白木山(889m)
空一面を覆っていた梅雨雲も、梅雨明けと同時にどこかへ消えて行き、真夏の青い空が広がってきた、野山の木々の葉もすっかり厚みを増して、芽吹き時の初々しさもどこえやら、今では、強烈な太陽の光を表面で反射して、一人前の顔をしている。ついこの間まで、緑の光でいっばいだった森のなかでも、白い光が揺らめき始め、木立の中に強いコントラストを作っている。斑模様の森の奥には何かが潜んで居るようです。ここ白木山の登山道わきは、鬱蒼とした雑木林に覆われて、今にも野生の動物が飛び出してきそうです。
白木山(889m)を中心とした白木山山塊は、広島県内では、野生の鹿が最も多い地域だそうです。数年前の調査では約2000頭が棲息して居たとか、いまでもそれに近い数の鹿が居るそうです。運が良ければ登山中に巡り合えるかも知れません。しかし、宮島の鹿の様に餌をねだったり、近寄って来ることは絶対になく、こちらの姿を見掛けると、一目散に森の中へ逃げて行ってしまいます。白木山へ登るには、JR白木山駅からの登山道が一般的で、休日には多くの登山者が登山を楽しんでいます。
最近は山登りも、目的とする山のふもとまで自動車で行き、登山をするパターンが増えていますが、この白木山に関しては、広島市内からはJRを利用するほうが便利なようです。JR芸備線白木山駅の無人のホームに降りると、狭い舗装道路が線路を渡り白木山へと伸びています。この道を約500mたどつて行くと白木山登山口の道標があります。この道標にしたがって雑木林の中の登山道に入って行きますが、よく整備された立派な登山道なので迷う事なく登れると思います。白木山駅から頂上までは、高度差にして820m、かなり登りごたえのある山ですから、がんばって登りましょう。舗装された道から登山道に入ると階段状の急登となり、どんどん高度を稼いで行きます。しばらく登ると穴地蔵が有ります。所どころ展望の効く所も有りますが、はとんど林の中を登って行きます。やがて水場跡に着きます。登山道わきにコンクリートの水槽が有りますが、残念ながら水は有りません。かなり前から壊れたままです。人気の有る登山コースだけに復旧が望まれます。あともう一頑張りで項上です。草原状の頂上には移動電話の中継塔があり景観を損ねていますが、ここからの展望は一級品で、瀬戸内の島々、遠く県北の山並みや広島市近郊の山また山、数え上げれば限がありません。
白木山駅から項上まで約2時間から2時間30分ぐらいの行程です。夏の太陽に負けないで、弁当と飲料水をたっより持ったら、さあでかけましょう。
岡本 良治