No.3881 大山(烏ヶ山南西尾根) 神庭・吉村


三谷和臣

月日 2月7日(土)夜~8日(日)
参加者 名越、武田、福永、野田、三谷
<行動記録>
 烏ヶ山の南西にのびる尾根から南峰の壁をダイレクトに登り、北峰を鳥越峠側に下降する計画である。南峰直下の雪壁の登りと北峰からの下降が本山行のポイントになるだろう。6時半過ぎまだ薄暗い中、行動を開始した。雪がパラパラと落ちているが、気温は0℃をわずかに下回った程度で暖かい。環状道路のゲートからスキー場に入り、ゲレンデ上をツボ足で行く。リフト終点にて小休止し、南西尾根にとりつくべく輪カンを装着する。早速名越さんがトップで、スタスタと樹林帯へと消えていった。この尾根は常時風が強いらしく、雪面は程よくクラストしている。西側はなだらかだが、東側は大きな雪庇が形成され、深く切れ落ちた谷となっている。1201m峰を越えたところで進路を東にとり、さらに尾根上を進む。先頭は体力抜群の野田さんに代わり高度を稼ぐ。雪が安定しているため深く沈み込むことはなく、ペースが落ちることなかった。9時過ぎには早くも南峰直下の岩壁の基部に到着する。雪壁の登攀に備えてアイゼン、ハーネス等を装着する。ここの岩壁は傾斜が強いため雪の状態が不安定である。雪が少なければ激しい藪こぎになり、草付き上のぐさぐさの雪を登らなくてはならない。今回は雪の量、質ともに良好なので、ロープは使用せず各自が雪壁に取り付く。名越さんも今シーズンのベストコンディションだと絶賛しておられる。堅すぎず柔らかすぎずの雪壁にピッケルを打ち込み、アイゼンをけり込んで確実に登る。所々ブッシュを掴んでの木登りとなるが、適度な高度感を味わいながらの快適な登攀となった。ほぼまっすぐ登り続ければ、間違えることなく南峰のピークに出ることができる。そこからコルに向けていったん下降し登り返すと北峰のピークである。頂上の気温は氷点下3℃、積雪は標識の先端がわずかに見え、大岩の半分が隠れる量である。
休息も束の間、下降点を確認して懸垂下降の準備をする。夏道らしき跡は見あたらない。ロープをセットすると、名越さんは既にスルスルと下降を始めていった。私は2ピッチ目を確認するため名越さんの後に続いた。冬には数度下降した経験があるが、何年も前のことなので記憶が曖昧になっている。視界は悪いが、2本の尾根状が確認でき、進行方向に対して左よりの尾根の延長にピナクル(いわゆるジャンケン岩)が見えている。右手の尾根(途中からルンゼ)を下降するのが正しい。ロープは50m一本しかないため、一旦ピッチを切る必要があった。今回、基部のトラバースとナイフリッジにはロープを使用しなかったが、もう一本必要だと感じた。下降すると自然とブッシュのない雪の斜面に出てくるので、そこを主稜線に向かってトラバースする。2ピッチ目を下降すると、既に名越さんはロープを外してトラバースを開始している。稜線に合流した後も、しばらくは崩壊したやせ尾根となっている。行く手を阻むキノコ状の雪を崩しながら進む。そこを過ぎると雰囲気の良い樹林帯となる。ブッシュは全て雪に隠れて大変歩きやすい。一見モノクロで無機質な世界だが、木々の生命に対して敏感になれる季節である。
 朝は閑散としていたスキー場も、リフト待ちのスキー客で賑わっている。振り返ると、いつの間にか晴れ渡って真っ青な空に、真っ白な大山南壁が映えている。帰路、滅多にないチャンスとばかり、田園風景と大山バックに記念撮影。野田さんも初めて見る大山の雄姿に感動していた。

<コースタイム>
奥大山スキー場6:40-10:15南峰-10:40北峰-11:30北峰基部-13:30 1210m-13:55鳥越峠-15:30奥大山スキー場

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