個人山行報告
屋久島宮之浦岳
8月11日夜~14日
吉岡、竹本
<行動記録>
思いつきの屋久島行きが浮上したのが2週間前。参加者を探すが何せぎりぎりなもので見つからず、二人で世界自然遺産の旅に行くことになった。
11日仕事の後、20時出発。吉岡さんの車で鹿児島に向かう。順調に走って3時過ぎに高速最後のSA桜島で仮眠。
港の臨時駐車場に車を置き、鹿児島港から高速船トッピーに乗船。9時55分に宮之浦港到着。屋久島を重い雲が覆っている。港では降っていないが、これから先はずっと雨と付き合うことになりそうだ。登山口までの直通バスは12時50分までないという。それなら行けるところまでバスで行ってタクシーを利用することにする。タクシーに乗る前に入山の身支度をする。淀川登山口まで安房から6000円かかった。登山口に着くと、本降りである。まずは30分の歩きで淀川小屋まで入るが土砂降りと小降りの繰り返し。この雨の中でテントはできれば避けたい。次の小屋は6時間先。今日の行程はここまでにする。小屋は広くてきれい。30人は泊まれそうだ。昼用に買っておいたパンとむすびを食べるが吉岡さんはむすびを車に置いて来たらしい。昨夜あまり寝ていないのでうとうとする。15時ころ6、7人のグループが来た。例のバスで来たのかも知れない。ここで泊まるならバスを待ってもよかったのかも知れないが早く小屋に着いて好きな場所が選べたのでよしとしよう。16時を過ぎたら夕食の準備(といっても温めるだけだが)を始め、17時にはもう食べていた。小屋の中は日中から暗く、日暮れがいつかわからない位に真っ暗になるのも早い。周りに4、5グループいたが19時過ぎたら就寝態勢になっている。
13日
4時半起床。周りが4時から起きだすのでつられて支度を始める。夜半過ぎから雨音が小さいような気がしていたが気のせい。ザーザー降る音がしている。雨支度をして明るくなるのを待って6時25分歩き始めた。先行パーティ2組とも追い越し、ひたすら歩き続ける。小花之江河、花之江河を通過する。天気がよければ美しい湿原なのだろうがただの雨景色。太陽の光で景色は美しく彩られ、青空が景色の美しさを際立たせるのだ。吉岡さんがデジカメで写真を撮ろうとすると、ビニール袋に入れてケースに入れていたのにビニール袋の中に水が溜まっている。袋の口を下向きにしていたのにである。ストラップを伝って水が溜まったとしか考えられないが下から伝って折り曲げた袋の底に溜まったのだろうか。いずれにしてもデジカメは水没している。この天気では私の防水デジカメが活躍する。止まらず歩き続け、宮之浦岳10:05到着。風が強く雨が顔に当たって痛い。証拠写真を撮る。 新高塚小屋を目指して先を急ぐ。約2時間で小屋に到達、ここもきれいな小屋だ。さらに次の高塚小屋に向かう。杉の原生林になってきて、見事な杉が連立している。千年はいってるかな、2千年かな、と見とれながら歩く。13時過ぎに小屋に入ると、先客が一人。このまま登山口に向かって17時のバスを目指すか、ここで泊まるか選択だ。吉岡さんはこのまま通過して水濡れと縁を切りたそうだが時間からするとぎりぎり。ここから先に縄文杉など見所が控えているというのに一目散に通過したのでは味気ないので私は杉林を観賞したい。予定を1日繰り上げるのは取りやめて、小屋に泊まることにした。まずは10分先の縄文杉を見物に。見物人が多いと順番待ちになるらしい。樹の周囲が傷まないように板でデッキが作ってある。縄文杉と呼ばれてきたが、最新の研究では樹齢は3千年未満の合体木と言われている。幹回り16.4m、やはり別格の大きさだ。しめ縄が巻かれてないのが不思議な感じを受ける威風堂々さだ。他に1人見物人がいた。証拠写真を撮って小屋に戻り、水場を聞くと縄文杉の下と言う。もう一度縄文杉に対面しに行く。小屋で飲み物を飲んだりしていると次々登山者が入ってくる。13人で満杯になり、後から来たグループは新高塚小屋行き、あるいはテント泊になったようだ。隣に入ってきた青年は、登山初心者だそうで、小学校以来の憧れの縄文杉を見にひとりで来たという。初めての登山で雨に降られ、びしょ濡れになりやっとの思いでここまで辿り着いたらしい。年頃からして憧れの源は屋久島の森をモデルにしたというもののけ姫なのだろう。縄文杉の感想を聞くと疲れ果ててゆっくり見ることもできず小屋に辿り着くだけで精一杯だったらしい。レンタルしたというガスヘッドの使い方を聞いてきた。体も荷物もずぶ濡れで全財産のお札を乾かすのに吉岡さんが紙を提供した。憔悴した青年はカレーを食べた後、隣のおじさんにうどんを振舞われて有り難そうだった。日が暮れると就寝。雨音を聞いていたが、時折強くなり、雨が上がる気配は薄い。
14日
朝4時起床。朝食を摂る。小降りだがトイレに行くのに傘がいる。濡れた靴下や靴を履くしかない。のんびり支度し明るくなるのを待って6時出発。雲から透けて青空が見え出した。まずは10分先の縄文杉に巡礼。朝日がちょうど差して神々しかった。朝の写真を撮って大株歩道沿いに夫婦杉、大王杉、ウィルソン株と3千年樹で写真を撮りつつ高度を下げていく。トロッコ道まで降りたらあとは安房川沿いを緩やかに下る。ここまでは数人としかすれ違わなかったが、次々グループとすれ違う。ガイドツアーらしき団体が多く、荒川登山口まで200人くらいはいたか。これだと確かに順番待ちで縄文杉を見ることになるだろう。それにしても雨はやんでいたが軽装な人や老若男女様々で、縄文杉まで全員が日帰りできるとは思えなかった。トロッコ道は思ったより長く、9時に登山口に出るつもりがまだまだトロッコ道が続く。雨が落ち始め、休憩所がちょうどあったので1本立てる。傘を取り出して歩く。晴れたと思ったのにまた降り出すとはさっき出会った登山者たちがこの雨で悲惨な目に遭っているのではないだろうか。9時45分に荒川登山口到着。ここから屋久杉ランドのバス停10:58発のバスにはちょっと間に合わない。登山口のバスの時刻表を見ると臨時便で11時半発というのがあり、それに乗って乗り継ぎ便で帰ることにする。濡れた登山靴やカッパを脱ぐ。待っている間も本降りになったり、日が差したり。屋久島は雨と無縁になることはない。台風4号で道が崩れて一部不通なので荒川三叉路でバスを乗り継ぎ。安房港で降りて港の建物に荷物を運び込む。明朝の船まで今からすることは温泉、三岳、土産物、今夜の宿泊地探しだが、吉岡さんがネットオークションでピッケルを売ったことのある民宿に行ってみたいというのでバスで行ってみる。そこで三岳のことなど情報を仕入れよう。バスを降りて、近所の人に民宿「でたらめ」の場所を聞くとそこから2km先という。バス停2つ分だったがバスは1時間に1本しかないので歩くこと30分、「でたらめ」に到着。200本以上あるというピッケルコレクションが壁中に飾ってある。ロッククライマーの主人の話を聞かせていただく。何とこの民宿は1泊2500円で50円の米代だけで自炊させてくれるという。カヌーも登山靴も貸与していて車でどこでも無料送迎、トビウオの刺身を提供してくれて、三岳は飲み放題。つまり2550円で1日過ごせるという。儲けるためにやっているのではないから…。民宿の協会から脱退したし宿泊客には人数×1万5千円するという登山ガイドは絶対つけさせない。恐れ入りました。三岳を買える場所にバスで行けるか聞いたらバスに乗るくらいならレンタカーを使わなければだめだと怒られた。帰りはしょうがなくバス停で45分待ち。その間にレンタカー屋を調べて電話すると今車両はないが15時以降なら貸せるかもとのこと。電話を待ちながらバスが来たので乗り込む。港の近くで降りて直接レンタカー屋に赴くと、ちょうど軽がいるではないか。奥さんと子供と主人で車を清掃している。聞くと電話をしたのだがつながらなかった、断るつもりだったとのこと。携帯の着信に気付かず幸いしたかも。24時間貸せないという理由のようだったが明日の船の時間までということで商談成立。営業所の中に三岳が2本転がっている。頂き物とのことだったが入手方法を聞くと近所のスーパーで17時に12本売り出されるとのこと。時間が中途半端と話していたら1本売ってくれることになった。ラッキー。17時までの間に千尋の滝を見物した。スーパーの酒売り場へは16時45分に着いたが、民宿の主人が言っていたように整理券を配る様子はないし誰も並んでいない。店員に聞くと17時に売り場に出すという。焼酎目当てのような人間が何人か現れるが、ないと諦めて帰ったり、別の焼酎を買っている。いよいよ17時、酒ケース2つ登場。1人1本しか買えないので1番手、2番手で購入。吉岡さんはもう1度購入できた。買占めされないようにこういう策にしているのだろうが、現地人でも手に入れにくいのだ。しかし1本1650円で手に入れることができた。さて次は温泉だ。尾之間(おのあいだ)温泉へ。入浴料は200円、かけ流しは当然、シャワーから出るのも温泉水、湯船からじかに汲んで体を洗う。男湯は窓を開け放ち中が見えても気にしない。古き佳き時代のままの温泉だ。洗髪を温泉水ですると髪がさらさらになった。
次は宿泊場所。さっき行った滝の海の見える展望台が流星群観察と海から昇る朝日を見るのにうってつけだ。周りの柵は濡れたものを掛ける物干し台。スーパーで買った地鶏の刺身と中華丼で晩餐に。私は何と断酒4日目だ。広島に帰ってからの楽しみに取っておこう。平地に降りたら雨とは無縁かと思ったら夜中と朝方雨がぱらぱら降った。慌てて洗濯物を取り込む。流れ星は見えたが流星群という感じではなかった。
<コースタイム>
12日 淀川登山口12:00-12:30淀川小屋
13日 淀川小屋6:25-7:52花之江河―10:05宮之浦岳10:10-12:05新高塚小屋―13:15高塚小屋―13:30縄文杉
14日 高塚小屋6:00-6:10縄文杉―ウィルソン株7:20-7:44トロッコ軌道―9:00小杉谷休憩所9:10-9:45荒川登山口