新人教育山行八ヶ岳 10月5日(金)~8日(月)(係)中島a
横山a 武田b 吉村b 多賀谷(重)a 沖本a 野田b 奥原a 岡村b
<行動記録>
今回は、ミッシェルの名曲達のイントロでも紹介しましょうか。
<暗がりで セビレしびれたいなら
イナズマを呼んで来て欲しいと言え> 「バードメン」
本当にシビレる歌い出しです。
徐々に新人も増えてきたので、どっか遠くに連れてってみようと思い立ち、希望を聞きました。意見があった中で、岡村さん(通称 蒼い爪 以下 ツメと表記)からリクエストがあり、八ヶ岳に行くことにしました。
金曜日夜8時に横川北口に集合し、滋賀県内の静かなPAにてテントを張り、3時間だけ仮眠を取って八ヶ岳に向かいます。体を伸ばして3時間だけでも寝ると、翌日の疲労が全然違います。午前9時過ぎ、車は登山口に着きました。会報の山行計画に書いた、全てをかなえる秘策とは、まさにこの登山口、舟山十字路のことでした。主にバリエーションの登山口として使われることの多いこの舟山十字路は、実は南八全山を縦走して、しかも一度も同じルートを通らずに元の位置に帰ることのできる登山口なのです。この登山口の発見こそが、今回の計画の全てであったと言っても過言ではありません。さて、今回の例会のテーマは「チームワーク」です。上記参加者の名前の後のabは、実はチーム分け。行動中の共同装備の分担も、テント生活も全てチームごとにやってもらいます。各チームのリーダーはそれぞれ横山さんと武田さんにお願いしました。お二人が、チーム内の装備を分配していざ出発です。今回は常に新人に先導してもらうことにしました。西岳にあがる尾根は、取付きが少しわかりにくいです。新人達は、一度は取付きを通り過ぎ、また地図を見ながら引き返して正しい道を探り当てます。途中途中でも、先輩達から地図の見方、コンパスの使い方、現在位置の特定などの指導が入ります。そうやって尾根上で現在位置を確認していたときのこと、武田さんが脚を蜂に刺されてしまいました。近くに地蜂の巣があったようです。2か所も刺されてかなり痛いはずですが、全く弱音は聞かれません。ただ、淡々と「痛いです」「腫れてきました」と報告だけ欠かさず、歩くペースも落ちません。すごいですね、まったく。西岳を経て2時にはテン場到着。広島を出るときから、風邪が着実に悪化していた吉村さんにはテントで休んでもらい、残りの人は編笠までピストンしてもらいます。これまでトップでペースを守ってもらった野田岳人の鎖も解き放ち、自由に登ってもらうと、早い早い、駆け上がってゆきます。付いて行くこっちは息切れしてるのに、本人は脈拍も60ってとこでしょうか。素敵な体力です。編笠山頂は好天の大展望。夏合宿の南アルプスもすぐ真向かいです。ウルトラマン奥原君は、あっちもこっちも行って経験値を上げてますね。なんと、この前は富士山にも行ったそうで、侮れないですね。さて、テントに戻ったら新人のウルトラ・爪組で天気図大会です。さすがに二人とも初心者だけあって、ラジオのスピードに全く付いて行けません。でも、明日の天気はなんとか持ちそうですね。冬に向けて、天気図用紙を買って、是非練習してもらいたいものです。まずは明日の気象通報でリベンジしてね。晩ご飯はシチューと大量のフランスパンです。bテンからお玉がないとの悲鳴があがります。我慢して下さい、一本しか用意して来なかった中島が悪いのです。さらにbテンからパンに塗るバターはないのかとの指摘があります。我慢して下さい、パンなどシチューに浸せば際限無く食えるだろうと考えた中島が悪いのです。ところで、bテンの人はお玉ナシで翌朝のラーメンの汁どうしたのでしょう?わずかばかり良心が痛みます。さて、晩ご飯の後は、本例会のメインイベントとなっておりますウルトラ奥原土笛リサイタルの開催です。どこまでも謙虚なこの奏者を晴れ舞台に引きずり出すには、プロデューサーの並々ならぬ苦労がありました。しかし、その苦労を忘れさせるほどの素敵な土笛でした。テント場から少し離れた森の中、オカリナの音はどこまでもどこまでも響いて行くようです。低音用、高音用と二つの笛を使い分け、東西の名曲を皆で聞かせてもらいました。私個人としては、今回このコンサートが一番印象的でした。唯一残念だったのは、ツメが初めての高所で頭痛を訴え、風邪の吉村さんと一緒にテント待機になって笛を聞けなかったこと。まあ、でも無理をしなかったおかげで、二人とも翌日は完調だったようです。しかし、吉村さん、ビールで薬を飲むと肝臓が悲鳴をあげますよ。なおaテンでは、コンサートはあくまで夕の部で、夜の部として横山ご師匠による独演会が引き続き開かれていたのは、言うまでもありません。
<さんざん眠って夢を見た あばらが折れていた
ケムリが骨に染み渡る スキマに風がなる> 「ジェニー」
ぐっすり熟睡したら二日目の朝でした。フライの内側が凍り付いてます、高山っぽくて良いですね。要領のわからない新人達を急かしながら、1時間半で出発します。やらされるうちに、コツをつかんでくるでしょう。暗闇の中を出発して、惜しくも日の出の10分後に権現岳山頂に到着です。それまで穏やかだったのに、主脈稜線にあがると強烈な西風が襲ってきます。西風は八ヶ岳名物ですが、新人達には結構こたえるようです。ただ、天気はこの上なく快晴です。この先もずっと、周囲の全て見渡せる中を歩いて行きます。そう、全てって感じで、北ア全山、中央全山、南ア北部、奥秩父、奥武蔵、上州、浅間、下越、そして富士山と満漢全席です。権現周辺や、横岳周辺にはクサリやハシゴもあり飽きさせません。しかし、後ろから見ていて、オッキーのバランス感覚のなさはまさに天性のものです。なかなか、身に付けようとしてできるものでもありません。でも最近はバテなくなったし、平坦なとこは結構早いんだよね、ナイス理世。正直なところ、キレットから赤岳の登りは不安がありました。何にって、ツメとオッキーと多賀谷さんですよ。いつ誰がバテてもおかしくないのに、無事に乗り切れて、チームワークの勝利ですね。さて、主峰赤岳、横岳と来て主脈縦走のフィナーレは硫黄岳の爆裂火口です。いつみても絶景です。まるで、世界がここで終わって、その先には、語られなかった未来だけが広がっているような場所です。この、世界の終わりからわずか1時間下山すると世界の中心のような赤岳鉱泉です。水場とテン場と鉱泉と、そして横岳西壁に囲まれて最高です。しかし、西壁は本当に楽しそうですね。横山さん,みんなを連れて今度は冬に来ましょうね。さて、ここで事件が起こります。行者小屋までの最後の一本で、ここまで快調だったウルトラマンの脚がパタッと止まったのです。誰も知らなかったのですが、実はウルトラマンのカラータイマーは行動開始から9時間で鳴るのです。M78星雲に帰るのが先か、行者小屋にたどり着くのが先かと言う、切迫した状況ではありましたが、なんとか宇宙の平和は守られました。こうして2日目の行動は終わっていきましたが、さすがに2日目、新人達は工夫して昨日よりちゃんとした天気図を作成しておりました。それをもとに「明日の午前は大丈夫でしょう」とのツメ予報も頼もしい限りです。この日は最後の晩なので、aテンに無理やり9人詰め込み、みんなでご飯です。吉村さんのおごりで、小屋ビールがまわり、多賀谷さんなどすごくうれしそうです。アル中呼ばわりされるツメのところには、不思議なほど缶が集まります。まあ、飲める体力があるのは良いことですね。ちなみに今日は炊き込みご飯と八宝菜です。bテンのメンバーから、八宝菜が塩辛過ぎると苦情があがります。我慢して下さい。八宝菜の具にベーコンブロックを使った中島が悪いのです。しかし、この塩分はエネルギーを使い果たしたウルトラマンには、良く効いたようです。この晩特筆すべきは、岳人の動きがすごく良かったことです。昨日からそうだったのですが、ご飯の準備をしていると、率先して実に良く働きます。一歩先を読んで動けるタイプですね。いいクライマーになるか、いい食当になりますね。冬に水を作らせても上手そうです。
こめかみ指で こじ開けてから
意識トバして 帰るよ リリィ 「リリィ」
さて、最終日です。テントを出ると小雨が顔に当たります。昨日のツメ予報は早速はずれてしまいました。今日は阿弥陀岳を経由して御小屋尾根を下山です。阿弥陀の山頂に登ると、さっきまでの小雨に暴風がセットになり、パワー100倍です。こんなところに長居は禁物なので、さっさと下山したいのですが、御小屋尾根上部はガレガレで結構悪いのです。クサリやハシゴも登場です。岩場の上を、ものすごい暴風が吹き抜けます。もう、最高です。これぞまさに山岳会の山行ですね。3日間の中で、この時が一番楽しかったとみんな思ったことでしょう。山の醍醐味ですね。しかし、楽しいのも最初の1時間だけ。以降は安全な尾根道が、私たちを舟山十字路に導いてくれます。事前のメールでは、付近に別荘のある宮本さんが出迎えてくれるはずでしたが、影も形もありません。帰ってからメールを貰いました。計画表を見誤り、私たちの下山時間を大きく勘違いしていたとのことです。
耳に残る曲に印象的なイントロがあるように、山の新人にも記憶に残る新人山行があって欲しいと思い、この例会を企画しました。単なる縦走でしたが、横山さんと武田さんという完璧なリーダーのもと新人達は山行の基本を良く学べたことと思います。これから山岳会の中核を担う世代として、皆にはとても期待しています。そう、そこの君のことだよ。
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コースタイム
10/6 舟山十字路 9:30->広河原 9:45 -> 西岳 12:45 ->青年小屋 13:54 -> テント設営 / 青年小屋 14:30 -> 編笠岳 14:46 ->
青年小屋 15:20
10/7 青年小屋 4:35 -> 権現岳 5:55 -> キレット小屋 7:18-> 赤岳 9:20 -> 横岳 11:30 -> 硫黄岳 12:30 -> 赤岳鉱泉 13:52 -> 行者小屋 15:05
10/8 行者小屋 4:30 -> 中岳のコル 5:20 -> 阿弥陀岳 5:56 -> 不動清水 7:37 -> 舟山十字路 9:24 (タイム計測 沖本 野田)