大山 東尾根


保見

日時:3月7日(土)~3月8日(日) (係)保見
参加者:吉村(光)、三谷、平本、兼森

<行動記録>
1月から既に7回目の大山である。
毎週末、同じメンバーで大山へ向かった。天気が悪いと分かっていても。
傍から見れば、「何がそんなに楽しいの?」と思われることだろう。
思えば、天気や雪が悪く登れなかったことの方が多い。しかし、少しばかりだがやり切った感はある。
果たして最後の大山は微笑んだのか。冬山大山最終報告である。

3月7日(土)
奥大山スキー場に車を置き、健康の森から入山する。
天気は回復傾向のはずだが山の中は湿度が高く、ウェア、ザックが徐々に濡れていく。
鳥越峠ではなぜか雪。それも湿雪でますます体が濡れてしまった。カッパにすれば良かったと思うが後の祭りである。
峠から下降を試みるが弱層がある。まずは係が雪の状態を見ながら下降する。
駒鳥小屋付近に到着するがどこにも小屋が見当たらない。こんもりとした雪山がそれと分かるまでしばらくかかった。
ゾンデでつつくと2m下に反応あり!斜面の雪をかぶったのかかなりの雪の下に埋まっているようだった。
小屋利用をあきらめ、大きな木の傍にテントを張る。
しばらくするとバックカントリースキーの数名が到着し、「小屋はどこですか」とたずねてきた。
もう暗くなり始めている。小屋の場所を教えるが掘り出すのは容易ではない。雪洞を掘れば?と吉村さんがアドバイスされている。
結局、窓の部分を見つけて何とか入れたようであったが、小屋をあてにテントも持っていないというのはどうなんだろうと思った。
バックカントリースキーヤーの事故が今年も多く報じられたが、もう少し考えて山に入って欲しいと感じた。
そして我々はいつもの宴の開始である。雪、雨がテントを叩く。「こんなはずじゃないんだけど」と思っても仕方ない。
いつものように吉村さんの盛大な差し入れ(今回はワニも)をいただきながら酒が進む。
いつもの同じパターンのいつもの下らない話なのだがいつも爆笑である。傍から見たらきっとたちの悪い中年おじさん、おばさんの集まりだ。
係のミステリー鍋が出来上がった頃には係が一番に撃沈してしまった。
明日は晴れて欲しいと願いながらシュラフに潜り込んだ。

3月8日(日)
4:30起床。雨や雪の音はしない。テントの外はガスが覆っている。雨が降らないだけでもマシかなと思いながら出発する。
平本さんを先頭に東尾根に取り付く。急登をゆっくりと登っていく。アイゼンでもそれほど沈まないので疲労を感じることはない。
急登を越えると緩やかな登りとなる。あいかわらずガスで視界が悪い。森林限界を超えるあたりで上空が少し明るくなってきた。本来ならこのあたりで東壁の雄大な景色が楽しめるはずなのだが。
先頭を兼森さんに交代する。ここからは左に槍沢、右に振子沢を見ながら痩せたリッジの登りとなる。ナイフリッジになっているところもあるが雪が多くあまり不安はない。
慣れないリッジや雪壁の通過に時間がかかるが兼森さんに先頭をそのまま歩いてもらう。前回の雪訓の成果を見せてもらいましょうといったところだったが雪壁では「もっと蹴り込め!、踵を下げるな!」と思わず口が出てしまう。見ている方がハラハラする。
兼森さんの頑張りが通じたのかガスが晴れ、目の前に青い空と真っ白な東尾根が現れた。思わず息を飲む美しさだった。左を見ると雄大な東壁、その先は雲海が広がる。とても中国地方の山の景色では無い。
振り返ると登って来た稜線も全て見渡せる。そこには転々と我々の足跡を見ることができた。
ユートピア方面から登ってきている登山者も大きく見えてきた。稜線はもうすぐだ。兼森さんの疲労もピークでスピードが上がらないがあとは大きな雪壁を越えれば終わったようなものだ。
縦走路で滑る準備をしているスノーボーダーが目の前に見えてきた。そして快晴、無風の中、1636ピークに到着。
出発時はどうなるかと思ったが、昨年のリベンジで東尾根を踏破することができた。横には涙、涙の兼森さん。あれ、何で泣いてるの?
あまりの景色の美しさに感動したのか?いや、おっさんにワーワー言われたからだろう。
ピーカンの中、下山は振子沢を利用して健康の森まで帰ったが、グズグズの雪はワカンでも沈み、健康の森に着いた時には思わず「あー、もう、いや!」と声が出た。

今回で今年の冬山は終わった。最後の最後に大山は微笑んでくれた。
大山シリーズは敗退続きだったが中でも別山中央稜からの敗退は強く印象に残っている。
左右を見ると弥山尾根、夏道は太陽が当たり登山日和の中を多くの登山者が登っていた。そんな中、我々は暗く寒い別山にいた。
時間切れとなり降りることになってしまったが準備をしながら「こんなところで何してるですかね!」と笑った時のみんなの笑顔を思い出す。
危ない、寒い、危険。山はろくなもんじゃない。でもここでしか味わえない何かがある。
来年もいつものバカ話をするために「マルゴーでアジフライ!」を合言葉に大山に通うことだろう。
今シーズン、大山シリーズに参加された皆さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

<行動記録>
3/7 12:18 奥大山スキー場→12:51 健康の森→14:35 鳥越峠→15:33 駒鳥避難小屋(テント泊)
3/8 6:19 駒鳥避難小屋→6:36 東尾根取り付き→10:01 稜線(1636ピーク)→11:50 駒鳥避難小屋→13:43 鳥越峠→14:43 健康の森→15:30 奥大山スキー場

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