大山槍尾根~東尾根→振子沢 (係)三谷


三谷

月日:3月16日~3月17日
参加者:溝手、平本、徳永、保見、兼森、桑田、島本、松林、前夜のみ:神庭
<行動記録>
各方面からの参加者が三次にて合流し、溝手号、三谷号の2台で大山に向かう。
根雨マルゴウで買い出しした後、まだ時間が早いので鍵掛峠に移動し、積雪状況およびルートの確認にと、三ノ沢まで偵察に行くことにした。幸い、天候もよく、南壁の全容を確認することができそうだ。
鍵掛峠のゲートはまだ閉鎖されているため、峠の展望駐車場に止める。広島の異常な暖かさとは裏腹に、冷たい風が吹き肌寒い。各自防寒対策を行い、カメラ、地図などを持って出かける。
例年だと、道路脇には除雪で作られた壁ができているのだが、今年は雪が少ない。三の沢の出合いも一またぎで越えることができた。三ノ沢を明日登るルートが見える位置まで歩く、沢や斜面には雪が残っているが、尾根上は所々ブッシュや崩壊した灰色の壁が見られる。特に、キリン峠や文殊越からのびる槍尾根の支稜は槍尾根との合流地点が崩落しており、雪が少ないと難しそうだ。結局、三ノ沢を詰めて通常ルートを登ることにした。しかし、沢の中央に大きなデブリがあり、落石の跡も見られる。迅速な行動が必要だ。
三ノ沢の出合に戻り、今度は文殊堂から笛吹山に登ってみる。笛吹山は山と言っても小高い丘のイメージだが、歩くと意外に距離はある。残雪の上には新しいトレースが続いていた。すると、頂上には一眼レフカメラを構える人が。偶然にも、西村夫妻に出会った。
笛吹山から眺める大山も素晴らしい。毎週大山に通われている西村さんによると、紅葉の時季がおすすめということだ。和やかな雰囲気の中で会話も弾み、しばらく景色を楽しんだあと、心地よい雪面を一気に下る。
奥大山の駐車場に会の8人用テントを張り、食事の準備を進める。夕食は、鶏肉のソテーとスープスパゲッティ。簡単なものだが意外とおいしかった。そして、前夜のみ参加の神庭くんが、溝手さんにアイスハーケンを返しにやってきた。山の怖さを知ってもらうために、昔話に熱が入って少し飲み過ぎた。明日は、溝手さんとは久しぶりの山行である。楽しみである。現在の山岳会の活気と雰囲気の変化を同時に感じ取られていた。
翌朝、奥大山の駐車場からは、朝日で赤く染まった槍ヶ峰が見えており、登高意欲をそそられる。天気は午後から崩れる予報だったが、今のところ雨の降る気配は全くない。

昨日と同じく三ノ沢から入り、最終堰堤目指して右岸を詰めていく。雪はよく締まって、ツボ足でも潜ることはない。最終堰堤の乗越は、固い雪壁をつま先のキックステップで登る。
最終堰堤でアイゼンを装着する。天気がよく、気温が下がったため、雪の状態は良さそうだ。ここからはトップを保見さんにお願いする。まずは、三ノ沢左岸に見える樹林帯の尾根を目指してもらう。
太陽が昇って来て、日光が南壁あたり始めると、拳大の落石がコロコロと我々に向かってくる。最初は、「ラーク」とあまり気にも留めなかったが、「ラーク」のコールが間に合わないくらいに、その頻度が増してくる。あわてて尾根に上がるように促す。
目の前の藪に突っ込むが、上部は傾斜のある雪壁となっている。アイゼンの前爪で登るように指示するが、桑田さんはそれに慣れていないため、なかなか登ることができない。落ちるとダメージが大きいため、ロープを下ろしてもらう。簡易ハーネスにロープを付け何とか登ってもらった。ここは藪をこいでも安全なルートを取るべきだった。
以降、やっと快適な雪稜になった。雪は付いているようなので、もう少し下部から取り付けば良かった。槍尾根の支稜は特定のルートは存在しないため、ルートの取り方は様々である。
前衛峰とのコルに下りて、槍ヶ峰主峰の岩稜をトラバース気味に登る。槍ヶ峰に登り詰めると、天狗ヶ峰、槍ヶ峰をはじめ、烏ヶ山など大山の主要な山々が一望でき、メンバーはその絶景に歓声を上げている。昨日の霞んだ空とはうって変わり、今日は澄み切った青空である。
天狗ヶ峰からの縦走路は所々氷化しており、初心者には緊張を強いられる箇所である。振子沢源頭部の安定した場所で、やっと息をつくことができた。
東尾根の取りつきと状態を確認する。雪の状態はそれほど悪くないようなので、予定通り東尾根を下ることにする。雪庇の付いている本谷側を下るが、上部の傾斜は強く、また、雪庇には不気味なクラックが走っている。ブッシュを避けて振子沢に出てトラバースをするが、雪質が急に変わり、堅く氷化した雪面が現れる。トップの保見さんからも、足下への注意を促される。

今度は、雪の付いた草付き帯をクライムダウンする。雪は腐っていて、アイゼンをしっかり蹴り込まないと安定しない。その後、トラブルがあったため、安全策を取り、振子沢を下降することにした。東尾根は冬の雪の安定した時季に登る方が良いだろう。
振子沢を軽快に下り、駒鳥小屋の下で昼食をとる。途中、出会った登山者は一人だけである。あとはバックカントリーのボーダー、スキーヤーである。
そして、鳥越峠経由で憩いの森に下山した。冬の大山では係として緊張の連続だったが、今回はその厳しさは全くなく、春の訪れを実感した山行だった。次の冬の大山が待ち遠しい。今年もやり残したことがあるので、来シーズンはもう少し登りたい。

<コースタイム>
3/16 鍵掛峠15:00→15:30三ノ沢出合→15:50三ノ沢内偵察ポイント16:05→16:15三ノ沢出合→16:30笛吹山17:05→17:20三ノ沢出合→17:35鍵掛峠
3/17 鍵掛峠7:05→7:25三ノ沢出合→8:05最終堰堤8:15→9:50槍尾根→10:15槍ヶ峰10:20→10:30天狗ヶ峰→10:40振子沢源頭部11:00―(東尾根)→11:20振子沢→12:00本沢出合→12:05駒鳥小屋12:15→13:05鳥越峠→13:45憩いの森→13:55鍵掛峠

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