奥秩父 滝川・豆焼沢遡行


宮本博夫

日程:2007年9月15日~16日
参加者:菅野、宮本

<行動記録>
今回行き先は奥秩父の代表的な名渓のひとつ、豆焼沢である。菅野さんと宮本の関東雨男組の定番となった奥秩父の沢登りは、ず~っと笛吹川流域(山梨側)に取り組んできたが、今回、ついに反対側の埼玉県側に足を踏み入れた。
今更の説明だが秩父というのは埼玉県の町で、奥秩父はその最奥、山梨や長野との県境を成す2000m級の山々のことである。この埼玉県側の奥秩父というのが、かつては私の住む神奈川県から、更には埼玉県人の菅野さんでさえ大変にアプローチの悪いところで、ほとんど半日がかり、夜に出たら朝になってしまうほど時間のかかるところであった。それが10年ほど前に奥秩父の山をぶち抜いて山梨県と埼玉県を往還する大トンネル(雁坂トンネル)が出来、容易にアプローチ可能になったのであった。しかし、便利になった反面、トンネル工事が自然におよぼした影響は少なくなく、今回の豆焼沢は途中に巨大な橋がかかり、大きな被害を受けた渓谷である。

さて、雁坂トンネルの入り口はお馴染みの笛吹川西沢渓谷入り口にあり、710円も払って8kmの大トンネルを抜けると、そこが豆焼沢入渓点の豆焼橋である。
15日10時出発、豆焼橋から川床まで100mくらい踏み跡を下っていく。「沢」と言っても渓谷のスケールはかなり大きく、完全に「川」。秋雨と先週の台風の影響か、一見して水量も多いとわかる。最初の滝場は5m小滝のゴルジュで通常はゴルジュの中を進むようだが、水量が多過ぎてとても滝に取り付ける状態ではなく、巻き道をいく。最後、沢に下りるところが岩に張り付いた灌木(揺すると結構動く!)を使って懸垂で降りねばならず、灌木がぐらぐらするのでそおっと降りたいところだが、かなり振らないと降りられず、おっかないところだった。すぐに25mホチの滝。この真上に大きな橋がかかっている。ホチの滝を巻いて登ると小滝が詰まったゴルジュ帯。豆焼沢遡行の核心部なのだが、ここも水量が多く手に負えないので巻くことになる。
昼食を食べた後、次のポイントは幅広8mトオの滝。つるっとしてフリクションギリギリの左側を登る。いくつかの小滝を越していくと、4段50m大滝、大水量で迫力がある。直登も不可能ではないそうだが、さっさと巻く。続いて4段20m滝。容易に登れるとガイドブックにあるが、ここも水量が多く手に負えないので巻く。これを過ぎると河原になって、ビバーク適地とガイドブックにある。一応、それらしき所があったが、適地というほどのものは見あたらない。少し上まで見に行ったが見つからず、それらしき所で泊ることにする。上まで見に行ったのが疲れた身体にとどめを刺してしまい、お決まりの焚き火をやる気力がなくなってしまい、この日は珍しいことに焚き火なし。焚き火がないとさすがに寒く、晩飯を食べてさっさと就寝した。

翌16日。出発してまもなく両岸から滑滝が落ちる見事な景観に会う。右が本流で60mの滑滝。豆焼沢のクライマックスとされているが、確かに素晴らしいところだ。今日は水量が多いので尚更だ。
このあと、小滝の詰まった小さいゴルジュを抜け、上部二俣は滝が連続する左に入る。何個か小滝を過ぎると雁坂小屋の取水口がある。登山道が横切っているのではないかとざっと見渡すが見つからず、更に連続する小滝を登っていく。すると相当量の水流がシュッと四方の斜面へと消えてしまうのだった。ここで水を汲んで樹林の中の踏み跡をたどって登っていく。登山道が横切っているはずだが、見当たらない。結局、稜線まで登ってしまった。
稜線は山梨県側から激しくガスが吹きつけて何にも見えなかった。稜線上も道があり、たどっていくと雁坂峠。菅野さんが日本三大峠だと教えてくれた。その昔、甲州(山梨)と武州(埼玉)を結ぶ、重要な往還路だったそうだ。そこでは、マラソン?ランナーが次々と現れた。なんでも、甲府(山梨)から川越(埼玉)までの140kmの長距離マラソンだそうで、朝の5時から24時間走るとのこと、しかも年配の人ばかりでアンビリーバブルな光景だった。我々が昼休憩をとった雁坂小屋は補給基地になっていた。ここで雁坂小屋主人らしき人に話しかけられ、先程我々が見過ごした登山道は取水口のところだと教えられた。それがわからずに稜線まで登った、というのが信じられない、と言われてしまった。まあ、確かにそれで1時間ほどロスしてしまったが、沢登りの締めくくりとして稜線まで登るのはそれなりに意義があるのでよしと考えよう。
雁坂小屋からは黒岩尾根を下山。かつては廃道だったが、雁坂トンネル工事で利用されるようになり、復活した登山道だ。3時間ほどかかって降りたが、途中誰にも会うことはなかった。
下山してまたすぐにトンネルを戻って、来た道を帰る。通行料が高いのでトンネル往復のみではちょっともったいない気がした。
 帰途につき中央高速まで来ると、今日はひときわ渋滞が激しく、入ってから出るまで40kmほどずっと渋滞。それなら下道を行けば?と思うでしょうが、こういう時は下道も全く動いていない。高速?通過に3時間も要す。今までで最悪の渋滞だった。結局、これが今回山行で一番くたびれた。

<コースタイム>
9月15日;豆焼橋駐車場出発(10:00)~50m大滝下(15:40)~4段20m滝の上ビバーク地(17:10)
9月16日;出発(7:30)~上部二俣(9:00)~稜線(11:00)~雁坂小屋(12:00)~黒岩尾根経由~出発地帰着(16:10)

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