1月21日~22日 (係)三谷
参加者:吉村、平本
今回、行程は長いが、比較的ルートのわかりやすい(ほぼ尾根上を歩く)新小屋峠経由で烏ヶ山本峰を目指した。閉鎖された道路の上には、2m位の積雪がある。除雪の雪壁を乗り越えたところで、わかんを装着する。
新小屋峠で、道路を離れて尾根に入る。コンパスをセットするが、昨年トレースしたことのある吉村さんが案内してくれた。私は、ここを歩くのは5年以上前になるので、記憶があいまいである。ところどころ赤テープがあり、先週のものと思われるトレースがかすかに残っている。雪は締まっており深く沈むことはないが、重たい雪への踏み込みは、足への負担となる。一方、スノーシューの吉村さんは、そんな負荷をもろともせず突き進む。スノーシューでの歩行は、雪の上を滑るように進むため歩幅も広い。セカンドであるにも関わらず、トップ並のしんどさである。
しばらくは、スノートレッキングと呼ぶにふさわしい、ブナの森の散歩である。樹氷が日光に照らされて大変美しい。
1230mピークに登り詰め展望が開けると、烏ヶ山の岩壁や大山の主稜、また遠く蒜山までが見渡せ、素晴らしい景色である。
特に烏ヶ山の両翼(稜線)が、黒い岩壁と雪のひだの威圧的な姿を見せている。絶好の撮影ポイントに、平本さんもシャッターを切るのが忙しい。しばらく、ラッセルの疲れを忘れ、景色を見入った。ガスの中の行動を予測していただけに、感動もひとしおだった。しかも今のところ先行する登山者はいない。
いったん下ったところで、烏ヶ山稜線の合流点への急なのぼりとなる。スノーシューは下りが苦手らしく、ワカンに履き替えられた。
主尾根への合流地点で、スキーのトレースがあり、南峰手前のピークに小さな人影が見える。稜線に出てもしばらくは、ワカンでのラッセルが続く。
南峰の手前で、滑走の準備を進めるボーダーに出会う。スキーのトレースと思っていたのは、実はボーダーのものであった。登るときは、スキーのように分割可能なタイプである。ボードで滑降するには傾斜がきつそうなので、登るのを諦められたそうだ。
ここでやっとアイゼンに履き替える。南峰へ続くやせ尾根は、北側へ雪庇が張り出しており、踏み抜かないように慎重に登る。南峰直下は急な雪壁となっており、例年ではブッシュにつかまりながらの木登りとなる箇所だ。しかし、今年は積雪が多いせいか、ほとんどのブッシュが隠れているため、ルートの取り方に気を使う。南峰頂上から下を覗き込むが、雪庇に阻まれてよく見えない。奥大山のスキー場から南西に延びる尾根を登ると、ちょうどここに出てくる。この最後の雪壁は、北峰へののぼりと比較してもう少し傾斜がきつい。
槍ヶ峰は既に雲がかかっている。風も出てきた。予報通り、午後からは悪くなりそうだ。
南峰からコルに下りると、北峰への最後の登りとなる。念のためロープを出すことにした。中間を吉村さん、ラストを平本さんにお願いする。適当な場所にブッシュが頭を出しており、ピッケルのブレードで掘り起こして支点を取りながら登る。雪は適度にしまっているが、気温が高いせいでアイゼンに雪がつく。
ロープの長さを気にしながら登るが、最後の急な雪壁で「いっぱい」のコールが。仕方がないので、解除して前進してもらった。何とかロープいっぱいのところでアンカーをとり、後続を迎える。吉村さんにはプルージックで登ってもらう。続く平本さん、ロープがある安心感からか、怖がらずにするすると登ってくる。
予定通り12時に北峰へ登頂することができた。標識はもちろん、大岩も半分雪に隠されている。雪が降り始めたので、岩陰で行動食をとって早々に下山を始める。下りのオーダーは登りの逆順で。ステップを崩さないように、しっかりと蹴り込んで下りる。南峰の基部に下りてくると一安心である。アイゼンをワカンに履き替える。
下山するに従い、みぞれのような雪に変わり、頂上はすっかりガスの中に隠れてしまった。