1月21日~22日 烏ヶ山南西尾根 (係)三谷


三谷 和臣

<参加者>
横山、吉村、溝手、宮重(直)、福永、沖本
神庭(前夜のみ)
<行動記録>
江府町御机周辺は、昨年12月の記録的な豪雪で、すっかり雪国の様相になっている。地吹雪の中、駐車場トイレの脇に8人用ファミリーテントを設営し、片付けにわかにもぐり込む。「神庭君は今日も広島かねぇ」と噂をしていたとところ、神庭君がテントの入口からひょこっと顔を覗かす。ちょうどよい酒の魚に最高の盛り上がりを見せるが、神庭君の帰宅によりフェードアウトしていった。明日は広島で大切なお勤めがあるという。
昨夜は、駐車場で10cm程度の積雪があった。朝7:00過ぎ駐車場を出発、昨夜の吹雪から一転して、大山の真っ白な南壁が朝日に照らされて赤紫色に輝いている。 今回は、ここ奥大山スキー場(大平原)より烏ヶ山南峰から南西方向に伸びる尾根を登ることにした。この尾根を仮に南西尾根とよぶことにする。 去年の例会において、予想通りの好ルートだと分かり、今回再トレースすることにした。鏡ヶ成から登るよりも、この南西尾根から登る方が、翼を広げた「烏」の形状がよく分かる。
最初は、よく圧雪された奥大山スキー場の上を歩く。営業開始前スキー場は、スキーヤーに気を遣うこともなく快適であった。初級者コースから上級者コースへ。傾斜が強くクラストした斜面となり、朝一番の登りにひと汗かく。高度をあげるにしたがい、大山南壁の全容が現れ、先の尖った槍ヶ峰の形が良く見てとれた。スキーリフト終点でワカンを装着して尾根に取り付く。積雪量は多いが、良くしまっておりラッセルもさほど苦ではない。東側に大きく張り出した雪庇は、風の強さを表している。1201mピーク付近から烏ヶ山の威容が姿を現す。烏ヶ山南峰と北峰の双児峰の様子が手に取るように分かる。北峰には傾斜のある岩壁が、そそり立っている。大山の灰色で脆弱な岩壁とは異なり、烏ヶ山山頂周辺を覆う岩壁帯は「烏」の如く黒っぽい。
1201mを越えたところからやや東よりの尾根に進路を変えたところで一旦下る。鞍部の風の当たらないところで小休止する。このころから頂上付近はガスに覆われ吹雪いてきた。さらに、忠実に尾根をたどると、南峰直下の雪壁が迫りよってくる。基部でアイゼン、ハーネス等を装着し、急峻な雪壁に備える。雪面が三角状に広がるルンゼは、薄く積もった雪の下は悪い草付きの岩場であるため、尾根状のブッシュ帯を越えることにする。昨夜の降雪で足場が非常に不安定であり、ブッシュに降り積もった雪がキノコ状になって悪かった。福永さん、宮重さんが後に続き、何とか三人は乗り越えたが、雪山二回目の沖本さんには厳しかったようだ。天候も急速に悪化しており、風雪が強まってきた。横山さんの指示によって、係はこれ以上登るのは危険と判断し、40~50mを残し引き返す事にした。各々、懸垂などで基部の安全地帯まで慎重に下降する。風雪はさらに強まり、顔を手で覆っていないと目が開けていられない。既にトレースも消えつつあった。吉村さんの先導で足早に下り、鞍部で軽い昼食をとる。その間も横殴りの雪が降り、あらゆる物を真っ白にしていった。無事スキー場に出ると、今度は吹雪ではなくボーダーの視線が刺さる。ここはお客の賑わう本通り、あとは、控え目に「ゲレンデ」脇を借りて下っていった。
「南西尾根」は、積雪期限定のコースであるが、再度チャレンジして欲しいと思う。余力があれば、頂上から鳥越峠へと足を伸ばすと、さらに充実した山行になるだろう。まだ物足りない方は側壁も試してみて欲しい。春のような冬合宿にすっかり気持が緩んでいたが、久しぶりに自然の厳しさを味わった。行動時間は短かったが、なかなか大変な山行であった。みなさんお疲れ様でした。

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