2004年夏合宿(剣岳北方稜線縦走) 2004.8.12~16


赤井美穂

メンバー 武田,宮重(直),赤井
<8月12日(夜)~13日>  武田さん,宮重直さんと赤井の三人は,大町駅に集合し,宮重車でスイスイ進んで,立山駅へ。駐車場に車をおいて,始発のローカル線に揺られて宇奈月温泉へ。宇奈月温泉は観光客であふれかえる。列車の時間つぶしに足湯につかった。満員のトロッコ列車は欅平へ。欅平で大粒焼きおにぎりを食べて,12:40出発。いきなりの急登で水平歩道へ。遠くに後立山の山々,近くには奥鐘山の大西壁を観察しながら,等高線にほぼ忠実になだらかに進む。志合谷の雪渓はずたずたで,その下をくり抜くように歩道はつく。水平歩道は延々続き,折尾谷,阿曽原谷とぬけて,阿曽原小屋には17:00に到着。食事をとり,睡眠不足を解消するように早々に就寝した。
<8月14日>  3:00起床,4:15出発となる。出だしは急登で,暗い中慎重に登り切って阿曽原峠。その後は仙人谷を尾根に沿って進むが,案外アップダウンがある。途中仙人谷の支流の谷では雪渓がやせて崩れており,本来の雪渓上をトラバースする道がなかった。下側を残置のロープを使って巻くが非常に悪い。次の谷の小雪渓では,武田さんが今回購入した軽アイゼン(チェーン)を使い,加速しながら登っていった。ちょっとした雪渓でも滑ったら下までノンストップなので注意しよう。仙人湯小屋に到着。道の脇にある仙人湯はまさに秘湯。このあたりで雨が落ち始める。谷を詰めて仙人池ヒュッテまでの最後の登りは忍耐の世界。8:45仙人池ヒュッテ到着。ヒュッテのおばちゃんは「ガスがかかると稜線は危ないから」とやんわりと二股・真砂経由の温泉山行への変更を匂わせる。10時の天気図をとるため、緩やかな下りトラバース道で池の平小屋へ。池の平小屋の人は木訥とした若い夫婦。お姉さんは小屋に入るとすぐお茶をだしてくれた。結局気象通報はオリンピックの為に放送されず。お茶をがぶ飲みしながら天気を伺っていると,源治郎尾根を登ってきた若い男性二人組が小屋に到着。小窓の雪渓の状態を聞く。リーダーの武田さん,悩む。雨は小康状態。源治郎の二人の「僕たち大きくステップ切ってきました」という言葉と,明るくなった天気に誘い出されるように,「とりあえず,小窓まで行くか」と北方稜線への突入を決定。小窓雪渓に向かう。雪渓にとりつく最後の大きな○ペンキマークの所で,コンパスをセット,チェーンアイゼンをはく。ガスの中、雪渓を詰めて雪渓の上端へでる。前方は緩やかな草の斜面。ガスっており10m先の地形がわからないので,真っ直ぐ登っていくと道に出た。小窓の位置がはっきりしないのでその道を登る。もしかしたら小窓ノ王に向かう道かもと思うが確信が持てない。「急な雪渓2本」でルートを外していないことになるので,おぼろげなペンキをたどると,やや道が平坦になって雪渓があらわれた。ビンゴ!と思って雪渓の上を巻く。進んでいくと2本目の雪渓。ここでアイゼン・ハーネスを装着,ロープを出す。石を支点にして,武田さんが最初に5~7mの雪渓をトラバースする。渡りきった側の岩のハーケンにロープを固定し,赤井・直さんの順で渡りきる。本当に大きくステップが切ってあり問題がなかった。長い行動で疲れが出てきたが,ペンキを頼りに先に進む。小窓ノ王の登りではペンキを見失い,40分ほど偵察(彷徨?)する。最後のペンキを直上すると足下にペンキ○と矢印があり,はっきりとした道があった。登りきると三ノ窓への下りになった。16:05三ノ窓到着。視界の悪い中よく頑張りました。テン場ではコルの剱沢側にテントが2張り張ってあった。一番上の風よけブロックが積んであるところにテントを張った。
<8月15日>  天気予報では昼から晴れなので,雨がやむのを待つ意味で6時起床。寒い。急いでも仕方ないのでゆっくり行動する。武田さんが外の様子をみて「すごいよ!」感嘆の声を上げる。眼下には富山湾と能登半島がくっきり見える。下の2張りのテントに坂口さんがいるのを武田さんが発見。みんなで再会をよろこぶ。坂口さんは神庭さん・三谷さんたちとも会ったらしい。同じ場所にテントを張っていたそうだ。あの風よけブロックはやっぱり神庭さんの仕業か?日本海上空に雲のラインが東西に伸びている。天候は回復する様子だ。目の前にはチンネがそびえ立っている。結局8:50出発。三ノ窓ガリーを登りきって,八ツ峰の頭へ。階段状でガバが沢山あるとはいえ,怖いので早く抜ける。後は稜線を,道らしい所をたどって歩くだけ。本来,懸垂をする小ピークは,ルートを間違えて巻いてしまった。10:50剣岳山頂到着。北方稜線は1時間程度であっけなく終わってしまった。久しぶりの山頂での景色を十二分に楽しんだ。頂上に直接突き上げる源治郎尾根はすごくかっこいい。かなりゆっくりしてから下山。10分ほど下りたところで,亀井さんと息子さんに出会って立ち話をした。3年前にビバークしたところを通過し,前剱。左には早月尾根,右に源治郎尾根と八ツ峰を従えた剱本峰が一際大きく立派に見えた。前剱から急降下し,一服剱をこえて黒百合のコルから見上げる。前剱だけでも十分立派な山だ。今日中に雷鳥沢に下りるので,トラバース道を通って剱御前小屋をめざす。雨の影響か今年は雪渓がやせている。剱御前小屋の前で剱岳の最後の姿を写真に収めた。雷鳥沢までコースタイム通りに下り,16:15雷鳥沢到着。早速テントを張って,食事。ビール&ジュースで合宿の終了を祝して乾杯した。その後,雷鳥ヒュッテで夕日に染まる立山連邦を見ながら温泉に入り,冷えないうちにテントに戻って寝た。
<8月16日>  最終日。7時のバスに間に合うように5時起床。山の上よりも寒かった。撤収して,雷鳥沢を出発。地獄谷を通ってバスターミナルへ。地獄谷の硫化水素の臭気にやられながら筋肉痛の足をぼちぼち上げて歩き,6時過ぎバスターミナルに到着。7:20の下りの始発バスはほぼ貸し切り。すれ違う上りのバスはすべて満員だった。美女平でケーブルカーに乗り換えて,9時前には立山駅に降り立った。そこから亀谷温泉へ移動。10時オープンまで待ってしっかり体をきれいにして帰路に就いた。途中のSAでおいしい物を食べて栄養を補給し,西条ICで下車,広には8時半過ぎに到着し,広島には9時過ぎに到着したようです。
女子大生に間違えられながら(?),悪天候にもめげず歩ききった女性3人の縦走組の2004年夏合宿はこんな感じで終りました。みなさん,お疲れさま&ありがとうございました。楽しかったですね。また,いきましょう!(記:赤井)

コメントを残す