2021年5月2日(日)~5日(水) (係)吉村、(HP記)上田
参加者:吉村、坂口、松林、上田、西村、田野、田中(剛)、堀田
春合宿は東北の飯豊連峰縦走を予定していたが、直前になって天候が下り坂へ。少なくとも2日間は山で行動できる山域として、寒気による降雪もあるが白山、中央アルプス、八ヶ岳なら可能性はあるだろうなど皆で協議、リーダーの総合的判断により白山へ転進することとなった。
<行動記録>
(5月2日)
広島組は9時に宮島SAを出発し、雨がじゃんじゃん降っている東方面に向かって高速道路を走る。広島は曇りだったが、舞鶴若狭道に入るころには本降りになっていた。本日は市ノ瀬まで車で入るだけだし、運転手が6人もいるのでのんびりドライブとなる。15時過ぎ、北陸道から中部縦貫道に入るあたりで、何気なくスマホで石川県の道路状況を見ていると、風嵐ゲートが通行止めになっている情報を見つけてしまう。冬季通行止めは解除されていることは事前に確認してあったが、数時間前に通行規制された様子。調べてみると「事前通行規制」といい、雨風等で通行の危険が予想される場合に事前に通行止めにするとのことである。16時前、先に到着した関東組より「ゲートが閉まっている!」と連絡あり、16:10に広島組もゲート前に集合し、8人で唖然とする。
とはいえ、ここにいても仕方ないので、「とりあえず今晩の泊地を探そう」ということで、関東組、広島組とも事前に目をつけていた白峰地区の廃墟の軒下で雨を凌がせてもらうこととした。翌日は11kmの車道歩きが追加されたので2:00起床となる。
(5月3日)
2:00起床、4:00風嵐ゲート前に到着。やっぱゲート開いてない(T_T)。予想外の展開だが約1名を除きスニーカーもあるし、11km歩くことを覚悟し出発。田中さんは自宅からビーチサンダルで電車に乗って坂口さんと合流したらしく、冬靴とビーチサンダルしかなく、スタートはビーチサンダルをチョイス。相変わらずの破天荒ぶりを発揮していた。
4:50約2km歩いたことで何故か後ろから車が来た!県のパトロールカーだ。車を止めて状況を聞く。「これからパトロールして何もなければゲートを開ける」とのこと。30分したら下りてくるとのことなので、「おそらく開くだろう」と期待し、しばらく待つことにした。
5:20パトロールカーが戻ってきて、ゲートは開くことになった。坂口さんと上田が走って車を取りに戻り、風嵐からのアスファル歩きを回避。6:00市ノ瀬到着。
6:05装備を再び担ぎ、市ノ瀬出発。別当出合まで約6km弱の車道歩きとなるが、風嵐から歩くことを考えるとだいぶ気が楽だ。登る人の半分以上はバックカントリー目的だろう、自転車+スキー板が目立つ。スクーターを強引に担いでゲートをくぐる2人組の強者もいた。歩き始めは肌寒かったが、日が差し出す頃には暑く感じた。ビーサン田中さんのパンツは透湿機能が無いらしく蒸れるので遂にはスパッツで歩きだした。スパッツにビーサンでますます怪しい登山者に変身(爆笑)。
出合手前300mあたりで雪化粧になり登山靴に履き替え、8:05別当出合到着。
別当出合の積雪は約10cm、マイナー(?)な観光新道を行くかという意見も出たが、昼からホワイトアウトの可能性があるので、メジャーな砂防新道を行くとの判断になる。 吊り橋を渡り石階段に取付く。踏み跡は積雪がみぞれ状態になるので慎重に階段を上がる。地味に疲れる階段だ。
9:30中飯場通過、積雪は20cmになっていた。中飯場以降は少し急登を登ってはフラットな部分を歩くを繰り返すような地形となる。左手には観光新道の尾根、右手にはチブリ尾根を眺めなら高度を上げていく。
10:50別当覗を通過、まだ青空が見えている。現在の標高は1780m、市ノ瀬が標高830m、白山山頂が2700mとして、まだ半分に到達していない。11:50別当覗から約1時間で雪に埋もれた甚野助避難小屋に到着。小休憩を取っている間にガスでそらは真っ白になり、見えていた黒ボコ岩もどこへやら。
甚野助避難小屋でワカンを装着。南竜道分岐までを直上し、南竜道を横切る形でエコーラインにトラバースしていく。このトラバース斜面は斜度が30度前後と思われ、雪崩地形であるため先頭を行く松林さんより「各人の距離を10mあけてトラバースするように」との指示。
トラバースを終えるとエコーラインの急登。既に周囲はホワイトアウトして左手に少しの樹木があるのは分かるが、右手側はどうなっているのかさっぱり見えない状況の中を進む。急登が少し緩み、顕著な尾根上に出た(と感じる)あたりで、風も強くなり吹雪になってきた。これ以上行くと弥陀ヶ原の平らな地形に出てしまうので、このあたりでビバークするとリーダーより指示があり、左から吹き上げくる風雪を凌げる樹木を利用しテントを設営する。
時折、アラレ状のものが弾丸のように飛んできて、皆「痛っ、痛っ」と叫びならスコップで降雪量約30cmの雪の斜面を整地、15:00広島組6人用、関東組2人用の2世帯の住宅が完成。中に飛び込み、氷を溶かして広島組は12ℓ(1人2ℓ×6人分)の水を作り、米を炊く。風で揺れ動くテントの中で吉村さん用意の手巻き寿司をお腹いっぱいに頂く。
隣の関東組みテントでは叫び声も聞こえる、何かひっくり返したんだろう(笑)。20:00頃、風はまだ強いが、テントに当たる雪は少し減ったように感じだった。明日はテントに荷物を残置して5:00発で山頂にアタックしようということになり、その旨を関東組のテントに伝えて就寝。
(5月4日)
3:30起床、5:30出発。関東組のテントから「今日、手ぶらですよね?」とのんきな声が聞こえる、「手ぶらでいけるわけねーだろ」。風は強いが天候は晴れ、テントを出ると御前峰が姿を現していた。
アイゼンを装着し室堂に向かう。振り返れば雪をたっぷり被った別山も綺麗に見える。凍って固くなっている雪面と新雪のままの雪面の区別が分かりにくく、ギクシャクして歩きにくい緩やかな斜面を足元を選びなら歩く。
6:25室堂到着。ビジターセンターは掘り起こされて姿は見えるが、その他の建物、神社は屋根まで埋まっている、積雪量のすごさに驚く。休憩を挟む。営業小屋は5/1~素泊まりOKとの事前情報であったが、どうやらまだ営業してないようだ。
室堂からも固い足元と緩い足元に注意しながら御前峰目指して登り、7:50御前峰(標高2702m)に到着。風が強え~。北側には翠ヶ池も見えると思うがさすがに雪に埋まってるね。
さっと記念撮影をして、白山奥宮まで行ってみる。緑色の屋根がかっこいい。
もうしばらく景色を堪能したいが、身体が冷えてくるので下山の指示が出る。8:00帰りは同じルートを下りていく。9:30テント場まで戻ってくる、斜面が緩いし下りは歩きやすい。10:05テントを撤収し、下山開始。
日差しも強くなり、昨日とうって変わって気温も上がってきた。「昨日の寒さはなんやったんや~」と談笑しながら、13:10別当出合到着、下の方はだいぶ雪が解けていた。
別当出合でスニーカーに履き替え、15:00市ノ瀬まで下り、合宿終了。白峰温泉総湯に入った後、関東組と解散。この温泉は肌がツルツルになり気持ちいいお湯だった。 その後は勝山市のスーパーで夕食を買出し、高速道路の深夜割引を適用するために勝山ICを入る。その日は南条サービスエリア付近でビバークとした。
(5月5日)
5:00起床、テントの中は暑いので入口を開け風を入れる。なんか雲行きが怪しい。堀田さんが「あ、すぐそこまで雨が来てる、10分後に雨雲に入る」との情報。食事はパーキングエリア内のベンチで摂ることにして、まずテント撤収。間一髪で濡れることなく片付け完了。早朝のサービスエリアは人も少なく、来る客は概ね1人~2人。ベンチで6人がラーメンを食べていても多数決で6人の行動が違和感なく感じられた。
そして、雨の中を広島へ。13:00広島へ到着する頃には雨は上がっていた。
昨年の夏合宿に続き、関東支部と合同で春合宿。東北山行から北陸山行への急な変更、風嵐ゲートが閉じていたり、寒気による降雪もあり、現地に行ってみないとわからないことが多い山行であったが、いろいろなことがあり結果的に良い経験、良い合宿となった。
<コースタイム>
(5月2日) 9:10 宮島SA発 → 16:10風嵐ゲート
(5月3日) 6:05 市ノ瀬発 → 8:05 別当出合 → 9:30 中飯場 → 10:50 別当覗 → 11:50 甚野助避難小屋 → 14:30 泊地(弥陀ヶ原手前)
(5月4日) 5:30 泊地(弥陀ヶ原手前) → 6:25 室堂 → 7:50御前峰着 → 8:00御前峰発 → 9:30 テント場着(弥陀ヶ原手前) → 10:05 テント場発 → 13:10 別当出合 → 15:00 市ノ瀬着
(5月5日) 7:00 南条SA発 →13:00 宮島SA着