NO.3497 大 山    10月12~14日


神庭






<参加者> 大前、吉村、岡本、多賀谷(重)

<行動記録>

12日朝8時にJR廿日市駅へ集合。廿日市から高速を使って三次へ向かい、親子で大山へ行かれる名越さんとワイナリーで合流。いつもの道で大山へ向かい、桝水の松岡旅館に登山届を提出してから岡本さんの待つ文珠堂へ。名越さんは元谷からユートピアへ登るので、桝水で別れた。文珠堂で昼食とパッキングを済ませて三ノ沢の作業道へ入っていく。堰堤群に差しかかり、出発から15分ほどで右手の水場に到着。ユートピアは水場がないので、各自2リットル以上を補給する。圧倒されそうな大山南壁が徐々に迫り、最後の大堰堤を右岸から巻くと、人の手が入っていない本来の三ノ沢が姿を現す。とても広く素晴らしい空間で、雨と風の彫刻を見ることもできる。

本流に沿って行くと最後は滝で行き詰まるが、その手前から右にトラバースする踏み跡がある。2条あるガレのうち、槍ヶ峰から出ている右手のガレを登る。支尾根で見えなかった南壁の全容がわかるようになり、さっきの大堰堤があんなに小さく見える。空を飛んでいるような高度感。上部は不安定で登りづらくなるので、途中から右の尾根状に取り付いて登ると槍ヶ峰直下の縦走路に出た。道沿いに上のピークまで出て小休止、しばらく大山の風を満喫した。そろそろ名越さんも着く頃だろうから、記念写真を撮ってユートピアへ向かった。建て替わった小屋に着くと、名越さんは三鈷峰往復を終え、小屋の土間に溜まった水を拭き取っているところだった。元谷から砂すべり経由で上宝珠まで、のぼる君と一緒にあがってきたという。砂滑りを登る人は初めて見た。小屋には先客があったので土間を使わせてもらい、少し早いが夕食の準備に取りかかる。いつも通り始まるが、途中で星空と漁り火を見に外に出て、遠征の話を聞かせてもらった。最高の夜だった。

翌朝は係の寝坊で1時間遅れの出発。稜線はガスで真っ白だが、すこし振子沢方面へ下るとガスが切れ、矢筈ヶ山、甲ヶ山が見えてくる。パーティ最年少の道案内、のぼる君が先頭を行き、約1時間半で大休峠。名越さんはここから川床へ抜けるので、元気の良いのぼる君ともここでお別れだ。甲ヶ山から甲川を周回するため、最小限の荷物だけ持って残りは小屋にデポしておく。このあたりはキノコ取りでとても賑やか。矢筈ヶ山から甲ヶ山へと順調に進み、甲ヶ山頂上の岩場を過ぎた標識のところから、甲川へ向かって一直線に下り始める。急な道だがそれほど悪くはない。なにより、道を歩いているのは多賀谷さんだけで、残りは両側のヤブに散開している。時々合図をしながら、ナイフとビニール袋を握りしめて…。今夜の食料は森の中、生活がかかっているので必死に目を光らせる。しかし大した収穫もなく、予定通り甲川へ到着した。ここにも昔標識だったポールが立っている。ここから香取の林道へ向かって道があるが、県外からの登山者が使うことは少ないだろう。食事中だった松江ハイキングクラブの方にキノコ汁をわけてもらい、軽い食事を摂ってから庄司ヶ滝へ出発する。妖精の谷出合にザックを置いて少し進むと「庄司ヶ滝」に突き当たる。泥壁の滝だが、今は上下二段になっているそうだ。この滝は登れないので引き返し、妖精の谷に入って迂回する。「妖精の谷」の名の由来は知らないが、水もなくしっとりと苔むして、何とも言えないこの静けさから来たのだろうか。2万5千の地形図でも入口だけしか読みとれない、秘密の谷。ある人はこの辺りを調べていて、昔ここを流れていた水が、水流変動により現在の庄司ヶ滝へ移ったのではないかという疑問を持ったという。またいつかゆっくりと、この周辺を調べてみたいと思う。妖精の谷を横切る小道を左へ入り、再び甲川源流に至る。よく言われる三俣は、どこになるのかよく分からなかった。このまま本流を詰めれば大休峠だが、さっきの小道が本流を横切って延びているので、興味に駆られてそちらを辿ることにした。小道は矢筈方面の尾根状へ延びており、行きたい方向よりかなり左へずれている。しばらく様子を見ながら辿るが、どんどん矢筈の稜線へ上がっていく。この道を最後まで見届けてみたいが、あきらめて軌道修正。コンパスを取り出し、大休峠に狙いを定めてヤブの中を一直線に進む。やがて甲川源流に出合い、大休峠に抜けた。地獄谷で幕営予定だったが、すでに16時、今からパッキングしても遅いので大休峠泊とした。小屋には偶然、大前さんの30年ぶりの友人が泊まっていた。屋久島で行われた国体で、大前さんは広島県代表、その方は鳥取県代表だったそうだ。今夜も楽しく過ごし、小屋の外でいつしか眠っていた。

最終日も快晴、大前さんは友人と連絡先を交換しあっている。食事を済ませて出発し、約1時間で大休口到着。ここから地獄谷へ入る。地獄谷では飛び石で何度も流れを渡るが、お約束のように第一歩から秋の水を楽しむ人もいた。谷に入ってから約40分で大休谷の出合いにある大休滝に着く。係は滝を見に行ったが、あまり大したことはなかった。余談だが、大休峠から大休谷へ下って、谷沿いに地獄谷まで行けないものだろうかと前から考えている。ここからさらに3時間で振子沢出合に到着、時間的に烏ヶ山往復は難しいのであきらめ、大休止を取ることにして昼食(ナメコ汁)を作った。谷幅の広い駒鳥小屋周辺は気持ちの良いところで、多くのキノコ取りが昼の休息をとっている。

13時前に出発し、小屋を覗いてみる。駒鳥小屋とは関わりたくない大前さんは一人猛スピードで鳥越峠を目指す。なかなか追い付けないので、大前さんが道を間違ったのではないかと係は少し不安だった。鳥越峠からこのまま帰るのはもったいないので、最後に大山を見渡そうと烏ヶ山方面へ少し登ってみた。数分歩いて振り返ると、おととい登った槍ヶ峰があんなに高く見える。槍ヶ峰に立っているときには「いったいなぜ槍なんだろう?」と話していたけれど、ここから見れば誰も疑問を持たないだろう。まさに槍の穂、絶景だ。こうやってみると、初日に登った三の沢は、かなり上部まで突き上げていることになる。なかなか良いルートじゃないか。岡本さんが「雪の季節の始まりに行くとおもしろいよ。」と教えてくれた。そのほかにも、キリン峠周辺のことについて色々とヒントをもらった。若手二人と岡本さんが感慨にふけっている頃、吉村さんは右のポッケにクリタケ、左のポッケにゃムキタケをいっぱいにしていた。最後の大山に別れを告げて文珠谷に下る。チョロチョロ流れる文鳥水を飲み、15時過ぎに文珠堂に帰り着いた。

<コースタイム>
10月12日
8:00廿日市 9:15三次 12:20文珠堂 13:00出発 14:10滝の手前 15:30槍ヶ峰 16:20ユートピア
10月13日
7:10発 8:10野田ヶ山 8:50大休峠 9:50親矢筈 11:00甲ヶ山 12:20甲川 16:00大休峠
10月14日
7:40発 8:35大休口 9:15大休滝 10:00中間のテン場 12:00振子沢出合 12:45発 13:20鳥越峠 14:15発 15:15文珠堂

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