後半(縦走)
14日
登攀隊と分かれて、横尾を目指す。河童橋付近は、まるで通勤ラッシュの満員電車のよう。涼しい樹林の中を歩くと気持ちがいい。明神では、穂高の奥宮にお参りし、明神池を見学。
赤井さんも急に日程が取れて、穂高に入っており、今日は、西岳から大天井、常念と巡って横尾で合流の予定だ。横尾はまだテントが少なく、日陰を選んで、赤井さんの分も場所をとってテントを張って夕食準備。偶然、東京の緑山岳会のテントの横だった。屏風岩の見学に行き、赤井さんが下りて来るのを山小屋前で交代で待つ。重い荷と強い日差しで、さすがの赤井さんもお疲れモードだったが、6時に無事合流できて安心した。槍ヶ岳では、大前さんにビールを献杯してきたそうだ。
<上高地11:00~明神11:50~12:30~徳沢園13:30~横尾14:30>
15日
赤井さんに見送られ、蝶ヶ岳へ。槍見台で槍ヶ岳を初めて見た二人は、大感激。ゴゼンタチバナが咲く、樹林帯の中の山道が涼しい。蝶ヶ岳と常念岳の鞍部に出ると槍ヶ岳と穂高連峰の眺めは素晴らしく、北アルプスデビューの二人にとっては、最高のプレゼントだ。空身で蝶ヶ岳までピストン。蝶槍など、いくつかのピークを越えて常念を目指す。ニッコウキスゲやハクサンフウロなどお花畑が疲れた体を癒してくれる。初めての高度と強い日差しで田村さんはちょっとバテ気味。常念岳の最後の登りは、大きな岩の間をペンキ印を探しながら登る。だんだん雲が湧き出し、ずっと見えていた槍ヶ岳が雲の中へ。常念岳では、残念ながら360°の展望とはいかなかったが、歩いてきた蝶ヶ岳からの稜線も見え、感慨ひとしおだ。下りが苦手な桑田さんにとっては、ここからのガラガラの下りが核心で、怖かったらしい。しかし、高齢のツアー登山者も多く、どんどん登ってくる登山者をよけながら、用心して下る。とうとう雨が降り出した。すぐに止んだが、本降りになる前にテントを張りたい。靴擦れと下りの不安定さから9時間半かかってしまったが、最後まで気を引き締めて下る。
雨も止み、外で槍ヶ岳を見ながら夕食を食べた。明日の目的地、屋根に夕陽が当たってきらきら光る西岳ヒュッテに思いを残して、テントの中へ。7時頃から雷と大雨の本降りになったが、明け方には止み、東の空にオリオン座が輝いていた。
<横尾5:00~2625分岐8:00~蝶ヶ岳8:30~2625分岐9:10~常念岳13:20~常念小屋14:20>
16日
モルゲンロートを撮ろうと、常念岳に登っていくライトを背に、横通岳の登りへ。20分ほど登ったところで、朝日が昇る。急に空に閃光が走り、見ていく内にどんどん大きくなっていく。全部姿を現すのに数十秒だが、長く感じる。パワーをもらって、先を急ぐ。ここからは雲上のトラバース道。左手に槍穂の稜線を眺めながら、足元の高山植物を見てどんどん足が進む。横通のガレ場で、コマクサの群落を発見。淡いピンクの花をつけた高山植物の女王は、イワツメクサを脇に見事に咲きほこり、美しさを発揮していた。雪渓の脇に最後のチングルマも咲いていた。
大天井岳では、360°の展望を楽しむ。東鎌・北鎌を従えて槍ヶ岳もだんだん大きくなり、硫黄尾根の向こうに三俣蓮華、鷲羽の裏銀座の峰々。燕岳からの表銀座の稜線、そして今まで歩いてきた山並みも見え、感慨深く山頂からの眺めをゆっくり楽しむ。そして、大天井ヒュッテまでの下りにもコマクサの群落があり、お花畑を楽しむ。今日も、午後からは昨日と同じように、午後からは雷雨もあるとのヒュッテのおじさんからの話を聞き、今日の行程を西岳で見直すこととして、喜作新道のお花いっぱいのトラバース道を歩く。西岳の山頂で、大前さんのザックも一緒に槍ヶ岳をバックに記念撮影。稜線上のキャンプ場での昨晩のような雷雨は怖いので、一気に下ることにした。
西岳からの下りは、はしご・鎖の連続で、登山者も少なくスムーズに下れた。二人ともそこまでは絶好調だったが、ころころした石に足を取られ始め、落石をしないように気をつけて下るように伝えた。水俣乗越で遭難者を探している2人パーティに出会った。10日前に北鎌に向かい帰って来なかった友人を捜しに来ていているとのこと。槍沢キャンプ場まで下る。ちょうど空いたスペースにテントを張ることができた。ツェルトで寝てみたいとの田村さんの希望と明日は小梨平までという行程からOK。雨がひどくなったら、テントに戻ってくるようにと伝えて、就寝。雨が降らなかったこともあり、寒さを我慢して過ごしたそうだ。桑田さんも課題だった下りもだんだん速くなるなど、二人ともこの山行でいろいろな経験をし、たくさんの成長が出来たのではないでしょうか。
<常念小屋4:45~大天荘7:45~大天井岳8:00~8:25~大天井ヒュッテ9:10~西岳11:30~水俣乗越12:40~槍沢キャンプ場14:30>
17日
槍沢ロッヂでテン場代を払い、横尾まで下る。今日は、土曜日。どんどん登ってくる登山者で、下りに時間がかかった。楽しい山道も終わり、横尾からは、観光客の中を縫って小梨平へ。山の見える川原の近くにテントを張って、田村さんたっての希望の岳沢を途中まで登ることとした。西穂高の峰々を展望所から眺めて下山した。川原のキャンプ場からも明神岳が美しい。
<槍沢キャンプ場6:00~槍沢ロッヂ6:20~横尾7:30~小梨平10:00、 小梨平11:00~岳沢西穂高展望所12:45~小梨平14:30>
18日
上高地のバスターミナルで、登攀隊と再会。互いの無事を確認して、7時半発の平湯行きのバスに乗り込む。バスの中で互いの情報交換。(無線機の調子が悪く、状況が分からなかったので、)楽しい話をいっぱい伺った。平湯の展望露天風呂で汗を流し、帰広の途についた。