10月11日(金)~14日(祝)
<参加者>三谷、平本、徳永、保見、田村
<行動記録>
会に入会して2年目、初の係りは九重連山の黒岳周回コースを選びました。長者原や牧ノ戸登山口からは何度か足を運んだことはありましたが、東方面の登山口からは初めてで、連山のなかで唯一原生林の中を歩けるコースです。黒岳という名の山頂はありませんが、高塚山、前岳、天狗岩を総称して「黒岳」と呼んでいます。岩場も多く健脚コースとあって、いつかは行ってみたいと思っていたので、この機会に計画させて頂きました。また、遠方にも関わらず沢山ご参加を頂き有り難うございました。
広島を出発した皆さんと下松のSAから合流。順調に九重に近づいていた矢先、ガソリン補給のタイミングを逃した係りの車がガス欠寸前の危機を向かえる。急遽、男池駐車場の手前の小学校で仮眠をとることにしました。SLの三谷さんからは早くも大きな溜息が聞こえてきます。
翌朝6時半に起床して移動を開始、運良く明かりのついた給油所に到着しました。親切なおじちゃんに満タンにしてもらって男池駐車場へと向かいました。 今日の天気は午後から更に天候が崩れる予報だったこともあり、駐車場は閑散として登山者の姿もありません。小雨が降る中、皆が素早く行動してくれたお陰で予定通り8時に出発することが出来ました。
本日のオーダーは、係り、新人田村さん、徳永さん、保見さん、平本さん、三谷さんです。男池園地の入口で清掃協力金を払い、登山届を提出して出発します。緑の大自然林に入り、道はほぼフラットでケヤキやコナラ、ブナ、オヒョウ、コミネカエデなどの樹木の名札を見ながら30分歩いて「かくし水」に到着しました。黒岳周辺の高地の湧水はここだけで流水はやがて地下に滲みこんでしまうので、「かくし水」と呼ばれているそうです。少し甘い美味しいお水でした。
ここからは斜度もきつくなり、岩段差も多くなってきます。朽ちた倒木や苔むした岩など、巻いたり乗り越えたりしてグングンと登っていきます。ソババッケの手前のなだらかな開けたところに出て休憩をとります。ここから平治岳ピーク脇に出る急登の「東尾根ルート」から山頂を目指します。『山と高原地図』には紹介されていませんが、赤テープが小刻みにあって尾根のルートは鮮明でした。踏み跡が柔らかいのでまだ余り人が足を運んでいないことが伺えました。最初はゆっくり目を意識していたつもりでしたが、「ペース速いよ!」や「衣類調整を!」と促されます。急登に慣れていない新人さんへは歩き方についてのフォローが女神の徳永さんより聞こえてきます。これらは本来なら係りがしっかりできるようにならなければならないのですが、言うタイミングがなかなか掴めないのでありました。
1時間半の長い急登を終えようやく平治岳山頂に到着しました。辺り一面ガスで景色は全く見えませんでした。突風が吹いているので長居せずに南峰へ移動しました。下山口が見つからずに手惑いましたが、保見さんが発見して無事に専用下山口から下降を開始しました。下山路の急下降はロープも張られて、小砂利を滑りながら一気に大戸越まで下ってきました。大戸越まで下るとガスも晴れて坊がつるが見渡せました。
そしてここからの予定について悩む係りです。山頂付近の風が強いこともあり、大船山への縦走は明日に順延することにして坊がつるを目指すことにしました。木の根っことぬかるんだ足元が歩きにくかったですが、12時前に坊がつるへ到着しました。広い湿原の水はけの良い場所を皆で探してテント幕営にとりかかります。風がバタバタとテントを揺らす中、明日の行動予定を相談した後は、保見さんが歩荷してこられたスパイシー料理をご馳走になりました。まだまだたっぷりと時間もありましたのでススキ原っぱを散策して法華院温泉でゆっくり温まることができました。
二日目は3時起床。本日の予定は大船山から黒岳縦走8時間行動予定です。テントを撤収してヘッ電をつけて大船山を目指します。天候は霧雨。段原までの樹林帯は石がゴロゴロとした登りが続き、巻き道も沢山あって時折道を修正しながら段原に到着しました。大船山の山頂までは大きな岩に変わり3点支持で登って行きます。誰もいない山頂に到着しました。去年の例会で来た時は人の多さに山頂へ近づけないほどでしたが、ガスも晴れてきて、プチ雲海と九重山や中岳、三股山をゆっくりと見渡せました。
段原へ戻り黒岳方面に向けて米窪と呼ばれる火口のお鉢を廻って行きます。直径500mもある火口跡は九重で最も新しい火口跡だといわれているようです。ミヤマキリシマの群生地が広がっている狭い道は枝を掻き分けながら歩きます。「風穴へ」の看板から下りが始まります。目の前に赤く染まった高塚山や天狗岳の稜線が見ながら「風穴・岳麓寺」の分岐まで下りて休憩します。
ここまでコースタイムは予定通りですが、激下りに疲れの色も見え始めているようです。優柔不断な係りは「このまま黒岳へ進むべきか、エスケープすべきか」を悩んで皆に聞いてみます。しかし決断は係りがしなくてはならなりません。黒岳を楽しみにしていた皆さんには申し訳ないのですが、岩場の黒岳は割愛して男池を目指すことにしました。
大船山と黒岳の間の暗部にある風穴に到着すると、保見さんがヘッ電をつけて古いロープが垂れている穴の中に偵察に降りて行かれました。4.5帖ほどの部屋が2つほどあるそうです。例年7月頃まで氷が残っているそうで、大正年間に蚕種を保存するための天然冷蔵庫として利用されていたようです。
奥ゼリ(大戸越への分岐)までは苔むした大きな丸岩が多く滑らないよう注意が必要です。目の前に広がる景色は一面緑で埋め尽くされ幻想的で何だかホッとする癒しの空間を歩くことができました。岩場が終わると開けた湿地に出ます。ぬかるんでいるので石の道が作られていました。ここは「ソババッケ」といい山腹にある広い凹地ですが、名前の由来はっきりしません。昔、蕎麦畑だったという説や「ソバ」は山の中腹、「バッケ」は崖を意味するという説、岨捌(ソバハケ)が変じたものなどの諸説もあるようです。
ここから先は昨日歩いてきた道に合流して男池で休憩して11時に駐車場に戻ってきました。途中で「千年ケヤキ」や、「石をつかむオヒョウの木」を発見、タコが巻き付くようにして、根っ子におおきな岩を抱いている珍しい木でした。自然のパワーが漲っているようでした。今回は残念ながら雲の多い天気で、紅葉の景色は残念でしたが、雨で濡れた緑の森がとても綺麗でした。急登や雰囲気など色々な意味で表の九重と違った広い深い森を貸し切り状態でゆっくりと歩くことができました。
初の係りは頼りなく、冷や冷やとご心配をお掛けしましたが、皆さんにサポートをして頂き無事に終えることが出来きました。計画当初から色々とアドバイスをしてくださった先輩方有り難うございました。山行を安全に計画・遂行・判断をすることはとても大変なことで、改めて先輩方の大変さもシミジミと感じました。また次回「行ってみたい山」企画を増やして行きたいと思います。
10月19日
07:53黒岳登山口→08:18かくし水→08:44分岐(平治東尾根)→10:18平治岳1643m→10:59分岐(大戸越)→11:41坊ガツル・テント設営→15:03温泉・夕食→19:29就寝
10月20日
03:00 起床→4:31大船山登山口→05:42五合目→06:11分岐(段原)→6:39大船山1786.2m)→07:08分岐(段原)→08:12分岐(黒岳/風穴・岳麓寺)→08:36 風穴→09:06 奥ゼリ→09:42 ソババッケ→10:07 かくし水→10:32男池→10:56黒岳登山口→10:59 駐車場