個人山行:薮歩きシリーズⅥー薮歩きではなかった廿日市の裏山周回


亀井且博

<月日>12月23日(水)晴れ

<参加者>亀井、会員外1名

廿日市の市街地から見える2つの代表的な山、極楽寺山と野貝原山を結ぶ尾根は誰が名付けたか、廿日市アルプスともいわれている。途中で3回道路を横断する箇所があり、また野貝原山はかつて頂上付近に「のうが高原」と呼ばれたリゾートホテルや野外活動施設があり、そこに行く道路が登っている山だが、典型的な里山歩きができる尾根である。2峰を繋ぐ尾根を歩いた記録は少なく薮歩きを覚悟したが、ほぼ忠実に尾根を辿る道があり全体的に尾根道は里山の道と送電鉄巡視道でしっかりとしていた。ただし、標識はテープ以外には無いので、地図をよく見て取付きや分岐点では間違えないように気を付ける必要がある。市街地から見上げると2つの山は近くに見えるが、それを結ぶ尾根は見た目以上に長く、縦走に結構時間がかかった。特に野貝原山から折敷畑山を経由して宮園団地まで下る道は結構長かった。

<行動記録>

今日のコースは長いので、早めに出発することにして朝早く7時に下山場所の宮園公園の駐車場に集合した。公園の駐車場に車を1台デポして、2人で山陽自動車道上り線宮島SA裏の駐車場に移動。すでに数台の登山者の車が駐車されている。そそくさと準備を済ませて出発した。

山陽自動車道の側道を少し歩いた後、長い階段を登って平良からの正面登山道に合流した。極楽寺山は登山者が多く、登山道はよく整備されていて歩き易い。昨年、自動車道のすぐ上でクマの糞などの目撃情報があったが、木の上にクマ棚が残っていた。宮島SAでも出たと言うから、最近はどこででもクマに出くわす可能性がある。気を付けないといけない。良く踏まれた登山道を快適に登り極楽寺に到着した。いつもはここの展望台から廿日市市街地や瀬戸内海の眺めが良いのだが、今日は霞んでいてはっきりとは見えない。小休止して住職に苦情を言われる前にそそくさと移動した。賽銭は入れなかったが、一応本堂にお参りした後コンクリートで舗装された参道(う~ん、山ではないから仕方ないか・・)を歩いて駐車場に向かった。

極楽寺本堂

駐車場からは極楽寺山最高点の展望広場を経由して、蛇の池が凍っているのを横に見ながら遊歩道を辿って車道に出た。展望広場には昨夜降った雪がうっすらと残っていた。しばらく車道を歩いた後、廿日市アルカディアビレッジへ続く県道に合流した。向かいの稜線に登るのであるが、地図には稜線の道の記載はない。ここから藪歩きを覚悟したが、県道を横切ると向かいに中電の送電線巡視路の入り口があった。巡視路はどこも良く整備されているが、この巡視路も歩き易い。尾根の巡視路を30分ほど歩くと国道433号線の七曲峠に下りた。峠から635.4m三角点ピーク(汐見山)へ登る尾根への取付きは峠の廿日市市側にある。道路脇のお地蔵さんの横から急な尾根に取り付く。

七曲峠のお地蔵さん

尾根には藪ではなくしっかりとした道がある。635.4mの汐見山頂上には陸軍と刻まれた石柱があり、明治から昭和にかけて陸軍の管理していた尾根(恐らく陸軍の輸送路だったのであろう。)であることを伺わせる。その少し先から廿日市市街地が良く見える場所を通ったが、あいにく霞んできれいには見えなかった。

縦走路は648mと691mピークの間のコルから一旦沢沿いに少し下るルートと、そのまま尾根沿いに登るルートに別れる。沢沿いのルートは歩き易い良い道だが、尾根沿いのルートは赤テープはあるが全くの藪漕ぎになる。今日は沢沿いの歩き易い道を歩くことにする。一旦少し下ってからの登り返しは気分的にも辛く、尾根の登りを標高差150mほど喘いだ。691mピークを少し過ぎた場所に丁度休憩に良い陽だまりがあったので昼食にした。昼食を摂りながら地図を見るが、まだまだ先は長い。あまり長く時間をかけずに出発した。次の682mピーク手前のコルははっきりとした大きな峠で、左に川末、右に玖島に下りることが出来るが、下りる道には見向きもせずに縦走を続ける。その先の700mの広いピークで縦走路はUターンする。それからはアップダウンの少ない快適な尾根道を辿って泉水峠に着いた。泉水峠には玖島から立派な舗装道路が上がって来ていた。道路の無い県道の古い趣のある峠だった泉水峠も、今は昔の面影はなくなって寂しいかぎりである。

玖島からの車道が上がってきている泉水峠

泉水峠から「のうが高原」方面には道路が繋がっている。出来る限り道路を避けて尾根を歩きたいが、尾根そのものに道路が通っているので仕方なく道路歩きとなる。沢山の電波塔が建っているかつての頂上を通り過ぎて、明石から上がってくる道路と合流した。今は廃墟となって解体されている「のうが高原ホテル」の横を通って野貝原山の頂上に向かう。昔のレジャー施設ややホテルがあった「のうが高原」は今はメガソーラー発電所となっている。見渡す限りのソーラーパネルには圧倒される。

のうが高原のメガソーラーのパネル。後方は大峯山~阿弥陀山の稜線

疲れが出始めた体には野貝原山への少しの登りが辛い。今日の最高地点である野貝原山の一等三角点に触って少し満足感に浸る。

しかしこれからが結構大変だった。以前にも折敷畑山経由で宮園団地に下ったことはあるが記憶が今一はっきりとせず、ただの下りで大したことはないと高を括っていた。頂上から解体中のホテルの場所まで引き返して明石に下る道路をしばらく歩き、道路が尾根から外れる地点から折敷畑山に続く尾根道に取り付く。折敷畑山に下る尾根道は歩く登山者が少ないのか泉水峠までの縦走路に比べると少し薮っている。テープ標識があって踏み跡はしっかりとしているので迷うことは無いが、木の枝が時折顔を撫でてうるさい。折敷畑山頂上から少し下ると古戦場跡の標柱があり、毛利氏と陶氏の古戦場だった折敷畑合戦の詳細が書かれた看板もある。

折敷畑山古戦場跡

ここから四季が丘団地に下ることもできるが、尾根を忠実に辿って宮園団地に向かうことにする。時刻はすでに午後4時を回っており、冬の早い日暮れが迫っている。尾根道は途中から中電の送電線巡視路となって歩き易くなった。送電線鉄塔の下を2つ通り過ぎて下るとやがて山陽自動車道の側道に出た。自動車道のトンネルをくぐると宮園公園の端に着いた。すでに5時を過ぎて薄暗くなり始めた駐車場に帰って今日の山行を終えた。

今日は子供の頃に故郷の山で遊んでいたのを思い出すような里山の道を気持ち良く歩いた。想像していた藪歩きではなく、思いのほか長距離で時間がかかったが、充実して満足できた山行だった。

<歩行距離>

21.1Km

<コースタイム>宮島SA7:40→9:03極楽寺9:10→9:22極楽寺山最高点(展望広場)→10:03県道横断地点→10:37七曲峠10:42→10:56汐見山→12:06 691mピーク近く昼食場所12:28→12:32泉水峠→14:38野貝原山14:45→16:04折敷畑山→17:16宮園公園

<コース図>

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