個人山行報告:冬に逆戻りした猛吹雪の石鎚山とチョー・チョー気持ち良い縦走


亀井且博

日時:2021年5月1日(土)~6日(木)

山域:石鎚山山系(石鎚山~岩黒山~手箱山~筒上山~伊吹山~子持権現山~男山~瓶ヶ森~西黒森~自念子ノ頭~東黒森~伊予富士~寒風山~笹ヶ峰~ちち山~冠山~平家平)

形態:縦走

メンバー:亀井、亀井妻

コース及びタイム:

行動記録:石鎚山は50数年前のホームゲレンデで、若い時の思い出がいっぱい詰まった懐かしい山系だ。 5月3日に後輩たちが面河登山道修理の準備で入山するとの連絡が入り、久しぶりに後輩たちに会いたくなって石鎚山に出かけた。学生時代にはスカイラインもUFOラインと呼ばれている瓶ケ森スーパー林道も無くて気持ち良い縦走ができるコースだったが、今は主稜線に沿って舗装道路が続いているので少し興ざめはする。しかし、今回久しぶりに歩いてみて、やはり気持ちの良い素晴らしいコースであることを再認識した。

雪あり、吹雪あり、雨あり、快晴ありでいろいろと変化のあった日々だったが、気持ちの良い長い縦走と素晴らしい眺めと懐かしい思い出に浸りながらの楽しい山行だった。

雪を被った石鎚山

5月1日(土):(雨のち晴れ)、町内会の用務を午前中に済ませて、お昼過ぎに車で出発。山陽自動車道、しまなみ海道、松山自動車道と高速道路を通って松山ICで高速道路を出た。コロナ対策のため高速道路のETC休日割り引きは無く、何となく損したような気がするが、不要不急の外出を自粛するようにと言われているので止むを得ない。国道33号線経由で懐かしい面河へ走る。若い頃に登攀した亀腹や登山口のホテル渓泉亭を懐かしんだ後、スカイラインで土小屋に登り車中泊。

5月2日(日):(雪)、歳のため少し楽するつもりで土小屋から入山したが、これが失敗だった。朝、起きてびっくり⁉夜半からの季節外れの雪が駐車場で10㎝ぐらいの積雪になっている。おまけに雷も鳴って雪は降り続いている。除雪車も上がってきた。仕方なく停滞を決め込んでいたが、午前10時頃には雷も雪も止み、天候が回復しそうな気配になった。インターネットによる雨雲予報状況も午後3時頃までは小康状態のようである。3時間あれば面河の愛大小屋まで入れると思って出発した。しかし、二の鎖の下に着いた午後1時前頃から予想より早く再び雪が降り始め吹雪状態になった。頂上近くの積雪は20㎝を越えており、風も強く冬に逆戻りである。

冬に逆戻りの石鎚山頂上

石鎚山の頂上までは行ったものの、初芽成谷最上部をトラバースして面河乗越までの崩れた急斜面を通過するのは妻と一緒では、ピッケルもアイゼンも無くてはスリップの危険が大と判断して、止む無く愛大小屋へ行くのを諦めて頂上から土小屋に引き返した。

石鎚山北壁下のトラバース道、雪でスリップの危険大

5月3日(月):(快晴)石鎚山~瓶ケ森の縦走路から外れているため、比較的登山者が少なく静かな山行ができる岩黒山、筒上山、手箱山は石鎚山の絶好の展望台である。妻も登ったことが無いと言うので今日はこれら3山を往復することにする。土小屋から岩黒山に登り360度の絶景を楽しんだ後、丸滝小屋に下る。丸滝小屋から筒上山へ続く巻道は昨日の雪が残っていて滑落の危険がある。特に危険個所に渡された金属製の桟敷の上は滑りやすく慎重に進む。筒上山は後回しにしてトラバース道を手箱越に向かう。手箱越の道場はお城のような立派な石垣が築かれていた。手箱越から20㎝ほどの積雪を踏みながら小さなアップダウンを繰り返すと手箱山である。少し早いが頂上でゆっくりと昼ご飯を食べ、手箱越に引き返した。手箱越えの道場前から頭上を見上げると、急登と岩場登りの筒上山が威圧的に聳えている。50mほどの岩場には鎖が取り付けられているが、なかなか登りにくい。おまけに氷が残っている個所もあって滑りやすい。慎重に登って上部の笹原に出た。急斜面の笹原をトラバース気味に登って筒上山に着いた。ここからの眺めも最高である。360度遮るものがない絶景で、二ノ森から石鎚山、瓶ケ森、伊予富士、笹ヶ峰、平家平、赤石山系、など石鎚山系の山々が全て見える。

筒上山頂上から石鎚山~西冠岳~二ノ森~鞍瀬ノ頭を眺める。

しばらくの間、絶景を堪能して尾根道を下った。尾根道は登山者が少ないようで、道はあるものの笹が被っていて少し薮漕ぎになる。手箱越のトラバース道と合流した後は、ほとんど雪の消えた道を土小屋に向けてルンルンで帰った。土小屋に帰り着き、駐車場でウロウロしていたら後輩の一人と運よく再会できた。後輩曰く「愛大小屋に着くなり、『亀井さん!』と大きな声で扉を開けたけど、小屋に居なかった。」「まさかあの伝説の亀井さんが、引き返されたとは思っていなかった。」だって❕「こっちだって歳だし、命は惜しいよ!!!」

5月4日(火):(快晴)今日からは瓶ケ森、笹ヶ峰方面へ縦走。若い頃の大学山岳部の毎年の新人合宿の縦走コースで、先輩にしごかれた、あるいは後輩をしごいた懐かしい思い出の縦走コースである。車で移動する妻と別れて単独で縦走を開始した。土小屋から岩黒山の巻道を歩く。ブナの林の中の道や笹の中の道や変化のある楽しい道である。名野川越とよさこい峠で林道を横断するが縦走路は整備されていて問題はない。笹原で気持ちの良い伊吹山を越えるとシラサ峠に着く。昔から伊吹山やシラサ峠から眺める石鎚山の姿が美しくて大好きである。

シラサ峠から眺める石鎚山

存分に眺めながら子持権現山に向かう。笹が刈られていて歩き易い。今日は先が長いので子持権現山の頂上往復は割愛して瓶ケ森の駐車場に向かう。瓶ケ森の駐車場で車で移動してきた妻と合流して瓶ケ森の頂上に向かった。氷見二千石原の広大な笹原の向こうに石鎚山がド~ンと聳えている。この景色も大好きである。以前は笹原に点在する白骨木がアクセントとなって、よりきれいな景色となっていたけど、今は倒れて全くなくなっている。

瓶ケ森氷見二千石原と石鎚山

頂上は結構賑わっている。少し早いが昼食にする。少し風が強いが快晴で石鎚山をはじめ360度の眺望を楽しむ。昼食後、駐車場に引き返す妻と別れて縦走を続ける。西黒森手前のコルへの下りと登り返しがキツイ。縦走路は笹が刈られていないので道に被っていて足元が見えにくい。縦走路から外れている西黒森頂上に寄り道した後、自念子ノ頭に向かう。この辺りから自念子ノ頭を越えて東黒森、伊予富士にかけての稜線は比較的アップダウンが少なく、笹原を歩くことが多くて気持ちの良い縦走路である。快調に自念子ノ頭を越えてUFOラインの道路横に出た地点で瓶ケ森から下山して車で来た妻と再会した。以前トヨタカローラのCMの舞台になった笹原や山々の眺めがきれいな場所で、路側に多くの車が駐車している。今日の予定はここまでだったが、明日は100%雨予報なので少しでも先に延ばしておきたく、時間的にも余裕があるので寒風山隧道の登山口まで足を延ばすことにする。妻と別れて東黒森に向けて縦走を続ける。伊予富士頂上から急坂を激下りして笹の気持ち良い稜線を通って下ると桑瀬峠に着いた。明日の雨を快適な場所で避けるため、今日は一旦寒風山隧道の登山口に下ることにする。約30分の下りで登山口に着き、妻と再会した。

5月5日(水):(雨)一日中雨で停滞。

5月6日(木):(快晴)朝から快晴の中桑瀬峠に登り返す。満開のアケボノツツジの花が雨で傷んで所々に落ちている。私が学生の頃は寒風山や伊予富士は瓶ケ森から笹ヶ峰の縦走路の途中のピークでこれだけを登る対象にはなっていなかったが、UFOラインが開通して寒風山隧道からの登山者が増え、寒風山や伊予富士のみに登る登山者が多くなったようだ。寒風山の登りは岩混じりで要所にはアルミの梯子が取り付けられている。寒風山から一旦下り、笹ヶ峰の登りになると笹原の中の道となる。この辺りから笹ヶ峰を越えてちち山辺りは広い笹原が広がり、非常に気持ちの良い縦走路である。丸山荘からの道と合流すると頂上は近い。笹ヶ峰の頂上からの眺めも360度で素晴らしい。気の済むまで眺めを堪能し、後から登ってきた愛知県から来た楽しい熟年のカップルと長話を楽しんだ後、さらに縦走を続けた。ちち山は巻道と頂上経由の道がある。若い頃の縦走では巻道のみで頂上に登ったことは無かったので、初登である。ちち山で一緒に歩いた広島の登山者と別れ、銅山越の分岐に向けて下った。分岐の手前で若いトレランのランナーに出会った。これから私が3日かかってきたルートを辿って笹ヶ峰、瓶ケ森、石鎚山、堂ケ森を越えて東温市までの約50㎞を走るという。化け物みたいだ。頑張れ若者!今日は銅山越分岐から赤石方面には行かず、主稜線を冠山、平家平に向かう。気持ちの良い笹原を縦走する。振り返ると笹ヶ峰、ちち山の広い笹原がきれいだ。

笹ヶ峰(左)とちち山(右)の笹原

冠山の頂上でゆっくりと昼食を摂り、平家平に向かった。アップダウンも少なく笹原で気持ち良い縦走路を歩いて、今回の山行の最後のピークである平家平に着いた。平家平は平坦な広い笹原のピークで、景色も素晴らしく気持ちの良い場所である。石鎚山、瓶ケ森、笹ヶ峰や筒上山、手箱山、歩いてきた山々、さらには東赤石山、西赤石山、二ツ岳なども見える。いつまで見ていても見飽きない景色である。

平家平から石鎚山~瓶ケ森~笹ヶ峰を眺める

後ろ髪を引かれながら下山を始めた。尾根通しの良く整備された道は途中で分岐する。高薮登山口と足谷登山口の分れである。今日は分岐を右に足谷登山口に下りることにする。あまり手入れがされていない荒れ気味の長いトラバース道を歩いて、途中数か所の沢を渡って登山口の林道に下り着いた。朝、出発時に話した通りに妻が車で来ていた。無事に合流して今回の山行を終了した。

歩行距離:52.5㎞

<コースタイム>

2日:土小屋10:53→13:10二の鎖下休憩小屋13:33→14:02石鎚山14:10→14:30二の鎖下休憩小屋14:35→16:17土小屋

3日:土小屋7:15→8:29岩黒山8:45→9:10丸滝小屋→10:44手箱越10:56→11:50手箱山12:15→13:00手箱越→13:35筒上山13:50→14:58丸滝小屋→15:40土小屋

4日:土小屋6:28→7:10名野川越→7:54伊吹山→8:15シラサ峠8:30→9:20子持権現山→10:58瓶ケ森11:25→12:25西黒森→13:40自念子ノ頭→14:26東黒森→15:03伊予富士→15:50桑瀬峠→16:22寒風山隧道登山口

6日:寒風山隧道登山口6:13→6:59桑瀬峠→7:55寒風山8:06→9:19笹ヶ峰9:45→10:17ちち山→12:12冠山12:50→12:26平家平13:48→15:23足谷登山口

<ルート図>

コメントを残す