霧島の沢と縦走(大幡川~新燃岳) 5月21日~22日


(記)神庭

(係)赤井、大前、横山、武田、神庭





<行動記録>

 金曜の昼下がり、「ケ・セラ・セラ~♪」と口ずさみながら、帰りのことなど考えないで鳥取を出発した。17時広島着。メンバーをピックアップしていき、いざ霧島。何のトラブルもなく、日付が替わって霧島サービスエリア到着。月明かりに霧島の山々がシルエットを浮かべている。テントを張り、一杯やって2時頃に寝た。いや、二杯。
 5時起床、すぐに出発して高原インターで下りる。すぐ横にあるコンビニで買出しを済ませて皇子の集落へ移動。とても大きな挟野神社の横を通り、大幡川と高千穂川の出合に着いた。橋の上から見ると泥っぽく黄ばんでいて、見た瞬間に溯行意欲を奪われてしまった。資料ではこの先、矢岳川を分けてからのゴルジュが「すごい」と書いてあるのだが、ここから溯行すると沢のみで山行が終わるほど長い。普段ならそれでいいのだが、国交省のホームページで大幡川堰堤群の記事を読んでいる我々は、大幡川下部を割愛し、林道から上部を溯行することにした。
 皇子原を過ぎて蝦守台へ抜ける林道に入ってしばらく行くと、大幡川中流域へ下る作業道がある。そちらへ行ってみたが、そこから覗いた大幡川には大きな堰堤と埋まった谷、そして淀んだ水が見える。これはやめておこう。引き返して林道を進み、大幡川を渡った広場で駐車。朝食と足ごしらえをして、林道脇の最終堰堤から溯行開始。

 水は冷たくない。ちょっと飽きるくらい河原を歩くと、やっと10m斜滝が姿を見せる。これを登ると上には釜があり6m滝が落ちている。左から巻く。滝上部からナメが始まり沢らしくなってくる。崩壊した泥壁が正面に見え、右から本流の15m滝が威勢よく落ちてくる。滝の一部はハングしているが、火山にはハング滝が多いらしい。これを右から簡単に巻いて竜頭に立つと、目の前に釜を2つ持つ30m滝が豪快に落ちている。一応ロープを出して右から小さく巻く。滝上部からは「ナメ床を持つゴルジュ」と資料にあるが明るい感じだ。下流から川底が泥っぽく感じていたが、この辺りまでくると流水の部分は完全に黄色になっている。溯るほどに濃くなり、水は錆びた鉄の臭いになる。ナメをこすると黄色の付着物が水に流れる。数mの小滝をいくつか越えて進むと、右手に鉱泉の湧水地点があった。まわりには黄色い粘土状のものがビッシリ着いている。この湧水地を過ぎると二股になり道標がある。右股の「A・Bコース」方面へ入る。すぐに空間がひらけ、正面の岩峰横から10m滝が落ちている。ここは行く手を塞ぐように岩壁が横たわっているので、右岸のルンゼを詰めて巻く。滝上部は竜のようなナメ滝になっているので、巻き道からその上部に懸垂で降りる。ここから先は沢本来の黒光り・青光りした爽やかなナメと小滝が続く。谷は浅くなり両側の中木が沢に手を伸ばしている。鉱泉も珍しいけれど、やっぱり沢はこうでないと。溯行を始めた頃はどうなることかと思ったが後半戦で救われた。二股を左に入り、水もごくわずかになったところで水を汲み、運動靴に履き替えて尾根に入る。藪漕ぎではなく、ツツジと中木の自然庭園のようなところである。紫や赤のツツジの間からは高千穂峰の雄姿が望める。写真を撮り撮り歩いているとすぐ稜線に出た。稜線にもツツジが咲き乱れている。大幡池を眺めてから大幡山山頂を踏み、新燃岳を目指す。新燃岳には大きな火口と火口池があり、2ヶ所から煙がでている。風の強い頂上付近のツツジは草のような生え方をしていて、外国の墓地のように見える。高千穂峰、韓国岳など九州的な景観を眺めながら火口のふちを歩き、中岳経由で高千穂河原へ下った。中岳からは桜島や鹿児島湾が望めた。また高千穂峰の南西斜面がピンクに染まっていたが、よく見るとツツジの群生のようだった。

 カネの世界となった高千穂河原でもお金は使わず、センターで手続きをして森の中にツェルトを張った。赤井さんと武田さんが手早くツマミやご飯を作ってくれて、男三人はただ飲むばかり。沢の下部に関しては不本意だったが、その分は稜線できっちり取り返した。しっかり歩き、しっかり眺め、花に触れ、遠国霧島を満喫した夜はゆっくりとふけていった。夜から雨になり、翌日はまっすぐ皇子原へ下山した。ちなみに下山後の温泉は、黄色かった。

 帰路で横山さんが「来てよかった!」を連発したが、本当にそうだ。赤井さん、こんな山行をまたバンバン出してね。

追記
 鉱泉湧水のすぐ下流で泳いでみたが、それ以降、頭痛がして体調が非常にすぐれない。脳が錆びたのかなぁ。

<コースタイム>
8:20大幡川上部林道 → 9:10 15m滝の下部 → 10:10 30m滝の上部 → 10:40鉱泉湧水 → 10:50二股 → 11:30岩峰からの滝の下部 → 12:00同滝の上部 → 12:30二股 → 14:10大幡山稜線 → 15:40新燃岳 → 16:30中岳 → 17:00高千穂河原

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