2020年夏合宿 黒部川上ノ廊下(1日目)


~90周年記念山行~

日程:2020年8月9日~8月15日 ※移動日含む

<係>吉村

<参加者>宮本、坂口、松林、上田、西村、田中、堀田

アルバム

<行動記録>

8月9日 ※移動日   (記)上田

8:30小谷SA集合、車2台で安曇野ICまでの約9時間の快適なドライブ。途中、福石PA、桂川PAで運転を交代し、次は虎渓山PAを目標に西村さんが運転。ここでアクシデント発生。ふとナビを見るとあまり聞いたことないのPAの名前が目に付く。名古屋市へ向かっている (笑)。小牧JCTで東名高速に進んでしまったようだ。名古屋ICで料金所の係員に事情を説明しUターンせせてもらう。同様の事例は多いのだろう、係員は手際よく特別転回のカードを取り出しUターンさせてくれた。

特別転回カード。親切な世の中になったもんだ。

虎渓山PAでまた運転を交代し17:00頃に安曇野ICを降りてドライブ終了。大町市内で食材等を買い、大町山岳博物館近くで翌日以降の作戦会議を兼ねてミーティングを実施し、21:00就寝。

     

     

8月10日   1日目   (記)上田

5:00泊地の大町山岳博物館近くを出発し、5:30に扇沢駅に到着。車は車両回送業者専用スペースに止めることができ、そこでザックにパッキングを行いつつ、回送業者から折立へ車回送後の説明を受ける。

扇沢の駐車場で準備

関東組とは6:30に切符売り場付近で待ち合わせをしているが、切符を購入する時間も必要なので6:00には切符売り場へ向かう。田中さんが購入の列に並んだが、既に100m近くの列ができていた。予定通りに始発の7:30に乗れるだろうか。

最後尾はぐるりと回り、切符売り場の前になってます

6:30に関東組の宮本さんと坂口さんと合流。関東組は昨夜11時頃に駐車場に到着し、車中泊したとのことであった。みんなで田中さんが切符を購入するのを待つが、どうも2便目の8:00発になるようだ。黒部ダムから平ノ渡場まで少し急がないといけないかも。 電気バスが出発するまで改札の待合スペースで記念撮影やら電気バス以前のトロリーバスの展示品、映画「黒部の太陽」の資料などを見て時間を潰す。

2020年8月10日、出発。

8:00電気バスに乗り出発。コロナ禍の影響でバスの乗車人数は制限されており混み合っておらず、全員が座ることができるようになっている。途中、関電トンネル最大の難工事場所となった破砕帯を通過し、8:16黒部ダム駅に到着。

関電電気バス、初乗車
黒部ダム駅到着

黒部ダムの観光放水を見学しながら先を急ぐ。天気は晴天、今日は暑くなりそうだ。

観光放水中の黒部ダム

エメラルドグリーンの黒部湖を眺めながらダム堰堤を通過し、カンパ谷の吊り橋を渡り、ロッジくろよんを通過すると、ダム湖の縁の樹林の中を歩くようになる。

カンパ谷の吊り橋からダム湖を望む
ロッジくろよんを通過、ここから樹林帯へ

黒部ダムから奥黒部ヒュッテまではトータルの高低差が30mくらい(黒部ダム1450m~奥黒部ヒュッテ1480m、黒部湖の湖面が約1450m弱)しかなく、ほぼ水平な道を歩くと思いきや、黒部湖へ注ぐ支流を越えるたびに丸太の階段でアップダウンを余儀なくされる。最初は珍しかった丸太階段も最後には「また階段か~」と文句を言われるようになって来た。

支流を渡る丸太橋
遊覧船「ガルベ」が見える
丸太階段もそろそろ飽きてきた

11:45黒部ダムから約3時間半、平ノ渡場まであと残り600m弱まで来たところで、12時の渡船便までリミット20分。ちょうど前方から来た登山者に「あと10分で平ノ渡場まで行けますか?」と聞いたところ、「無理じゃないかな」との回答。後ろから「先に行って船を止めてこい」との要望があり、リーダーの許可をもらい上田単独で小走り。小五郎山での歩荷、大万木山でのアップダウンの山行がここで役に立った。

あと少しで平ノ渡場
平ノ渡場手前のガレ場

11:59平ノ小屋までは無理だったが、渡船の船着き場は手前にあり下の方から声がする。ふと下を見ると渡船が出発しようとしている。大声で「12:00時の便に乗りたいけど、あとのメンバーが10分くらいかかる。なんとかなりませんか?」とお願いしたところ、「一往復してくるので、その後にもう一回船を出してあげる」との回答。よおぉぉし!

平ノ渡場

後ろのメンバーも急いできていると思い、ザックを下ろして登山道を戻り、急がなくても大丈夫という旨を伝える。とりえず本日の核心は乗り越えた。

平ノ渡場にて記念撮影
平ノ渡場にて記念撮影

12:15乗船名簿に住所氏名を記載し、ライフジャケットを装着し船に乗船。約5分の乗船であったが、天気はいいし、のんびり感もあるし、非現実的な環境が心地良かった。

渡船で対岸へ

この渡船はダムが出来たことで以前の登山道が水没したため、関西電力が補償として無償で運営しているため無料で乗船することができる。乗船員は毎日大町市から通っているそうで、1日4~5便の船を渡す時以外はおそらく釣りをしている模様。吉村さんが釣ったマスを見て「ええの~」とその生活ぶりを羨ましそうに讃えていた。おそらく他のメンバーは「あなたも同じような生活しているけどね・・・」と思ったに違いない(笑)。

また、乗船員に今シーズンの上ノ廊下の情報を訪ねると、ガイド含め2~3パーティー入っているだけで、今シーズン上ノ廊下へ入る人はまだ少ないとのこと。梅雨が長かったためやはりまだ水量が多いようだ。平ノ渡場の水はここ毎日1mづつ下がっているらしい。やはりスタートを2日遅らせて正解だったと思った。

対岸へ到着

12:20対岸に到着して大休止。ここから奥黒部ヒュッテまで湖面が左から右になっただけで、また概ね水平な登山道を木製階段を上り下りしながら進んで行くことになる。

途中、ライフジャケットを背負った登山者とすれ違う。話を聞くと水量が多く、口元ノタル沢で諦めて帰ってきたとのこと。他のメンバーは突っ込んで行ったが、天候も明日は雨が降るかもしれないので諦めたと言っていた。

まだまだアップダウンは続く

15:10歩くこと約2時間半、予定より少し遅れて奥黒部ヒュッテに到着。各自ビールを1本買って、ここから入渓することとなる。小屋の主人の言う通り奥黒部ヒュッテの幕営地まで少し戻り、そこを直進すると東沢谷に下りる踏み跡があった。そこを下りると黒部川との合流地点に出る。これ以上は沢装備でないと進めないので沢装備を装着~。

奥黒部ヒュッテ到着
東沢谷出合にて沢装備へ

16:30少し遅くなったが東沢谷出合より黒部川入渓~。本日はあと少ししか進めないのでできれば濡れたくなかったが仕方ない。さすがに水は冷たい!

水流と川底の感じを確認するため、最初から4人でのスクラム渡渉に挑戦。水量は多く、浅い場所は問題ないが、水深が腰以上に深くなってくると身長と体幹の違いが顕著に出てくることが判明。松林さんから強い人がスクラムの上流側に行くように指示が出る。

黒部川、入渓~
4人でのスクラム渡渉

17:00時間も時間なので予定の熊ノ沢出合までは進んでないが、砂地のビバーク適地を見つけ、各自ツェルトを張る。リーダーの指示により焚火の準備をするが、困ったことが発生。今まで着火剤は針葉樹の落ち葉か、テーピングを使っていたが今回はそれが見当たらない。仕方なく乾いてそうな落ち葉を集めて着火するがなかなか火が起きない。見かねたリーダーが「ダケカンバの皮を取ってこい。薄くてペラベラのが特に良い。」と。ちょうど近くに皮がベラベラになった白樺があったのでその皮を一握りほど集めて着火剤にする。なんと、すごい火力じゃん!「ダケカンバすげ~」と焚火担当の田中さんと共に感動する。

なんとか火起こしに成功
衣服も乾かしながら食事を摂る

晩御飯は豚汁+御飯、ふりかけも豊富にあり、温かい食事が身に染みる~。明日から本当に2泊で薬師沢小屋まで抜けられるか不安ではあったが、やれるだけやってみようと水温に負けないように熱い思いを胸に就寝するのであった。

<コースタイム>

8/9(日)   8:30小谷SA(集合) → 18:00泊地(大町山岳博物館)

8/10(月)   晴れ

5:00泊地発 → 5:30扇沢駅着 → 6:30関東組と合流 → 8:00関電トンネル電気バス乗車(7:30は乗車できず) → 8:16黒部ダム → 8:50ロッジくろよん→ 12:10平ノ渡場 → 12:20対岸着→ 15:10奥黒部ヒュッテ → 16:30東沢谷出合より入渓 → 17:30泊地(熊ノ沢出合手前)

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