’05 富良野岳のパウダースノー


竹本 美保

2004年12月29日~2005年1月3日
<参加者>リーダー:石田 スキーツアーL:竹本 吉岡、太尾田、松岡
昨年の富良野のパウダーが忘れられず、今年もまたパウダーを求めてスキーツアーを計画した。47年前に石田さんも同じように十勝岳のパウダーの虜になったのである。今回は、行動日は減ってしまうのだが、車で新日本海フェリーを利用して旅費を昨年の半分に押さえた。メンバーは昨年参加の石田さん、吉岡さん、私竹本と、元会員でスノーボーダーの松岡さん、私のバイク仲間の太尾田さんである。太尾田さんは鳥取国体で山岳競技出場の経験の持ち主だそうだ。
12/29(水)横川駅17時出発。高速道路で舞鶴に向かう。予定通り21時過ぎに到着。23:30発のあかしあ号の乗船開始は22:00とのこと。乗船者の列の割と前の方に並んだので、2等船室の中でも便利のよい部屋を確保する事ができた。
12/30(木)1時の消灯まで寝酒で乾杯。22時間の船旅だが、冬は海が荒れる事が多いらしく、結構揺れて到着も予定より1時間近く遅れた。船酔いになった松岡さんと太尾田さんは船中でほとんど横たわっている事になった。私は梅干しを食べてひどい船酔いにならずに済んだ。
 21:30小樽到着。今夜の宿の札幌に向かう。夜遅いが近くのラーメン屋に夜食に出かける。まだ体が波に揺られている感じがする。
12/31(金)昼食の時間を節約するために2食分のつもりでビュッフェスタイルの朝食をたっぷり摂る。富良野へ出発、4時間の予定。車窓から羊蹄山が見える。あれ?反対方向のはずなんだが。道路の分岐を見逃して千歳に向かっていたのだった。富良野に進路修正。「バーデンかみふらの」に13時に到着した。早速支度して、宿の近くの沢を滑るコース、車を使えば何度も滑降を楽しめる所から通称オートールートで足慣らしをすることに。気温は−15℃。石田さんに車で運んでもらい、凌雲閣から取り付くがすぐ前方をスノーボーダーが先行している。トレースもしっかりついているので、それに沿って進む。あっという間に崖尾根に着いてしまったので驚いた。去年苦労した急斜面が簡単に越せそうに見える。今年の積雪は平年並みらしいが、雪の少なかった昨年は、ここまで来るにももっと時間がかかったように思う。30分ほど歩いたところで滑降支度し、15:15谷に飛び込む。待望のパウダースノーだ。雪は新雪だが降りたてではないのでやや重たい。結構取られる。斜度がなくなると下り斜面なのにラッセルが必要だ。スノーボードの松岡さんは身動きがとれなくなって苦労している。そうしていると後ろからストックを巧みに操りながら滑ってくるスノーボーダーが現れた。トレースにうまく乗ってスピードを落とさないようにし、ストックで漕ぐようにして斜面に消えていった。あれじゃね。すぐに松岡さんもストックを使うことにした。ストックを使って滑るのは初めてなので始めは不慣れだったが、徐々に慣れてくる。転んだときも起き上がる助けになる。明日は必ず使うことにしよう。日没が早いので16時までには宿に着くつもりでヘッドランプを持って出ていなかったのだが、苦労しながら進んでいると日没との戦いになってきた。16時が10分過ぎ、20分過ぎ、だんだん薄暗くなってくる。あともう少しで着くからあせらず、もがかず頑張れー。16:40帰り着いた。真っ暗になる前でよかった。
 宿の温泉で体を温めたら大晦日の食事である。昨年の多すぎるほどの品数から丁度良い品数になりボリュームたっぷりな食事に舌鼓を打つ。食事の後は昨年に続き吹上温泉へ。お湯が溜まっている以外設備の何も無い混浴の露天だが、今回は駐車場に1台もいない。貸し切りで入れそうだ。気温は−17℃以下だろうが、熱めのお湯が気持ち良かった。防水デジカメで湯気に邪魔されながら記念撮影。吉岡さん、うれしそう。宿に帰ると紅白歌合戦が始まっていた。
1/1(土)7時頃明るくなってくる外を見ると信じられないほどの晴天。今年のスタートは幸先がよい。富良野岳の北斜面にパーティーが見える。元日の朝を山中で迎えたのだろう。こんな天気の良い日は山頂アタックしたら爽快だろうが、今回はスキーツアーに限定してメンバーを募ったので、スキーで行ける所まで。丸一日行動できるのは今日だけなので、コースは皆が楽しめる所が良い。見晴しの良い三段山はほとんどが稜線を登る事になり、風が出ると寒さが身にしみるだろう。やはりツアー初心者には林間の方が変化があり、登りやすくて吹きさらされないし、樹林帯のパウダーがたまらないので富良野岳を選ぶ。朝食はいちばん早くしてもらって7:30。8:45歩き支度を整え、宿を出発。100mほど車道を下りた所が取り付きだ。湯気の上がる三峰山沢の浅瀬を渡り、9:10登り始める。−16℃。すでに何パーティーか入っているようで、トレースがしっかりついている。テープも整備してあり、ジャイアント尾根と呼ばれる真北を向いた広い尾根を登るのでルートは元々分かりやすい。昨年は例年より2m雪が少ないという話だったが、今年は例年並ということで、去年より距離を短く感じる。30分あまり登ると、木々の間から東に噴煙の上がる前十勝が見えた。真っ青な空をバックに、山と噴煙が真っ白に見える。西側には富良野市街。10:001本立てる。さらに30分登ると樹林帯を抜けて視界が開けた。十勝岳、旭岳、遥か遠くまで雲一つなく晴れ渡っている。高度が上がると寒さが身にしみて来たので11:00衣服と手袋調整した。1500mあたりで、昨年滑降開始した地点だ。先行パーティーがさらに上部を目指しているのが見える。やや急になるが、スキーやスノーシューで十分上がれるようだ。ハイマツが雪の下にあるのが分かる。この斜面を登ると1680mの日の当たる広い肩部に出る。スキーツアー初めての太尾田さんがやや苦労しながら最後の登りを乗り切った。ちょうど正午。1912mの富良野岳が南側だ。記念写真を撮ったり、行動食を摂ったりして景色や日光を楽しんだ。無風状態ではあるが、−20℃というのは手袋が外せないほど冷たい。
 12:40ベベルイ沢へ滑降開始する。上部は雪のしまり具合がよく、快適である。4人が思い思いにシュプールを描く。少し降りると腰まで埋まるパウダーだが去年より少し重たい。東側の斜面からはずれないようトラバース気味になる所はボードの松岡さんには難所になるので、先行する吉岡さんの後を間隔をあけてトレースを利用しながら滑る。1時間楽しみながら滑った所で振り返ると、もう高度差で400、500mは降りている。ずいぶん遠くに4本のシュプールが輝いて見える。ここからはトラバースと短い滑降が交互になるので、松岡さんはかなりのアルバイトになったようだ。やがて登って来たトレースに到達した。スキーはずっと滑って行けるのだが、ボードは片足を脱いだり、両足を脱いだり、埋もれたりと忙しい。スキーの吉岡さんと太尾田さんには先に行ってもらった。今日は他にもボーダーを何人か見たが、滑降コースはどのように取っているのか気になる。渡渉した川の所でスノーシューで降りて来たボーダーに出会った。宿に15時過ぎに帰り着いた。今日は一日晴天が続いた。こんなに天気がいいことは滅多とないだろう。
 元旦のディナーの後は、凌雲閣の温泉に。同じ浴場に種類の違う温泉がある。雪が降り始めた。ダイヤモンドダストがきらきらしている。
1/2(日)日が暮れて高速道路が凍結する前に札幌に戻りたいので、宿を12時、遅くとも13時までには出発しないといけない。2〜3時間しかないが、時間を惜しんでオートルートを滑る事にする。また石田さんに車で送って頂き、板を担いで歩くが、トレースはすっかり消えている。足探りでトレースを探して30分で滑降点につく。昨日から降った雪は最高のパウダースノーだった。ふわふわで重さを感じない。2回目なので、1回目よりみんなスムーズだ。松岡さんも見事なストックさばきで順調に滑っている。30分ちょっとで10時には宿に帰り着いた。時間に余裕があるので、最後に温泉につかって帰る事に。雪が降ったり止んだりの中を札幌に向かい、大通公園のイルミネーションを見学して、小樽港へ。締めくくりに小樽の寿司で乾杯してフェリーに乗り込む。石田さんの特別の計らいで、2等を1等にアップグレードして下さった。今年の最初の便という事で乗客が多く、海が荒れて揺れがひどかったので、個室でベッドというのはとても快適でありがたかった。今回も昨年に引き続き、石田さんにお世話になりっぱなしの遠征だった。石田さんのお陰で何倍も快適で楽しくさせて頂きました。ありがとうございました。
1/3(月)新日本海フェリーで舞鶴へ。船長から安全ですとアナウンスがあるほどの揺れを経験したら、行きの揺れは大した事はなかった。
1/4(火)夜半過ぎ広島着。長旅お疲れ様でした。吉岡さんの車は北海道でも快適でした。

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