大山 別山中央稜・行者尾根


三谷

日時:1月24日(土)~25日(日) (係)三谷
参加者:吉村(光)、保見、松林、平本、兼森

<行動記録>
 先週から始まった大山シリーズ。なんと今シーズンは、8週連続で大山例会が実施される予定である。これだけ通っても満足のいく山行は、一シーズンに一度あるかないかである。同じ大山に登るにも、天気や雪の状態でまったく違う姿を見せる。自然を肌で感じることが重要である。
 今回、積雪も十分あり、天気も安定していることから、元谷に入り、今シーズンの目標に掲げられていた2つの計画を実行することにした。
一つは大山北壁の別山中央稜の登攀、もう一つは、元谷から尾根を経て弥山頂上を往復する計画である。登攀パーティーのリーダーは三谷、縦走パーティーのリーダーを兼森さんにお願いした。
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 廿日市、広島、黒瀬出発の各車は三次で合流し、2台で大山に向かう。マルゴーで買い出しをし、仁王茶屋の駐車場に向かう。週中に寒気が入り降雪があったようだ。今朝は冷え込んだものの、日中はがよく気温が上がりそれほど寒さを感じない。大神山神社の参道も、木の枝に積もった雪が溶けて水がしたたっている。大神山神社でビーコンのチェックを行う。
 元谷に入ると北壁の素晴らしいパノラマが広がる。北壁の周辺の尾根がすべて見渡せる。明日視界がきくとは限らないので、堰堤のところで明日登る予定のルートをそれぞれ確認してもらう。
 天気が良いこともあって、元谷小屋の前には数張りのテントが張られていた。
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 翌朝、天気よりも気温のことが気がかりだったが、程よく冷え込んでそれぞれの山行には支障なさそうだ。

【別山中央稜(3p目まで)】
三谷L、吉村SL、保見、松林
 こちらは昨日付けられたトレースに沿って北壁を目指す。トレースは沢を外れて樹林帯に入っていく。樹林帯を抜けると、真っ白な別山が迫ってくる。保見さんが、適当な斜面を見つけて弱層テスト(コンプレッションテスト)を行う。結果は次の通りだった。20センチ:肘の力で滑る(サラサラ、霜ざらめ雪)。70センチ:腕の力で滑る(濡れざらめ雪)。
 さらに足を進めると、別山を目前にして、トレースはなぜか方向を変えて弥山尾根に向かっている。別山の方にはトレースがなく、誰も取り付いてなさそうだ。真っ白な別山を見て敬遠したのかもしれない。地熱で一部雪が溶けている箇所があり、その雪面は不安定だったが、それより上部は比較的安定している。場所によって雪質が全く違うようだ。時間短縮のためしばらく沢を詰めて中央稜へ取り付くことにした。
 斜度が増す前にトラバースして尾根に上がる。そこでアンザイレンするが、適当な支点が見当たらず、ブッシュを掘り出すのにも一苦労する。保見-三谷、松林-吉村のオーダーで登攀を開始する。岩もブッシュもびっしりと氷雪に覆われており、厳しい登攀になりそうだ。
 1p目、保見さんリード。出だしは高さ3mほどの岩、雪を落としながら慎重に乗り越えて、すっきりとした雪稜を登る。しかし、雪が不安定で時間がかかっている。満足な支点も取れず、ランナウトしてしまう。フォローする際は感じなかったが、登攀しながらのラッセルはきつい。
 2p目、三谷リード。細い雪稜を登る。下部のピッチは、ブッシュ混じりの雪壁という印象だったが、雪が多いためナイフのような細い尾根をまたがって登るような状態になる。表面は堅く、中は柔らかい。踏み込むと膝まで沈む。しっかりステップを切らないと足下から崩れ落ちそうだ。ブッシュに支点を取ろうにも足下が安定せず緊張する。細いブッシュに気休めのランニングを取りながら登る。灌木を支点にビレーする。
 3p目、保見さんリード。2p目ビレー点より10m上に高さ5m位の岩場が見える。左のフェースを行くか、右のルンゼを行くか。下から見ると、右の雪の付いた白いラインの方が登りやすく見えた。いずれにしても不安定な雪の処理が問題だ。状況を聞いてみるが、右側はしっかりとした支点が取れず、かつ、斜面がすっぱりと切れ落ちているため難しいと言っている。しかし、左の岩場も霧氷に覆われて厳しそうだ。ホールドを確保するために、ピッケルで一生懸命雪を払っている。かぶり気味の岩の下にアイスハーケンを打ち、その岩の乗り越しは、右から巻いていった。状態が悪く時間がかかっているので、SLの吉村さんと登攀を継続するか相談する。引き返し時間は13時にしている。
 今日は1シーズンあるかないかの登山日和である。右の夏道、左の弥山尾根は登山者が数珠つなぎで賑わっている。しかし、上を見ると氷の鎧に覆われた別世界である。七合尾根を登っていたパーティーはあっという間に夏道へ。ずいぶん遅く取り付いていた弥山尾根のパーティーもいなくなってしまった。
 雪稜に姿が消えてしばらく経ち、ロープほぼ一杯でコールがあった。このピッチだけで1時間以上を消費した。フォローの私が着く頃には11時を回っていた。リングボルトにかかった捨て縄が辛うじて雪の上に出ている。これから岩壁帯になり、核心部に入る。ルートはびっしりと霧氷に覆われている。
 後続の松林くんが慎重に登ってくる。吉村さんに、登攀を終了して下降することを告げる。3pの懸垂下降で、尾根の末端にたどり着いた。緊張から解放され数時間ぶりの行動食を取る。
 振り返ると、岩場には黒いトレースが付けられており、奮闘の跡が見られた。状態を選んでいたら冬の登攀などできない。単に我々の技量のなさだろう。
 元谷小屋で行者尾根を登ってきた二人に再会する。テントはきれいに片付けられており、半雪洞を前にティータイムでくつろいでいた。登山の様子を聞くと、天気がよく満足のいく山行ができたようだ。
<コースタイム>
1/24 9:00 吉村邸、三谷邸~10:10 三次中央病院→13:00 仁王茶屋 (7℃曇り)→14:30 大神山神社→15:30 元谷~16:20 テント設営完了
1/25 4:30 起床→6:30 元谷発→7:40 別山中央稜線取り付き手前にて→8:30登攀開始→12:10 3ピッチ目終了点より引き返し→14:30 元谷小屋→15:00 元谷発→16:00仁王茶屋

【行者尾根~弥山】
兼森L、平本

(別掲載)

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