No.3937 冬山技術講習 大山


神庭

月日:3月13日夜~14日
参加者:野田、元広、小野、高田
<行動記録>
 今回の参加者は、なんと係より経験の浅い人ばかり。2月末に日山協の氷雪技術研修に参加したので、その伝達講習も兼ねて新人研修的な内容の講習会となった。今年はビバーク訓練をしたいなと考えていたら、野田君がとても乗り気だったので、それも実施することにした。
 土曜の昼に広島を出て、17時半に仁王茶屋で米子の係と合流。まず駐車場で雪崩ビーコンのグループチェックを行う。元谷小屋には19時頃に着き、こんなときに限って無人の小屋を見送って、小屋の近くでビバーク訓練に入る。積雪は少ないが、吹き溜まりを見つけて試掘してみると雪洞を掘ることができそうだった。さっそく2ヶ所から掘り進め、奥でつないで5人分のスペースを確保する。まだ慣れない人はブロックを切り出すのが難しいようだったが、ブロック作業でないとパーティ全体の消耗が激しくなるので、ぜひ上手くなってもらいたい。2時間以上かけてようやく雪洞が仕上がった。ローソクを灯すと、ビバーク訓練のはずなのにテントより快適な空間になってしまった。あまり早く寝ると寒いので談話しながら過ごし、日付が変わる頃就寝とした。シュラフも持参可としていたが、皆さん気合でシュラフカバーのみ。ツェルトでの入口の塞ぎ方が悪かったようで、夜は冷気が入り込み全員ガタガタ震えながら朝を待つことになった。
 「いやー、昨夜は全然眠れなかった。」と言う小野さん。「でも小野さん、しっかりイビキかいてましたよ?」と野田君。寝てないようで寝てるんですよね、寒い夜も。さて暖かい朝食をとって出発する。今年も墓場尾根取付の少し下の斜面を会場とした。昨日の日中に雪崩れたと思われる斜面は氷化し、歩行訓練の格好のゲレンデとなっている。「滑落停止より、滑落しない歩行技術」ということで、アイゼンなしの歩く訓練にかなりの時間を費やした。ピッケルとのコンビネーションが重要だ。訓練で特にいつもと違うところは、ピッケルなしで安全な急斜面を走りまわるというところだ。これは日山協の研修で教わったのだが、普段の山行では「転ぶな、滑るな、丁寧に歩け。」と言われ続けているので、雪に対して苦手意識や恐怖心が先行して、技術習得の障害になっているということで、それを払拭するために思い切って遊ぶのが良いというのだ。その中で氷雪の性質を理解したり、滑ったときのリカバリー技術が生まれたりするのだろう。係は山陰の雪に馴染んで育ってきたが、九州育ちの小野さんなどは、「雪ってなに?」の世界なのだ。安全なところで雪と「遊ぶ」ことが大切だ。さて怖い思いで登下降した急斜面を、今度はアイゼンで登下降する。氷化した急斜面も、前向きで下りられます。当たり前に着けてるアイゼンのありがたみが分かったでしょう?
 歩行訓練の最後に最終手段の滑落停止訓練を行う。ゆっくりから始め、徐々に加速をつけ、さらに高いところから滑落して停止する。そろそろ最後にしようかという所で、高田さんがモーグルのコースみたいにコブコブの雪面へ滑ってしまい、停止してから口元を押さえている。ピッケルのブレードで鼻下を切ったようだ。病院に行かなければならないのだが、講習会を中止するか悩んでいると、野田君が付き添って行くと申し出てくれた。おかげで残る二人には支点の作成とスタンディングアクスの講義をすることができた。昼過ぎには治療完了の連絡が来たので、今年は雪崩に関することを省略して早めの下山となった。米子市内の係のアパートへ集合、珈琲を飲みながら昨日のビバークや今日の訓練の話をした後、皆さん広島へ帰って行かれた。傷の具合はというと、縫うほどではなく、テープでの処置で大丈夫とのこと。高田さんが保険証を携行していたので、手続きもスムーズに出来ました。今回の訓練では、破れてもいい衣類の準備を言ってなかったので、新品同様のカッパを破る人もいたし、ピッケルのブレードカバーをせずに滑落停止訓練をしたため負傷する事態も起こしてしまった。ひとえに係の安全管理不十分でした。また野田君には、楽しみにしていた冬山訓練が半分しかできずに申し訳なかった。
 いろいろ問題はありましたが、前夜からのビバーク訓練に始まり基本技術をしっかりやったので、なかなか充実感のある内容でした。

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