大山(7合尾根)


保見

日時:1月17日(土)~18日(日) (係)保見L
参加者:吉村(光)、三谷SL、平本、松林

<行動記録>
1月19日(土)
小雪が舞う広島を出発し、大山に向かう。
時間短縮のために無料の松江道を利用したが大万木周辺は路面は真っ白で吹雪となった。
低気圧が通過し寒気が入ってきているがそれほど強くはない。明日は晴れの予報であるが、山に入る前のこの降雪はあまり嬉しくない。

仁王茶屋に車を置いて入山。元谷までの樹林帯はトレースがついていた。途中のトラバースでは間隔を開けて慎重に通過するが足元がずれる。弱層がありそうだ。また、サラサラの雪が堆積しており、水のように流れている。弱層がなくても簡単に崩れそうな雪質である。
15:30に元谷小屋に到着。風を避けるために小屋の上部の樹林帯にテントを張る。元谷小屋は無人であったがあえてテント泊を選択する。気兼ねなくバカ話ができるのはテント泊の魅力の一つだ。夜半からの風に備えてブロックを積み、城壁のような見事なテン場が出来あがった。
今夜のメニューは昨年に続き「芋煮」である。分量を間違えたのか芋が少ない。「何煮?」という感じであったが味はまあまあだったということでお許しいただきたい。
せっかくブロックを積んだのに風はほとんど無く、パラパラと雪の降る音が夜通し聞こえていた。

1月20日(日)
4:30起床。雪は止んでいるが10センチくらいは積もっているだろうか。晴れているが星は出ていない。
少し明るくなるのを待ち、わかんを付けて出発。皆さんには申し訳ないが全装備を担いで出発してもらう。これからの大山シリーズでは登攀もあるので登攀要素が少ない時は負荷を掛けておきたいと思った。
地図を見て7合尾根の取り付きを目指すが上部にガスが出て全体イメージが湧かない。三谷さんにルートの確認をし、堰堤の左岸から取り付きを目指すこととした。
わかんで雪面を踏むと雪の表面にヒビが入り、深さ10センチくらいのところでブロック状に切れる。明らかにこの部分に弱層がありそうである。ある程度斜度があるところまで行ったら弱層テストをしようと決める。
右岸に渡り、小高い丘に登る。取り付きが目の前に見えてくる。上に抜け、弱層テストをするためにピットを掘っていると「雪崩!」の声が。顔を上げると行者谷を凄い勢いで雪の固まりが雪煙を伴って流れてくるところだった。小高い丘の上にいたのだがその勢いに身の危険を感じ、とっさに上に上がる。かなり高い場所にいるはずだが雪煙が顔に当たり、規模の大きさを実感する。10分遅かったらどうなっていただろう。あらためて沢筋を通る怖さを痛感した。
コンプレッションテストの結果は上部から10センチ、20センチ、35センチに弱層があり上の層は手首の力で滑り、2番目の層は肘の力で滑り落ちた。
雪崩を「警告」と受け止め、引き返すこととする。大堰堤まで降り、今日の行動を考える。宝珠山まで登るか、夏道に行くか。どこに行っても雪の状態は同じなので山から離れたい気持ちが強くなってくる。天候も良く、登って来る人を見ると決断がなかなか下せない。降りると言ったらみんなは何て言うだろう。結局、三谷さんに「気持ちが乗らない」と相談するとそういう時は止めた方がいいと言われ、自分の直観を信じて下山することとした。
天気がいい中、全装備を背負って下山するのは楽しいものではない。しかし、もしこのままどこかに登って事故にあったら後悔では済まないだろう。

今回は雪崩があったから引き返したが、雪崩がなかったら果たして引き返していただろうか。「この程度」と考えて進むのか引き返すのか。これからの冬山を考える意味では今回はいい勉強になった気がする。
下山報告のメールを児島さんに送ると、「その勇気必要です!山は逃げません。」と返事をいただいた。先輩の言葉に少し気持ちが楽になった。
また来週頑張ろう。

<コースタイム>
1/17(土)仁王茶屋14:00→14:57大神山神社→15:35元谷小屋
1/18(日)4:30起床→6:38元谷小屋出発→(7:20)行者尾根向かいの堰堤を挟んだ尾根、雪崩発生→7:40引返す→8:00大堰堤付近8:15→8:43大神山神社→9:20仁王茶屋

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