No.3622 大山(三ノ沢~槍ヶ峰~弥山)


神庭 進


12月19日(日) 横山、三谷、赤井、中島


<行動記録>

 山口から参加の中島さんが、広島で各人を拾い上げ、大山の岩立バス停に着いたのは22時をまわった頃だった。係は地元に住んでいるので、家から15分、ここで合流する。ひとしきり話をした頃、もう一組の宿泊客が福山から到着した。せっかくなので一緒に夜を過ごしたが、先月の小豆島と同じ面々に見えるのは気のせいだろうか。明日は八ヶ岳トレーニングのため、天狗沢にアイスを求めて行かれるそうだ。

 翌朝5:30出発。桝水の松岡旅館に登山届を提出し、車を1台デポして文殊堂へ向かう。例年この時期は、スキー場から先はゲートでふさがれているのだが、今年は無雪で開放されているため車を乗り入れられた。文殊堂横に駐車して、暗闇の中をヘッドランプ頼りに三ノ沢へ入っていく。朝は星空が見えていたのだが、真っ白なガスと冷たい風に包まれる。大山ビギナーの赤井さんと中島さんがいるので、南壁の迫り来るさまを見せたいと思いこのコースを選んだのだが、視界がきかず残念だ。最終堰堤を越えた頃から冷たいものも落ち出し、会話は弾まない。沢の中には、最近の暖かさが原因なのか、フキノトウが出ていた。

 傾斜が急になる辺りから、トラバース気味の踏み跡をたどる。数年前に初めてここを訪れた時よりもはっきりしている。ガレ場は崩れやすく、さらに個々の石が凍っていて始末が悪い。しかし、わずかに残っている約10cmの硬雪を縫うようにしてキックステップで登ったので、時間的には早かった。最後は右手の尾根状を150m登って槍尾根に出た。雪と地面の上を交互に歩く。アイゼンはよく効くが、我ながら動きはぎこちない。すぐに縦走路に合流する。剣ヶ峰で状態を判断して、弥山へ行くか、ユートピアへ行くかを決めることにして、とりあえず剣ヶ峰へ向かった。

 雪は少ないがクラストしているし、地面も若干だが凍っているようだ。ガスが切れて視界も良くなったので、弥山へ縦走する。縦走路はとても痩せていて、一般路だった面影はない。また、距離は短いがラクダの背付近は特に悪い。係は先頭でヨチヨチ歩き。振り返ると、赤井さんのほうがまともに歩いている。なぜか最近、こういう所で頭がクラ~っとなってしまうのは気のせいか。弥山にたどり着くと、やっと緊張感が緩んだ。

 小屋に入って昼食...いや、まだ10時だから、ブランチをとる。小屋は賑わっている。ここにもまた別の、先月の小豆島と同じ顔ぶれがある。世間は狭いというのか、行動パターンが同じというのか。結局、山に行く者は皆、同じ庭で遊んでいるようなものなんだろう。40分の大休止ののち出発。6合小屋で昨夜の天狗沢組と出会う。天狗沢は落石のオンパレードでダメとのこと。夏山登山道を、風倒木を見ながら一気に下る。1合目付近で「小鳥の路(みち)」という横道に入り、桝水方面へ。この「路」は、大きな杉の並木道になっていて、大山寺付近の歴史を感じる。桝水への車道沿いでも、歩いてみれば何かしら発見がある。中でも、天明八年に立てられた小さな道標に書いてある溝口や二部、江尾や御机といった馴染みのある地名には感動した。発起人や石工の名前も書いてあり、大山寺の勢力とはまた別の、庶民の生活を感じた。13:30桝水到着。車を回送して解散とした。

 雪は少なかったものの、主稜線の縦走は合宿前のアイゼン馴らしに役立った。赤井さんと中島さんには未体験エリアを歩いてもらい、大山の全容に近づいてもらえたと思う。また今回は、ちゃんと早起きして行動したので早い時間に下山できた。どうしても前夜に夜更かし気味になるのだが、やはり基本の早出早帰りは気持ち良い。山口へ帰った中島さんも、この時間なら奥さんとの夕食に間にあったはず。

<コースタイム>
5:30バス停→6:10文殊堂→7:00三の沢最終堰堤→8:50槍ヶ峰→9:15剣ヶ峰→10:00弥山10:40→12:40夏山登山道入口→13:30桝水原

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