阿蘇・高岳北尾根鷲ヶ峰


(係)大前 恒雄

<月日>8月26日~28日
<参加者>吉岡、名越、武田、会員外:柳原
昨年、根子岳に行った時、地元のガイドから「九州で面白いところは鷲ヶ峰ですよ」と言われ、係が計画をした。当初は偵察行ということで、参加を申し込む。しかし直前になり、北尾根に行くので登攀用具を持ってくるように連絡が入る。話しが違うじゃーない、と思いつつも集合場所に向かう。18:30 ステージアにそれぞれの荷物を詰め込み、九州へと車を走らせる。今夜の食事は係が用意するとのことだったので、何~んも持たずに来た。係は27日夜と28日朝だと言い張る。メールには26日夜と27日朝、用意すると書いてあったと言ってもボケの始まった?係には通用しない。しかたなくSAでフク飯の素を買い込み、古賀SAで名越が持ってきていたご飯と混ぜて煮込む。ちょっと塩辛かったが、おいしい晩御飯となった。さらに高速自動車道を走り、北熊本SAを今夜の宿泊地とする。
8月27日 車(大型トラックが多かった)の走る音で眠られず、4時頃にはコーヒーを焙煎する。簡単な朝食を済ませ、阿蘇・仙酔峡へ向かう。天気は申し分なく、虎ヶ峰や鷲ヶ峰の切り立った尾根がよく見える。係の話では記録によると3時間30分くらいで抜けられるらしいと言っている。早い人だと1時間30分くらいだと言う。あの峰がそんな短い時間で?と思いながら準備にかかる。ここは九州の谷川岳と言われるくらい遭難者が多いらしい。駐車場から登山道への橋を渡るとき、ふと沢を見ると、さっそく3体のお地蔵さんが我々を見送ってくれていた。仙酔尾根への登山道から赤ガレ谷へ向かうらしい登山道入り口には「崩壊し危険につき登山禁止の標識」がある。この道へ入るがカヤが覆いかぶさり、歩きづらいこと。そのうち沢へと出たが、下部には降りられず、ロープを出して懸垂をする羽目になる。工事用車道らしき道に出て、終点のハンバの横から、再度道なき道を進むと、やっと赤ガレ谷に出ることができた。すでに出発して1時間、先が思いやられる。沢は大きな石がごろごろしているが、結構歩きやすく、フリクションもよく効いて快適に高度を稼げる。関門あたりでMちゃん「誰か紙を頂戴」
ルートがよく分からず、谷を詰めるが、どうも上がりすぎたようで、名越が涸滝状のところを上って偵察する。しばらくするとガリー状の上から「どうももうちょっと下からガリーに取り付くようだ」と言っている。ガリーを上がっているといきなり上のほうから{吉岡さん、落石!}の声。ふと上を見るとこぶし大の石が、めがけて落ちてくるところだった。石の軌道を見極め、身体を避けると、ビューンとうなりをあげながら、1mくらい横を落ちていった。あんな勢いの石に当たったらヘルメットなんか何の役にも立たないだろう。ガリーを上がりきったところが、第一キレットのようだ。ここで登攀用具を装着する。小さな稜線上のピークを越えると、赤壁が目の前に現れる。3級の岩場ということでヘルメットを持ってこなかった名越をトップにロープ工作をする。続いてロープを持って大前、さらに柳原、武田とユマーリングで上がる。しんがりはなぜか吉岡。壁は登りやすいのだが、浮石が多く大前は一抱えもある岩を抱いてしまった。とりあえず肩で落ちるのを支えて、「下は避けてよ」と言うが、吉岡、武田は避けるところなどあるはずもなく、とりあえず石の陰に身をひそめるが、あんな石が落ちてきたら、隠れても無駄だと思う。何とか石はそれた方向に落ちていった。下はさらに周りの石を道連れにしたのはいうまでもない。3P目は大きなトラバースがあり、トップもてこずっていたようだ。柳原の番になり、トラバース終了点で自己確保のロープをランニング用ロープとうまくかわせず、動けなくなってしまった。下から何回も注意したにもかかわらずである。かなりの時間を要し、ようやく抜ける。その次は「落ちる~」の声。本人が落ちるのかと思っていたら、大きな石が宙を舞った。大小さまざまな石も下の沢へと消えていった。下に人がいたらとゾッとする。後から武田もトラバース終了点で「落ちました」と言っていた。トラバース終了間際で凹状のところを少し下らなければならず、足元が見えないので苦労する。鷲ヶ峰頂上に着いた頃にはビバーグがよぎる。大前に暗い中でのルート探しやナイフリッジは事故のつながるので、ビバーグを考えたほうがエエのではと進言する。大前は名越にどこか広い場所があれば・・・と言っているが、あまり気にしてなさそうだ。鷲ヶ峰から第2キレットへと懸垂で下る。主稜線はまだ先のほうに見える。この先にはナイフリッジがあるというのに、辺りは暗くなり始めてきた。ここからは各自フリーでナイフリッジへ。思ったより簡単にここを抜けて、主稜線への細い登山道?にでる。名越はすでに抜けており、大前、柳原、武田、吉岡と続く。これで何とか下れる。名越いわく、「ビバーグしとうなかったんじゃ、何~んも持ってなかったんで」と。ヘッドランプを用意して、仙酔尾根へと向かう。なぜか高岳近くまで行き、仙酔尾根は手前にあったことに気づく。この頃には真っ暗。登山道は快適に下れると思いきや、暗い夜道には危険極まりない。ちょっとだけ若い名越を除いては、ゆっくり慎重に下る。駐車場近くで登山道を見失い、再びカヤをわけながら、なんとか駐車場へ帰る。なんと13時間の大登攀でした。ちなみに今回5名の年齢を足すと279歳でした。平均年齢56歳、こんな高齢者が行く場所ではなかったような気がします。久しぶりに楽しい、満足の行く山行でした。
明日は根子岳、経験者の大前、吉岡はパス。車の回送に決めました。
8月28日 6:30出発ということで5時頃起きる。6時頃からパラパラっと雨が落ちだした。今日、行動予定の3名は根子岳は中止と言い出す。「行かんと後悔するで」とか「根性なしじゃのー」と言うが、たいした雨でもないのに行かないと決め込んでしまった。こうなったら観光と温泉しかない。阿蘇山の火口を見たことがないという二人のために、早朝の阿蘇に向かう。車がついた頃にはガスがかかっていたが、火口への有料道路が開いた頃にはガスも晴れて火口最低部まで見えてきた。さらに根子岳登山口の日ノ尾峠へ向かう。登山口を見た名越、「止めてよかった」と。登山道入り口は雨に濡れた草に覆われていた。ここから高森へ下り、月廻り温泉で汗を流す。(記:吉岡)

27日の行動
仙酔峡駐車場(8:07)ーーー(9:20)誰かがunkoをしたところ(9:30)ーーー(10:30)ガリー下ーーー(10:50)第1キレット(11:10)ーーー(11:30)赤壁ーーー(17:06)鷲ヶ峰ーーー(17:20)第2キレットーーー(18:50)主稜線(19:00)ーーー(21:05)仙酔峡駐車場

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