大山(槍ヶ峰~振子沢下降) 


三谷 和臣

日 時 4月18日(土)夜~19日(日)
参加者 安藤,横山,神庭
<行動記録>
 18:00広島を出発,21:30頃奥大山スキー場の駐車場に到着する。ほぼ同時に神庭君と合流できた。トイレ脇にテントを張り早速小宴を行う。時間も遅いためアルコールのピッチはぐんぐんあがり,安藤節もいつものようにさえ渡る。経済,それぞれの仕事,新入会員などの話題へと次々と展開し,話にも熱が入るが,各種焼酎がよく回ったため就寝とする。
 朝5:30起床,天気は快晴,気温高し,無風。軽めに朝食をとりテントを撤収,パッキングをすませて入山口まで移動する。前週の寒波で相当な積雪量があったようだが,鍵掛峠から望む烏ヶ山の岩肌は黒々としている。三ノ沢の駐車スペースに車を止めて,堰堤沿いの補修用林道を歩いていく。朝の冷え込みはほとんどなく,体が引き締まらない。南壁を遠望するが,一部の沢筋をのぞいてはほとんど雪は残っていない。気温が高い日が続いているためか,ブナには既に新緑が芽吹いている。
 最終堰堤を越えたところで小休止とする。写真撮影が目的の登山者以外は,人の気配はない。いつ見てもここから眺める南壁はすばらしい。ついに解禁,神庭君は手頃なフキノトウの収穫に精を出している。しばらく雪渓混じりのガレ場を歩き小尾根に入る。変わり者の神庭君だけは不安定なガレ場歩きを楽しんでいる。太陽の高さに比例して気温はぐんぐん上昇し,急な尾根を大汗かきながら登る。取り付く尾根を一本間違ったため藪こぎ,木登りとなり,快適さは失われてしまった。隣の尾根に飛び移り,あとは顕著な踏み跡をたどる。少し登り疲れた頃振り返ると,南壁から伸びる尾根には崩壊の過程でつくられた針峰が連なっている。北壁側と比較して地味な存在だが,形相の荒々しさは北壁に劣らない。四季を通じてもっと登られても良い山域である。槍尾根に平行して尾根が何本か通っており,気合いを入れれば登れそうだ。槍尾根に合流してまもなく,特徴的な山容の槍ヶ峰が迫ってくる。槍尾根上もキリン沢側の崩落が激しく,登山道が消失するのも時間の問題であろう。沢筋を登り切った神庭君と合流し,小ピークで一息入れる。烏ヶ山を始め弓ヶ浜まで全てを見渡すことができる。安藤さんおすすめの行動食,杏仁豆腐で渇いたのどを潤わす。合宿には1日1個持って上がると宣言していた。地獄の杏仁豆腐にならなければよいが・・。
 天狗ヶ峰からの縦走路は浮き石だらけで安定せず,みんなへっぴり腰で下っていく。横山さんだけはバランスがよい。本日のハイライト,振子沢の源頭部である象ヶ鼻から雪渓を下降する。まず横山さんからグリセードで下降していく。安藤さんは確認のためアイゼンを装着して下降する。最近主流になりつつあるケミカル素材の冬用登山靴との相性が悪く,アイゼンとソールに隙間ができるそうだ。神庭君は銀マットで大滑降。使用済みマットは無惨な姿となってしまった。カール状に開けた振子沢は,この時季ならではのコースであり,色々な楽しみ方ができる。容赦なく降り注ぐ強烈な紫外線と雪の照り返しによって肌が焦がされているのがわかる。4月の広島としては観測史上で最高気温を記録したそうだ。駒鳥小屋方面からは登山者が数パーティ登ってくる。やがて地獄谷の上流部と合流,駒鳥小屋の下の河原で長めの休憩をとる。
 駒鳥小屋上部の沢を詰めるが,すでに雪が消えかかっている。しばらく踏み跡をたどるがルートを見失ってしまう。少し尾根に向かって登ると夏道に出た。積雪期の大山では迷いやすいコースの一つである。稜線に向かって最後の急な雪壁を登り切る鳥越峠である。神庭君が何やら親しげに話しているが,山における高校時代の恩師だそうだ。少し様子が変であったが,さして気にすることもなく文殊堂に向かって下った。しかし,文鳥水を過ぎたあたりで,神庭君に対して捜索の応援の要請が入った。地元山岳会ではないため難しい立場であるが,応援要請があった場合は自己の判断により出動することにしているそうだ。ビバーク用品をかき集めて引き返していった。単独で駒鳥小屋方面に向かった仲間が数時間たっても戻ってこないそうだ。当日地獄谷にいたところを無事救出されたことがわかったが,春の大山とはいっても侮れない。それにしも春合宿ではまじめに暑さ対策をする必要がありそうだ。そんな予感をさせる暑さであった。

<コースタイム>
三ノ沢出合6:40~7:25最終堰堤~9:05槍ヶ峰~10:05象ヶ鼻~10:40駒鳥小屋11:30~12:30鳥越峠~13:30三ノ沢出合

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