2016年12月29日(木)~2017年1月1日(日) 係:松林
参加者:横山、吉村、三谷、川本
<アルバム>
9月の下見山行では三伏峠までしか到達できなかったが、10月の3連休に吉村さんと川本くんが熱い自己犠牲精神で、その先の下見に行ってくれた。
今シーズンは11月下旬に関東地方を中心に大雪が降ったが、それ以降の12月は例年に比べて比較的温度が高く、下界での降雪量も少なかった。出発直前まで直近の山行記録を探していたが目ぼしい記録は見つからず、積雪の状況は不透明だったが、天気が連日晴れ予報だったこともあり、不安の少ない心境で出発した。
<行動記録>
29日は移動日。吉村さんが用意した夕食に、松川町のスーパーで買い出しした物を足して、某所にてテント泊。早めに就寝し、翌日の行動に備えた。
30日。4時前に起きて朝食を食べ、共同装備を分けて冬期ゲートへ向かう。ゲート手前の駐車場には約20台の車が停められており、充分なトレースが期待できる。各自装備を準備して6時より鳥倉林道を歩き始める。
冬期ゲートから登山口までの距離は約9.2km。標高差約300mの道のりである。山脈の西側で日の出は遅いが、明るくなってくると南アルプスの高い稜線が見えてきて軽やかな心持ちになる。昨シーズンの、峡谷内で展望が悪かった奈良田~池山尾根の道と比べると雲泥の差だ。しかしハイペースで歩いてしまったことが原因か、係は足に靴擦れが発生。登山口でテーピングを貼って登山道に入る。
豊口山のコルまでは南斜面のため、雪は少ない。登山道の雪は踏まれてほとんど無く、周囲に何日か前の雪がパラパラと残っている程度だ。コルの少し先から入る北斜面は南面と比べてやはり雪が多いが、トラバース道はしっかりと踏まれており、快適に進む。途中までは靴のまま歩いていたが、ピッケルを出したくなってきたところでアイゼンも同時に装着する。左前に仙丈ヶ岳を見ながら塩川道を分け、三伏峠のテント場に到着する。テント場からは樹林の上方に塩見岳が見え、翌日の登頂に期待が膨らむ。
テント場からは樹林の中の細い道を進み、すぐ先の三伏山から展望を愉しむ。緩い傾斜の稜線を下り、本谷山へ登り返す。本谷山のピークを離れる際に下山パーティとすれ違い、「10分ほど先にテント場があるのでどうぞ使ってください」と勧められる。もう少し先へ進みたい気持ちもあったが、整地に使う体力、時間も考慮して、そのテント場で行動終了とした。
31日。少し出遅れたが、テントを置いて6時15分出発。北東方向に緩く下って行くと、テント場の候補地だった、樹間の広い緩い地形のコルに出る。ここから権右衛門山のトラバース道に入る。地形図の登山道はこれより90mも下を通っているのだが、これは古いのか、間違いかで、実際は標高をほとんど落とさない巻き道になっている。
主稜線に復帰して100mそこそこの距離で森林限界に達し、左前方の白峰三山が良く映える。稜線の北東側にある塩見小屋の前で風対策をして天狗岳の登りに掛かる。横山さん先頭でルートファインディングを任せ、トラバースのトレースを辿る。今まで軟らかかった雪が徐々に固くなる。そのままの調子でピッケルを突いていると、空振りして少しバランスを崩した。斜面にはベッタリと付いた雪が固まっており、転倒滑落は重傷に繋がる。
天狗岳を通過し、コルから本峰への登りに掛かる。岩の間を縫うように雪面の繋がりにトレースが付けられている。所々で青氷もあり、一歩一歩に力を入れて先へ進む。雪の詰まったルンゼを登り、傾斜の緩くなった斜面をジグザグに登ると塩見岳の西峰に着く。南アルプスのど真ん中で展望が素晴らしい。目と鼻の先の東峰を往復し、西峰の山頂標と共に記念撮影すると下山に掛かる。風が強いため、することを済ませると、早く下りるのみだ。
雪の詰まったルンゼは我々も含む登山者が多く通ったために、ステップが崩壊しており、慎重に下った。天狗岳とのコルは地形的な要因か、無風に近い状態で、ここで久々の食料と水分の補給を済ませる。これで一度、身体共にノンストレス状態に回復し、天狗岳を越えて樹林帯に入り、「安全」、「安心」を実感する。
樹林間の道を順調に進んで本谷山手前のテント場に戻り、テントを片付けて三伏峠へ向かう。「展望の良い三伏山にテントを張りたい」という強い要望があったため、三伏山北斜面の開けた場所で行動を終了し、テントを張った。写真係が塩見岳の夕景を撮ったが、写りは「イマイチ」だったらしい。
1日。テントの撤収があったのに前日より出発が早い。三伏峠で「朝食用の燃料を切らした」という首都圏の山岳会の山ガールに燃料を渡す序でに立ち話をし、往路を下る。登山口まで下りると日も高くなり、穏やかな陽気の下、駐車場へと戻った。
<コースタイム>
12月30日
冬期駐車場(6:00)→夏期駐車場(7:30)→登山口(8:15)→三伏峠(12:05)
→三伏山(12:40)→本谷山(13:57)→泊地(14:10)
12月31日
泊地(6:15)→塩見小屋(8:20)→塩見岳西峰→東峰(9:35)→西峰→前夜泊地(12:30)→本谷山(13:22)→泊地(14:25)
1月1日
泊地(6:10)→三伏山(6:18)→三伏峠(6:25)→登山口(8:36)→夏期駐車場(9:30)→冬期駐車場(10:52)
(文:松林)