雪山伝達講習会(大山)


三谷

月日:2017年2月25日(土)~26日(日)
参加者:横山、吉村、松林、島本、川本
<行動記録>
大山で雪上訓練を行った。今回は、日本山岳協会氷雪技術研修の伝達講習を実施した。講師は当研修に参加した松林くん、川本くんの二人。
土曜日朝広島を出発。翌日の段取りを相談しながら大山に向かう。仁王茶屋の駐車場には、まだ雪の山が残っている。夕方、元谷へ入る。
係と松林くんは明日の訓練場所を探しに、樹林の尾根に沿って登っていく。谷を挟んで行者尾根の向かいの斜面を使うことにした。
翌日、まず、スタンダードなスタンディングアックスビレー(SAB)の形の確認。肩がらみ方法は、「山脇谷肩」が主流になっている。テンションがかかった場合の体への負担を考慮したそうだ。今回は特にクライマーが滑落した場合の制動、および、自己脱出の方法に重点を置いて実施した。ハーネスへの仮固定と、ロープへの荷重移動がポイント。ブリッジプルージックを装着し、メインロープに加重を移動する(アンカーに固定するわけではないそうだ)。テンションを抜いて、クライマーが登り返すことができる。再度滑落してもプルージックで止まるシステムだ(効かないこともあった)。ユマールでも代用できそうだ。

 

スタンディングアックスビレー(自己脱出)
スタンディングアックスビレー(自己脱出)

次に、アンカーの作成。ブッシュ(細木)を束ねる方法、スノーバー/土嚢袋/ブッシュを埋める方法を試し、それぞれの強度を確認した。ブッシュ(細木)を束ねる方法は、ブッシュを掘り出し、ブッシュを10本程度束ねる。スリング使って直接タイオフした後にメザシを作る。
スノーバー/ブッシュを埋める方法は、30センチくらい掘った後に、タイオフしたアンカーを埋める。スリングに連結するための溝を作る。土嚢袋は、スリングで口を縛る。
おおむね4名で引くと、アンカーが崩壊した。やはり、スノーバー/土嚢袋が強かった。懸垂下降の支点(静荷重)には問題なさそうだ。

 

ブッシュを使ったアンカー
ブッシュを使ったアンカー
土嚢袋を使ったアンカー
土嚢袋を使ったアンカー

次に、耐風姿勢、滑落停止の訓練を実施した。研修では、それに加えて三点支持の訓練を念入りに実施したそうだ。昨年の富士山での事故を反映するものだろう。
耐風姿勢は、足場をしっかりと固定し、ピッケルを軸に姿勢を低く保つ。滑落停止は、回転方向や停止体勢の確認をした。やはりピッケルは、流されないように胸で固定する必要がある。何度も練習して、体で習得するしかない。
次に、スノーボラードで懸垂下降用のアンカーを作る。ある程度の大きさと硬さを確保するために時間がかかってしまう。
最後に、行者尾根の急斜面を使って、SABの実戦訓練を行った。3パーティーに分かれて思い思いの場所にロープを伸ばす。セカンド、リードともにSABを使って確保し、セットの方法とロープの流れを確認した。2ピッチ程度ロープを伸ばし、懸垂下降をして終了とした。
新しい技術の習得と活発な議論により、有意義な講習となった。次回山行からは雪のある限り登り込むだけである。

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