30下ノ黒ビンガ → 12:40口元ノタル沢(高巻き開始)→ 17:00泊地(口元ノタル沢上部)

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