六甲山全山縦走


保見

6月14日(土)~15日(日) (係)保見
参加者:三谷、竹本、平本、徳永、兼森、島本、桑田

 『孤高の人』で有名な加藤文太郎が最初に歩いたとされる六甲山系の西端の塩屋(須磨)から東端の宝塚に至る公称56Kmに及ぶ六甲全山縦走に挑戦した。
宝塚のゴールまで、登る高さを合わせると約3,000mにもなり、距離だけではなくアップダウンも激しいコースである。ここを加藤文太郎は8時間で歩き切り、さらに須磨まで戻って来たそうである。それがどれほど凄いことかを今回身をもって感じることができた。
 11月に行われている大会での平均タイムは14~15時間。今回は暑い時期でのチャレンジであり、日曜の予想気温は29度。おまけに男2人女6人の大所帯である。さて、一体何時間でゴールできるのか。
 土曜日の昼に広島を出発し、神戸を目指す。今日の泊地は須磨浦公園である。
テントを張り、明日の苦行を前に乾杯。午前3時には出発するためのんびり飲んでいる暇は無い。新幹線で竹本さんが到着された頃には宴もお開きとなった。
蒸し暑さとバイク・電車の音で熟睡はできず出発の時を迎える。
 午前3時。ヘッドランプを点けて、須磨浦公園をスタートし旗振山を目指す。高度が上がると夜風が気持ちいい。夜景が見えてくるが少しもやが掛かって残念である。天気は「晴れ時々曇り」の予報。この涼しさはいつまで続いてくれるだろうか。
最低限の装備のため、みんなの足取りは軽い。係もサポートタイツに短パン、軽量ザックという走るスタイルである。
 静まり返った高倉台の住宅地を抜けて、須磨アルプスを目指す。
須磨アルプスは切り立った岩場の「馬の背」が有名である。明るくなって通過したほうがいいと思っていたが杞憂に終わった。岩場を抜けて再び住宅街に降りる。
要所に「六甲全山縦走路」「六甲全縦」の矢印看板があり、ルートは間違えにくくなっているが、妙法寺の手前で看板を見落としてしまい、30分のロス。ルートミスはあとに響いてくるので注意が必要だ。「縦走路」の看板を探しながら住宅街を歩く。なんとも奇妙な縦走である。
 安井茶屋でトイレ休憩。このような茶屋がルート上に点在し、休憩ポイントになっている。これを楽しみで歩く人も多いらしい。
トイレは各所にあるが意外に間隔が長い。大会の時はどうなるのだろうと思った。
鵯越駅で2回目のルートミス。今度は早く気付いたため時間のロスも少なかった。
 最初の難所である菊水山(458m)への登りがはじまる。
通称「黒階段」と呼ばれている段差の大きい階段を登ると広い山頂に到着する。大きな電波塔の下で足を延ばして小休止。ここまで5時間。まだ8時であるが陽が熱く感じる。
鍋蓋山のあたりで竹本さんが膝に違和感を訴える。まだまだ先は長い。大事をとって兼森さんがテーピングを施す。
このあたりは森の中は歩くため陽が陰って歩きやすい。大龍寺に到着し、自販機で喉を潤す。神戸市バスが通っており、エスケープができる場所であるがまだまだみんな大丈夫そうである。
 全縦ルートは至る所に自販機があるため水を余分に持ち歩く必要が無い。常に冷たいものが手に入るのは精神的に助かった。7時間経過。計画より少し遅れている。
市ヶ原を通過し、桜茶屋でトイレ休憩。新大阪からのアクセスがよいため、全山縦走をここで西側、東側と分けて行う人も多いとのことである。ハイカーが増えてきた。これまでの静けさが嘘のようだ。竹本さんの膝を気遣って兼森さんが再度テーピングを行う。
 最大の難所といわれる麻耶山への長い登りが始まる。日差しがジリジリと熱くなってきた。トップを桑田さんが歩き、島本さん、平本さん、徳永さん、係、兼森さん、三谷さん、竹本さんのオーダーで進む。
兼森さんが遅れ始めた。気温が上がり風が無いため熱中症が心配である。団扇であおいで体を冷やすように指示を出す。体がフラついているため木陰で一休み。前方のパーティーにも休憩の指示を出す。兼森さんに状態を聞くと「お腹がすいて力が出ない」とのこと。なんと原因はシャリバテであった。竹本さんへの処置で食べる機会を逃していたようである。暑くて食べられない時やアルパインクライミングで食べる時間が無い時などもシャリバテに注意が必要である。飴などで糖分を小まめに採っておけば体に蓄えている脂肪を燃料に変えて動くことができることを覚えておいて欲しい。
 大勢の人で賑わっている麻耶山(698m)に到着。9時間経過。1.5時間の遅れ。
六甲山に来たという感じがしてくる。縦走路は車道と併用になっている箇所があり、山道を歩いたり、車道を歩いたりと忙しい。観光バス、ライダーが行きかう焼けたアスファルト道を歩いて記念碑台に到着。10.5時間経過、1.5時間の遅れ。
係の足裏に豆ができてきたため絆創膏で応急処置。もう、みんなもお腹一杯といったところか。
 観光客でごった返すガーデンテラスにはジンギスカンのいい匂いが漂っている。足早に通過し、六甲山山頂を目指す。「六甲最高地点」の看板を探しながら歩くが、縦走路は右に左にと曲がりながら進むためいっこうに山頂に近付かない。
車道を歩いているハイカーもいる。きっとその方が早いのだろうが今回は加藤文太郎の足跡を辿る旅である。近道は許されない!とみんなを鼓舞する。
竹本さんが段差のある上り、下りで苦労されている。かなり膝が曲げにくそうである。
山道を抜けて大きなアンテナが目に入ってくる。ようやく六甲山山頂(931m)に到着である。なぜか上半身裸のお兄さん方に写真を撮っていただき、最後の茶屋で水分を補給する。すでに15時である。この時点で12時間が経過。2時間の遅れ。
 ここまで来ればなんとかゴールは出来そうである。しかし、途中からは車道が無くなるためエスケープはできなくなる。竹本さんの足が心配であったが本人は無理はしていないとのことから全員でゴールを目指すこととした。19時までには宝塚に着きたい。暑さも和らいだ山道を宝塚に向かってひたすら下る。塩尾寺で山道が終わり、残るは車道を3キロ歩けばゴールである。関西圏に住んでいた桑田さんが道を聞きながらついに19:05に宝塚に到着。16時間の長い旅が終わった。
 完歩した余韻に浸る間もなく阪急電車に飛び乗る。下山してからスタート地点の須磨浦公園に戻るのも一仕事であった。乗り継ぎを3回行い須磨浦公園へ。広島に着いたのは午前0時を回っていた。
 人数も多く、暑い季節ということもあり全員での完歩は難しいかと思っていたが、なんとか目的を果たすことができた。しかし、どこでもエスケープできるとの安易な気持ちから皆さんに無理をさせてしまったことは反省点である。
最後に兼森さんの話題をもう一つ。下山後になにやら足にくっついていると騒いでいる。なんと「マダニ」のようである。無理に取るといけないということで絆創膏を上から貼り、皮膚科を受診することに。翌日、相棒?は無事に切り離されたとのことでした。

<コースタイム>
須磨浦公園2:48→3:07旗振山→3:40おらが茶屋→4:28横尾山→4:40須磨アルプス→6:06安井茶屋→8:07菊水山→9:11鍋蓋山→9:46大龍寺→10:07市ヶ原→11:55麻耶山→13:25記念碑台→14:10ガーデンテラス→15:00六甲山→17:20大谷乗越→岩倉山18:04→18:18塩尾寺→19:05宝塚

コメントを残す