2020年夏合宿 黒部川上ノ廊下(3日目)


~90周年記念山行~

日程:2020年8月9日~8月15日 ※移動日含む

<係>吉村

<参加者>宮本、坂口、松林、上田、西村、田中、堀田

アルバム

<行動記録>

8月12日   3日目   (記)田中

4半世紀ぶりの上ノ廊下ということで強い希望で参加させて貰ったが、早三日目。この日は全く他のパーティーに会うこともなく学生時代の記憶を探りながら歩いた。リーダーとして連れていってくれた山岳部の顧問も病気で他界してしまったので個人的には追悼遡行。赤木沢も新人を連れて何度も行ったっけ。

激流の渡渉

口元ノタル沢を何とか高巻いた後の泊地ではパラパラとした小雨に見舞われており、朝も今一つすっきりしなかった。朝の準備については、少しは早くなったようだが濡れないようなパッキングにはどうしても時間がかかってしまう。途中で諦めて突っ込むことになり、どうせ浸水することになるのだが。

だいぶコツを掴んできたスクラム渡渉

廊下沢に向けて朝から何度か渡渉が必要となる。合宿に向けて中国山地で体幹を鍛えてきたので、ここぞとばかりに振り子でリードを務めさせてもらった。少し背が高い分有利らしい。上田さんに確保してもらった上で何とか進むがやはり冷たい水と強烈な水圧で時々バランスを崩しそうになる。

寂地峡で練習した成果はあったが、一番多用したのは結局スクラム渡渉だった。ロープを出すと下手して1時間弱かかってしまうが、3人または4人一組になると速やかに対岸に渡れる。ただ流れが速そうなところでは、お助け紐でバックアップをした。(実際何度か命拾い。)

水量が半端なく胸までの水位まで来ると簡単に体が浮いてしまう。荷物の大きさもあるのだろう、斜め一列を心掛けるが、足が絡まると団子になってしまう。段々と息があって慣れてくると互いにうまく寄りかかって荷重ができるようになった。

振子渡渉も足を踏ん張るのに必死

1時間ほど渡渉を繰り返していると廊下沢出合に至る。随分とガレており、大雨が降ると相当の勢いで大岩が転がってくるのだろう。黒い火山岩から白い堆積岩、緑っぽい変成岩と様々で黒部の造山活動の激しさがよく分かる。よく見るとウミユリの化石のようなものも散見される。(ブラタモリで予習)

廊下沢出合

変化に富む岩肌を楽しみながら、へつっているうちに広河原に到着。

広い広い広河原

記憶が定かではないが廊下沢が岩で埋まっており昔は湖の底であったと聞いたような。

前日までの苦闘をよそに河原を黙々と歩いて距離を稼ぐ。晴れていたら相当景色が良かったに違いない。小一時間ほどかけて、ゆったりと進む。中ノタル沢・スゴ沢がそれぞれ左右から流れ込み再度、両岸壁が迫ってきた。

第3使徒、奥へ奥へと進む

やがて本日の核心の一つである上ノ黒ビンガに入る。相当心配していたが下ビンガに比べると、それ程の水量ではない。綺麗な砂浜まで振り子で渡る。バランスを崩さないよう細心の注意を払ったつもりだったが、どうもエヴァの使徒に見えるらしい。ホント??

慎重にへつって

ビンガの前後はやはり谷が切り立ってきており、それなりのへつりもある。厳しめのところには何気に古いハーケンが残っていた。上ノ黒ビンガを1時間ほどかけて越えたところで全員記念撮影。

上ノ黒の・・・ビンガ、ビンガ~♪

流石の名所。やがてスダレ滝の横を過ぎる。上ノ廊下には、多くの沢が流れ込んでおり、これらの滝の水が集まって水量を保っていることが分かる。つい見とれてしまうほど清冽で美しい滝をあちこちで見かける。

スダレ滝

少々滝に打たれて修行もしてみる。気持ち良く、下界の垢を流す。

コロナ退散コロナ退散

昼休憩は金作谷で取ることができた。雪渓から吹く風が冷たい。7月は相当雨が降ったはずだが、それでも雪は残っている。今日は調子よく進んだのでイワナ釣りの時間もたっぷりあるかと思ったが、これからのゴルジュ帯には思った以上に時間を取られた。

雪渓残る金作谷

へつりさえ厳しいところも2度ほど泳ぎで突破。何度かルートファインディングに頭を悩ませた。が、面白い。

身を切るような冷たさ

また階段状の簡単な巻もあり、懸垂下降が必要な場面もあった。この様に地形が次々と変わるのも上ノ廊下の魅力だ。

激流は巻く

ゴルジュ帯を越え、気が付くと、もう17時前になっていた。少し開けたところでテント泊適地を発見。小雨が降りだす中、今回唯一であったがタープも張ことになった。

ツェルトを張って暫くしてからは本格的に降り出す。吉村さんがダケカンバの皮とテーピングテープをフル活用して火を熾す。油分と薄さによる持続性がポイントのようで雨の中、震えながらであったが、おき火ができた。やはり沢登りには焚火は必須だ。吉村さんの畑で練習した甲斐もあったか。

飯が炊きあがる頃には徐々に雨も上がってくる。タープの下で、それなり快適に夕食を楽しむことができた。しっとりはするが、ツェルトでも十分雨は防げる。

雨が降る前にタープ設置完了

深夜まで雨は断続的に降り続き天井から雨がしたたってきたが疲れのせいか、トイレに起きることが無いほど熟睡。堀田君の持ってきてくれた内張用のポールも威力を発揮した。人間って意外と強い。

<コースタイム>

8/12(水)   曇り時々雨

6:20泊地発 → 7:40廊下沢出合 → 8:30広河原・中ノタル沢・スゴ沢 → 10:30~11:30上ノ黒ビンガ → 12:40金作谷 → 14:30~15:00金作谷出合上部の淵 → 17:00泊地(金作谷上部)

コメントを残す