個人山行 容谷峡沢登り


松林

5月31日(土)  松林
参加者:吉村
<行動記録>
 沢登りの季節がやって来たというのに沢登りの例会は6月に1回、7月は無しの予定。これでは沢道具代が勿体無いので自分で山行を出そうと検討していると、吉村さんが話に乗ってくれて吉村さんの行ったことのない容谷峡へ行くことになった。僕にとっては沢の計画は初、真栄君と沢をやるのも初めてだったので楽しみにしていたが、真栄君から所要が入ったと連絡があり、メンバーは2人となった。

 健康村キャンプ場のおじさんに入渓箇所を聞き裏手に回ると、宇佐川に注ぐ細い流れが見えた。水量も少なく見えたのでこれが容谷峡で合っているのか?と疑問に思ったが、地形図を見ても流れのある谷はこれ以外には無い、と納得して入渓する。
 初めの200m弱は易しいゴルジュ。その先は開けた河原で左岸側に林道が通っており、使われなくなったイノシシ用の檻や養殖生簀などが見える。中国自動車道の橋が近くなると再びゴルジュとなり、30数年前の建設時に落とされた鉄パイプが何本か見られる。
 橋の下を潜り、地滑りによる倒木で埋められた箇所を超えると、遡行図にある「小滝群と釜の連続」になる。この辺りは全く印象に残らなかったが、一ヶ所、小さいカーブの前後だったか、出口に倒木の根元が引っ掛かったゴルジュに出くわす。これは胸まで浸かるの覚悟、というくらいの深さだったが、偶然にも水中に浸かった別の倒木が真っ直ぐ手前に延びていて、その水中歩道を利用して容易に突破できた。
 F1,F2はどれかと特定できないが、3mのF3からは明確になる。F3を登ると奇形のチョックストーンをもったF4が現れ、その先にF5が見える。F4は釜をへつって取付き、背中と足で突っ張りながらチョックストーンの右側を登ったが、吉村さんは左側をすんなりと登って来た。F5は最近の記録ではさほど難しくなく登れるそうだが、手前の深い釜を泳ぐと寒くなるので、F4を降りて高巻くことにした。F3上部から斜面に移りルンゼを詰めるが、傾斜がきつく足が滑りそうなので、少し戻って木のある細いリッジを登り、上下移動を終えてトラバースに入る。初めの20~30mは足場が悪くなかなか進めないので、先に見えていたF6まで一気に巻くのは遠いなーと思っていたが、徐々に足場が良くなりF6の先まで辿り着く。
 休憩を挟み、少し進むと健康村のおじさんが「滑り台」と言っていたF7に差し掛かる。手前の釜はへつっても深く、休憩直後の体に腰までの水が応えた。滝の右寄りの怪しいホールドをあれこれ触ったあと、滝寄りに良いガバを見つけたのでそれを信じて足を高めに着け、体を引き寄せて次のホールドへ手を伸ばそうと試みるが、足が滑り手も剥がされて釜に落とされた。落ち方が悪かったのか踵が底に着き、昨年の骨折の悪夢が頭を過ったが大事には至らず。「滑り台」として滑るなら尻から落ちて潜らないが、体が伸びた状態だとある程度の深さがあっても下まで着いてしまう。他人のブログで「F7は釜が深く(危険ではないので)チャレンジしてほしい」と書いてあったが、自己責任の登山では人の言葉を鵜呑みにしてはいけない。それと分かったことは滑る岩では滑らない岩でのムーブは通用しないということだ。思った以上に沢は甘くない。
 本にはF6から先は平凡、と書いてあったがF7の先にもまだ顕著な滝が現れ、それらが見える度に「あれっ?」と声が出る。F8~F10はいずれも6~7m前後の滝で、2本は巻き、1本は左寄りをフリーで登った。
沢はカーブして東北東へ進行方向を変え、水量が少なくなってきたのを感じる頃に綺麗な小滝が続く、七連の滝が現れる。清く正しく美しい2人の山行に相応しい滝だ。この先でさらに水量が少なくなった緩いナメ滝を登ったところで沢中歩きは終わりにして、大休憩を取って道具を片付け靴を履き替える。
 再出発してすぐに沢は二俣になる。左俣に流れが見えたので左俣が本流かと思ったが、吉村さんによると右俣は伏流しているだけで、こちらのほうが大きく本流。確かに地形図もそうなっている。沢筋は大したブッシュも無く歩き易く、倒木で詰まった辺りから左に避けて急斜面を上がり、主稜線と容谷山との間の尾根に出る。
 呼吸を整えてから容谷山のピークに向かい、南の尾根を下る。出だしは足場が悪いが道は徐々に良くなる。784.4mの三角点を過ぎて少し下った755m地点で尾根が分かれ、はっきりした踏み跡のある左へ舵を取った。途中、尾根が急になりザレた斜面を下っていたが、左から巻き道が合流し、しばらく下ると未舗装の林道に飛び出た。この林道を南へ進み、高速道路の下を潜ると養豚場沿いの車道に出て、駐車地の412m地点まで歩いて終了。

 初めての沢計画、半分は自分の判断で進むことができたが、半分は吉村さんに判断してもらった。吉村さんの判断がどういう理由で下されたのか?それを覚えていれば自分の判断で進行、対処できる部分が多くなり、もっと面白くなる。十の位が6になった吉村さんと一緒に行けるうちに、できるだけ多くのことを学んでおこう。

<コースタイム>
8:52健康村キャンプ場→10:33 F6の先10:46→12:10標高730m付近12:45→13:18尾根出合13:33→13:40容谷山→14:35林道→14:58標高412m駐車地

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