2025年冬合宿(大山)


三谷和臣

月日:1月11日(土)~12日(日)
参加者:吉村、神庭
年始から、近年にない寒波到来。特に山陰地区では影響が顕著だったが、その中、冬合宿として大山に登った。
大山ではバリエーションルートを含むいろいろな登山ルートがあるが、相当量の積雪があることを見込んで、行程の短縮と雪崩リスクの少ないルートを選択した。今回は、夏道を挟んだ常行谷の右岸に伸びる北尾根を登ることにする。
参加申し込みされた堀内さんは風邪でダウン。参加者は3人のおじさんのみである。昨年の御嶽山と同じメンバーだ。高低差、スケールが小さい反面厳しいラッセルを覚悟する。
庄原辺りから路上に雪が出てくる。20年くらい前だとこの時季、雪の中の県境越えは普通だったが、この積雪でも多いと感じてしまう。
神庭邸に寄って大山に向かう。仁王茶屋の駐車場は除雪されておらず、博労座の駐車場に入る。寒波は峠を越えて、大山寺の空は穏やだった。いつもはこの雪でスキーと登山客で賑わうが、今日は寒気の余波で少なめである。共同装備を分担して行動開始。大山寺の参道の両脇は除雪した雪の壁ができている。軒のつららは長さ1mを超えようとしている。
南光河原の駐車場にて、雪崩ビーコンの送受信を確認。深い雪の中を出発。ワカンをつけて北尾根に取り付く。ちょうど日本山岳会広島支部のメンバーが雪上訓練を行っていた。翌日同ルートを登るそうだ。その横を登りはじめる。もちろんトレースはない。自らトレースを作るのが今回の目的でもある。最初は岩肌の露出した急斜面を乗り越す。草付きにワカンの先端がつっかえて滑る。あえぎながら僧兵コースの東屋の所に出、その後尾根上をヤブを避けながらのラッセルが続く。

樹氷の中のラッセル
神庭さんがハンドテストをして、20-30cmの新雪の層にしまった雪の層を確認。その間にはあられの層があり、いわゆる雪崩の弱層を作るすべり面があるようだった。ブナやミズナラの樹氷が青空に映えて美しい。16時前まで行動し、標高1000m付近の平坦地にテントを張って幕営。鍋に○○が加わって徐々に暖まってきて話にも熱が入った。
翌朝、ヘッドランプをつけて行動開始。気温は-8℃程度。思ったより冷え込みは少ない。尾根上を進み、行者の登山道に合流する(看板の頭のみを確認)。急坂を胸までの雪をかき分けてじわじわと進む。話し声が聞こえ夏道は近い。良いペースで夏道に合流した。ここからは、安全圏とは言えないが頂上に向けてトレースが引かれているので安心できる。
頂上小屋に宿泊したのか、すでに下山する登山者もいる。七合目より上部は風が出てきて、氷の粒が顔に当たり痛い。視界は50m。ポールを目印に歩く。

雪の鎧を着た頂上小屋
頂上小屋は氷雪に覆われて原形をとどめない。小屋で風をしのいで小休止。強い冷気にだんだんと手がしびれて感覚がなくなる。下山中、決して良いコンディションではないが続々と登ってくる。風の影響がなくなる六合目小屋にたどり着きほっと一息。昼過ぎには無事下山。深雪のラッセルだったにもかかわらず想定のコースタイムで行動できた。何とか合宿の形にはなったが、久しぶりの全装備を担いでの山行の疲労は隠せなかった。


風雪の中の登山者
今回は、コンパクトな雪山山行だったが、新雪のラッセル、ブナの樹氷、雪中の幕営、風雪など、厳冬期の大山を味わえて良い山行だった。