夏合宿上越の山 (係)三谷


八海山群

月日:2018年8月12日~14日

参加者:横山、吉村、竹本

今年の夏合宿は昨年に引き続き、新潟の山にて実施した。

八海山、中ノ岳、越後駒ケ岳は越後三山と呼ばれ、越後三山只見国定公園に属している。
渋滞回避して舞鶴若狭道を経由するが、事故渋滞にあって時間をロスする。
北陸道からはまっすぐな道を日本海を眺めながら走る。10時間以上かかって新潟に到着。大和スマートICを下りて、八海山のスキー場に向かう。
スキー場の施設は閉鎖されており、トイレが使えないので、八海山尊神社に向かう。
神社にはトイレと綺麗な水(手水)と駐車場がある。片付け中のそば屋さんの好意で駐車場にテントを張らせてもらう。神聖な空気に包まれながら夜を過ごす。
8/12朝、良く晴れている。暑くなりそうだ。八海山では古くから霊峰として、八海山信仰が展開されてきた。神社で安全祈願をしていざ修験の道へ。
麓から見上げる西壁は威圧的である。標高こそ2000mに満たないが、山全体が隆起した岩で構成されていて、非常に険しい山容である。
歩いていた青年を乗せて、登山口まで案内してもらう。登山口には10台くらいの駐車場と登山ポストがある。計画書を提出する。
歩き始めてすぐ、これからトレースする屏風道と新開道とに分かれる。標高差1000m以上の鎖の連続する登りになる。
増水時の渡篭の設置された屏風沢を渡り、しばらく樹林帯を進む。蒸し暑いが、沢が流れていて火照りを冷ますことができた。
視界が開けると、一条の滝と屏風のような岩壁が広がる。展望台で休憩し、岩場に備えてヘルメットとハーネスを装着する。ロープを出すことはなさそうだが、不安定な場所で自己確保をとることができる。ここから先は急峻な岩稜が稜線まで一気に突き上げる。通常、鎖は補助として三点確保で登るが、ここの鎖場はスタンスが外傾していて傾斜もかぶり気味である。仕方なく腕力任せのゴボウで登る。足や手を滑らせたりしたら、奈落の底。トップを行く横山さんはスルスルと登ってすぐに姿が見えなくなる。鎖場は一人ずつしか通過できず、どうしても間隔が空いてしまう。追い上げるメンバーもオーバーヒート気味である。とにかく暑い。吉村さんは鎖の本数を数えている。竹本さんは大汗かきながら耐えている。それぞれ念仏を唱えながら登る。
せまいバンドの草付きのトラバースなど、悪路の極みである。ここは古くからの修験の山であり、命がけの荒行だったことがうかがえる。
そして、千本槍避難小屋のある稜線に出る。多くの登山者はここまでロープウェイを使って登ってくる。ほとんどの登山者は涼しい顔をしており、短パンスタイルには参った。
すでにお腹いっぱいだが、ここからが八峰の核心である。八つの岩峰を上り下りする。悪場に備えるため、長めの休憩を取る。

岩峰を下る
岩峰を下る


礫岩は丸石が露出していて、ちょうど良いホールドになるが、不用意に石を掴むと、ボコッと外れる。一見安定していそうだが、浮石のチェックが必要。鎖を頼りに登るが、荷重をかけすぎると振られて危険。スタンスも慎重に選ぶ。下りはさらに難しい。露出感のある岩場を鎖頼りにテンションをかけながら下りる。集中力が切れないように。

地蔵岳
地蔵岳
コルへ
コルへ

無事大日岳を登り終え新開道へ向かう。縦走路は日陰がなく、ゆっくり休むこともできない。
八峰の迂回路から新開道に接続する。この迂回路も鎖と壊れかけのアルミ梯子の連続で状態は良くない。地図上からは新開道への分岐が不明瞭で、登山者に聞きながら所々崩落している登山道をトラバースしていく。
傾斜が緩んで樹林帯に入ると一安心だが、標高が下がるにしたがい暑さが応える。1時間ごとに休まないと、集中力が続かない。ほぼ水2リットルを飲み切り、フラフラになりながら下山。期待を裏切らない難行であった。穂高のキレット縦走よりよっぽど悪かった。何より酷暑での登山は厳しすぎる。ばてて(熱中症)で八峰縦走を断念したというと登山客もいたようだ。一緒に登り始めた単独行者も休み休みで同時に下山した。
消耗しきった体を癒やすべく、六日町の温泉「湯らりあ」に向かう。極熱風呂に浸かって湯治効果は抜群だった。
桜坂登山口の芝生にテントを張らせてもらった。無事登頂記念に「八海山」の古酒をいただく。こくがあるがすっきりとした味わい、さすが銘酒だった。
日中はアブに悩まされたが、今夜は羽虫が大量発生している。群がる羽虫とたわむれながら一夜を過ごす。
夜明けとともに巻機山に向けて出発する。看板には、沢沿いルートが「悪路」であることをしつこく警告している。米子沢は名渓であるが、沢登り中の事故が多いということだ。沢沿いルートも一部登山道が崩壊しているとのこと。
昨日の八海山に比べると、ハイキングコースだが、昨日のダメージが残っている。計画書を提出して林道を歩く。すぐに井戸尾根コースに入る。湿度の高い樹林帯の登りがしんどい。樹齢は若いがブナ林が続く。気になるのは、堅い粘土質の道。各々「濡れたら滑りそう」と考えは一緒。こまめに休憩を取る。小屋で一泊した登山者が下りてくる。
森林限界を越えると、チシマザサと草地の道を進む。植生保護の土壌流出防止の材や木道が設置されている。
冷たい山風が吹き下ろして心地よかったが、これは悪天の予兆。まだ距離はあるが雷鳴が聞こえている。
なだらかな「ニセ巻機山」が見える。この小ピークをを越えると、避難小屋が見える。
池棟のある湿原の横を通り過ぎて一登りすると、巻機山のピークである。標高差1300mを登り切り一服していると、突然大きな雷鳴が。いつの間にか雷雲が頭上に迫っていたようだ。あわてて避難小屋に待避する。
雨も本降りになってきた。そこへ登山者が続々と登って来る。小屋の中は雨宿りする登山者で一杯になる。
カッパを着込んで、とにかく樹林帯へ足早に下る。雷鳴とともに激しい雨が降り出す。案の定滑りやすくなった道に神経をすり減らす。ビブラムをフラットに置けば問題ないが、エッジを当てた途端にスリップする。
山岳レースあるいはトレランのトレーニングか、青年が2往復目を駆け下りていった。ローカットシューズにペラペラリュックのLight & Fastスタイルが合理的に思えるかもしれないが、自然への感性を磨くにはできるだけSlowな方が良い。それが厳しい登山のための備えである。

巻機山
巻機山


登山口に近づいたところで、雨が上がる。昨日は酷暑、今日は土砂降りの雨。なかなか過酷な登山だった。気圧の谷の影響で甲信越地域に大雨をもたらしたようだ。
駐車場は一日500円。周辺施設の整備・管理に使用されている。
ここ数日、大気の状態が不安定で、毎日雷雨に見舞われていたようだ。天候不順だったが、雨が降る前に登頂できて良かった。
湯らりあで茹だって、この後の行動を検討する。予定していた駒ヶ岳は全行程が長く、登頂前に雷雨に見舞われる確率が高かったため、ここで合宿を終了することにする。

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