世界一のカルデラ阿蘇山の感想


赤井美穂

6月4日(金)
18時半過ぎに廿日市のナカシンに集合。宮重直さんのワンボックスに7人分のザックとキャンプ用品もろもろをマジック神庭パッキングで詰め込んで大竹インターより一路九州へ。途中、関門で赤い大きな満月を見ながら夕食をとり、北熊本SAでミニ宴会。SAの食堂の軒下で休んで朝を迎えた。
6月5日(土)
6時過ぎに起床。熊本SAから降りて阿蘇へ。外輪山がぐるりと囲む中、阿蘇五山が近づいてきた。高森をまわって鍋の平キャンプ場へ到着。さわやかな高原の風が吹く中、高岳・中岳、根子岳がみえる。各自パッキングをし直して再乗車。途中、牧場で草をはむ牛を見ながら、9時半日ノ尾峠から根子岳に向けて出発した。さっきまでかかっていなかった雲が山頂を覆ってきた。根子岳はいきなり急登。しかも火山灰の土で湿ってずるずる。なんとか低い藪と湿度に耐えながら登ると眼下には緑の阿蘇の裾野が広がる。登りきって根子岳西峰。天狗岳までの縦走路の始まりには「経験あるリーダーが必要です」という看板とともに古びたヘルメットが。神庭―多賀谷、吉村―赤井、宮重―大前―吉岡の3パーティにわかれ、ハーネスを装着していよいよ縦走開始。幾度か懸垂、ガレ場を下り、ナイフリッジの岩稜を超える。ガスって見えにくいものの、時折岩の切れ間の下にぽっかりと空間を感じる。途中、ガイドと二人の客に先行してもらい、12時半ごろ天狗岩の取り付きに到着。昼食をとって登攀開始。わずか25mの登りだが、すっぱり切れており登山靴で登るのはちょっとしんどかった。岩はしっかり硬くて快適で、宮重直さんの「これはたのしィ~。」という声が印象的だった。予定では東峰を踏んで下山の予定だったが、ヤカタガウド登山口に変更。ガレ沢を下っていくと途中で凝灰岩の谷間に降りた。これが赤い岩に緑の苔がむし、なんともいい雰囲気だ。雨が降ったら滝になるのだろうが、天気がよかったので実に気持ちのいいところだった。登山口ではちょうど車が一台やってきて、楽をして車を置いていた日ノ尾峠に戻ることができた。5時半ごろキャンプ場に戻り荷物を投げて、買出し・入浴。さっき登った根子岳が目の前に広がるとても雰囲気のよい温泉だった。夜になって吹き出した風と雨のせいもあってか、宴会は山岳会らしく立派なト○レ小屋で。大前さん流にいうと「ぶち快適でぇ~」という所で、馬刺し・地鶏のピリ辛炒めをメインにそれぞれ呑みまくった。皆さん夜をしっかり楽しんだようだった。
6月6日(日)
雨が降ったら温泉旅行に変更となる予定だったが、お山のてっぺん以外は青空が見える。宮重直さんが車の回送に回ってくれたので、残りのメンバーは日ノ尾峠から高岳・中岳縦走へ。根子岳の登りと違って最初は緩やかにスタート。途中ミヤマキリシマの群生が見られるはずだったが、一面かれた低木。春の寒波にやられて今年は花はぜんぜん駄目だ。途中、可憐に一輪一輪咲いてはいた。満開だとそれは圧巻される景色だろう。気持ちよくおしゃべりしながら登りきって高岳東峰(天狗の舞台)。ガスって世界は白い。20分程度で高岳へ。たくさん人がいた。九州のある集団がわざわざ登山記念の巻紙を自作してきて写真を撮っていた。これを大前さんが例の口調でかりてきて我々もパチリと一枚。さすが係り。その後中岳・砂千里ヶ浜を通って、阿蘇ロープウェイの駅までたどりついた。それにしても、火山の地形は独特だ。神庭さんの「うわ~、ここは日本じゃない!」を何回聞いたことか。噴出した火砕流と火山灰・火山弾の跡などを見るごとに阿蘇は本当に立派な成層火山だと思った。言葉では知っている「成層火山(火山灰層と溶岩層が交互に分布する火山のこと)」が実感をもって理解でき、赤井(理科教師)には良い勉強に。こういう実感が必要なんだろうなぁ。また、特に火口の様子はすばらしく、自然のもつエネルギーは本当に膨大で、「人間はまだまだっ。私には及びませんよっ!」と主張しているようだった。九州の山は思ったより近いし面白い。今回は実にスリリングで楽しい山行だった。みなさん、また、行きましょうね。

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