月日:2017年7月2日(日) (係)三谷
参加者:横山、吉村、元廣、松林、松原
<行動記録>
朝8時半、憩いの森の駐車場に集合し、講習会場である窓ヶ山のキレットに向かう。梅雨の中休みで雨は降っていないが、蒸し暑く熱中症の危険がある。展望台でしばらくクールダウンする。
キレットの岩場は、数日前の雨で濡れている。こんな天気でも風が抜けていくので涼しく感じる。この時季キレット以外は、暑すぎて訓練にならないだろう。まず、木と木の間にロープを渡して、レスキューに必要なロープワークの再確認を行ってもらった。
・フリクションノット×4種類:プルージックやクレムハイストが一般的だが、地形によっては操作性の良いカラビナを介したオートブロックやバッチマンを使う。
・ムンターヒッチ(半マスト結び):ロープの荷重に対し制動をかける際に使用する。
・ミュールノット:確保器、下降器を操作する際にハンズフリーになるように(仮固定に)用いる。
ムンター・ミュールで併用する場合が多い。
・バタフライノット:氷河歩行など、3人以上でロープを結び合う場合、中間者用のループを作る際に用いる。
・インライン・フィギュアエイトノット:固定ロープの手掛かりとしての結び目などに使う。
・ダブル・フィギュアエイトノット:固定ロープに対して荷重がかかる際に、アンカー部分の結びに使う。
基本トレーニングは早々に終了して次の課題に入る。
次に、ホーリング(荷揚げ)システムを構築して実践する。主にビッグウォールやエイドクライミングに利用される技術だが、岩場での荷揚げに利用できる。荷揚げの場合は、プーリー(セルフジャミングプーリー)をセットしたのみのカウンターウェイトで十分である。ロープにユマールとスリングやアブミに足を掛け、体重を利用して荷物を引き上げる。重い荷物や人を引き上げる場合は、1/3システムを利用する。
次に、垂壁にロープを掛けて、ユマーリング(ロープを使った登高技術)を実践する。ユマーリングは同様にビッグウォールを登攀するための技術だが、効率的なフォローに有効と考える。宙づりからの自己脱出法に似た技術だが、アッセンダーを利用することにより、結びを引き上げなくても自動的にロープを伝って登ることができる。完全にロープにぶら下がると体が回転してしまうため、荷重のかけ方にこつが必要である。足で壁を蹴るようにして、アッセンダーのハンドルを引き上げると、自然に体が上がる。また、チェストにセットするアッセンダーの位置が重要である。体が離れすぎると、完全に腰の位置が下がってしまい、体を引き上げることができない。コツをつかんだ人は、尺取り虫のように繰り返し動作で上がっていったが、コツをつかめない人は、壁で滑ってバタバタとして体力を消耗するばかりだった。フリークライムもロープアクセスも登山には必要な技術である。
ユマーリングの実践で今回わかったことは、固定ロープを登る際には、登高器を使用した方が安全であるということ。振ら
れ防止は必要だが、荷重をかけながら登った方が効率的である。固定ロープで確保されているとはいえ、微妙なポイントをフリーで登る場合、墜落時のダメージを無視できない。
軽量化により装備を犠牲にする場合は、次の危険性を意識しておく必要がある。
①タイブロックはカラビナの位置によっては、ロープの制動が効かない。スリップした際に墜落距離が大きくなり、最悪切断してしまう。墜落時にロープの表皮が剥離した報告もある。
②プルージック(クレムハイスト)は結びを両手で引き上げる必要がある。結びがどうしても体より下方向になるため、墜落時に摩擦で焼き切れてしまうことがある。
以上の理由で、登攀性のある岩場には、アッセンダーやセルフジャミングプーリーは携行した方が良い。これらは、レスキューに限らず日頃から慣れておく必要がある。
予定のカリキュラムを消化して、今回の講習を終了した。