2007年11月18日(日)
参加者:中島、山本(文)、宮重(直)、赤井、池野、奥原、岡村
<行動記録>
救助講習といえば消防現役の横山さんだが、今回は参加できないということで講師をすることになった。私は前夜いつもの宮重邸に泊めてもらい、いつものように栄作さんの手料理で迎えてもらった。ヌーヴォーで酔った頭で「岳」という漫画を読ませてもらったら、たくさんの山岳事故が出てきて救助講習のリアリティが高まってきた。
翌朝、憩いの森駐車場では冷たい雨が降っている。キレットで講習予定だが寒そうだ。ともかく雨具を着込んで出発する。キレットは冷たい風が吹きぬけていたが、少し下ると風はなく、多彩な岩場があって都合が良さそうなので荷物をもって懸垂で降りた。登攀具一式を装備して講習に入る。第一部は登攀中の救助で、山本・宮重・赤井・中島の4名に重点的に覚えてもらうこととし、残り3名には申し訳ないがビレイと見学に徹してもらった。リードがフォールで負傷して動けない状況からの救助を、役割を替わりながら何度も行なう。要救助者を降ろす場合、救助者が二人以上ならロワーダウンで降ろせるが、そのときに「可動式振分け」というのを初めて試みてみた。システムをセットしてからも状況に応じて体勢を変えられるので、非常に使い勝手の良い方法だった。午前中はこれで終了した。風はないがとても寒く、昼食時に池野さんが振舞ってくれたクラムチャウダーが温かかった。
午後は「下降時のロープ連結部の通過」を行なった。連結ロープでの長スパンの下降は、場合によっては最大の時間短縮が可能になる。救助の場合はロワーダウンで行なうと思うが、そちらはもう理解できているようだったので、リクエストに応えて懸垂下降での連結部通過を行なった。これは、ロワーダウンに比べて非常に気を利かせる必要がある技術だ。中島さんは壁に取り付いて、連結部まで下降してきたものの、地上1mのところで冬眠に入ってしまった。別の場所では直子さんが地上に降り立ったが、連結部に何か残置してあるのを悔しそうに見上げている。しかし、残置はあまり問題にならない。というより、はじめから残置するつもりでシステムを組んで懸垂したほうが失敗して動けなくなるリスクは少ない。特に救助では残置以外の方法で懸垂することは不可能だ。
そうこうしているうちに15時が近づいてきた。岡村さんと奥原さんには、一人や二人での、負傷者を小移動させる方法をやってもらい、15時には全員荷物をまとめて雪の降る縦走路へ上がった。風のない岩陰で、第二部の背負い搬送を始める。男チーム4名、女チーム4名に別れ、それぞれ一人の負傷者を駐車場まで搬送する。搬送方法はいろいろあるが、事前に横山さんと文登研の人に相談したところ、やはりザック+カッパで背負うのがセットも簡単で、特別な道具はスリングだけで済み、ザックの背負う機能を損なわず、交代がシンプルに行なえることから最も良い方法のようだった。各チーム、途中で工夫しながら順調に搬送を行い、駐車場で解散とした。
「使えない技術は必要ない」ということから、少々ややこしい技術は抜きにして、参加者が理解できる範囲にとどめた。それでも理解できない部分があったと思うが、一度の訓練で習得できなくても、例会のたびに少しずつ身に付けていきたいと思った。今回、二人の負傷者を頂上から搬送できただけでも、ひとつ前進である。普段の例会にも少しの訓練を取り入れて、来年はワンステップ上の講習をしてみたい。
ところで、問題は雪の道後山である。ノーマルタイヤで鳥取まで帰れるだろうか。助けてもらいたい気分でエンジンを掛け、窓ヶ山をあとにした。