那須連峰 井戸沢(湯川)沢登り(個人山行)


宮本博夫

日程:2009年10月17日~18日
参加者:菅野、坂口、宮本
←写真:整地訓練成果?
<行動記録>
 今年は今まで行ったことがない山域の沢登りをしようと思い、今回は北関東・那須連峰(栃木・福島)に出かけた。宮本は都内通過に難があるので敬遠してきた地域だが、茨城の坂口さんは近く、埼玉の菅野さんも手頃な距離だ。宮本は都内通過といえば今まで首都高しか知らなかったが、今回初めて下道を使ったところ、菅野さんとの待合わせに1時間も早く着いてしまい、夜間であればスムースに都内通過できることがわかった。
 10月17日朝、坂口さんとは現地近くの道の駅で待合わせ。さて、天気の方だが今日の午後が低気圧接近で悪いという予報で、当初予定していた阿武隈川本谷を取りやめ、井戸沢に変更した。阿武隈川はフルに2日必要で山行時間がギリギリなので、条件が悪くなったら行き先変更することにしていたためだ。
 車止めより1時間くらい林道を歩いて、その昔、会津中街道の宿として栄えたという三斗小屋宿跡に着く。井戸沢はすぐその先に出合うが、そこで猿の群れに出会う。子猿達は私達を見ても何の緊張もない様子だったが、やがてボス猿らしき奴が木を大きく揺らして私達を威嚇し始めた。猿の大群の間を通らねばならず、ちょっと気味が悪い。猿たちの視線を受けつつ何事もなく通過し、真新しい大堰堤の前で沢支度を整える。堰堤はコンクリ製だが全面が丸太で覆われており、自然景観に(猿にかも)配慮しているようだった。
 井戸沢の遡行を始めるとすぐに核心部とされる15m滝が出てきて左岸のリッジ(巻道)を登る。急なところにやたらにシュリンゲが下がっているが、ホールドがしっかりしているので、シュリンゲに頼らず登ったほうが安定していて登り易い。
 その滝を越すと開けて明るい沢の中に小滝、滑状、階段状の滝が現れるが既に源流の趣きで、あっという間に上部の二俣に着いてしまう。今日はこの沢で泊るつもりで装備を担いできたので、泊まり場を探しながら歩いているのだが、適地はどこにもなく上部に来てしまう。仕方なく更に上流で探すが、当然ながらますます適地が無くなっていくようだった。上に抜けてしまい稜線で泊ることも考えたが、水を持ち上げるのがしんどいのと時間ギリギリになって着いてとんでもない稜線だったら困ると思った。結局、なんとか寝れるんじゃないの?レベルのガレ気味の河原を整地して泊まることに。石を敷き直したり、更に笹の葉を敷き詰めてクッションにしたりと遡行時間より長い時間を整地に費やし、立派な寝床が完成した。
 この日は低気圧接近で風も強く寒い遡行だったが、豊富な薪と強い風で焚火のほうはかつてないほど盛大に燃え上がった。今朝の出発時点で既に空は暗く、直ぐに降り出すものと思われたが結局は降られずに1日を終え、夜半には風も弱くなり安眠を妨げられることもなかった。
 10月18日、のんびり支度していると、今朝出発したパーティがもう登ってきてしまった。何のために苦労してこんな所に泊まったのか、テン場作り訓練と思うしかあるまい。出発して稜線までは1時間くらいで着く。その間にももう1パーティが登ってきた。後から思えば出合い付近で泊り、日帰り装備で遡行するのがベストだったと思うが、やはり猿の軍団の真っ只中では泊まれない。
 この日は素晴らしい青空となり、昨日とはうって変わって暖かく気持ちがよく、稜線漫歩を楽しみつつ下山にかかる。大峠というコル(戊辰戦争での古戦場らしい)ではたくさんの登山者が次から次へと到着した。ここで稜線を離れて昔の会津中街道だという道を下山する。
 途中で本流の湯川(中ノ沢)を渡るが、付近は滑床が続いており、小さかった井戸沢と比べると堂々たる本流の趣きで興味をそそられた。まだ時間もあったので、この湯川本流を下降して下山することにした。滑床帯はすぐに終わるのではないかと思ったが以外にもず~っと続いており、途中に小滝もあり、楽しませてくれた。少し降りたところで雨が降り出す。朝はあんなに天気が良く、出発前の天気予報でも今日はいい天気とされていたが、雷雨になってしまった。再び旧会津街道が川を横切るところで下降を打ち切って、やがて井戸沢出合いに戻る。使われていないロッジの軒先でしばらく雨宿りをすることにした。1時間くらいで雨も止み、林道を降り、日暮れ前に車止めに帰着。
 板室温泉で汗を流して坂口さんと解散する。菅野さん、宮本は東北道に向かうが都心からかなり離れているにもかかわらず渋滞しており、しばらく下道で帰る。中央道などのケースと違って下道は空いており、渋滞の列を横目に快適だった。東川口駅で菅野さんと別れた後は行きと同様に都内下道を順調に通過して藤沢へ帰った。
 今回、当初予定の阿武隈川本谷をパスして、本来日帰りの井戸沢に無理やり泊って、いったい何やってんだろうと思ったが、阿武隈川に行っていたら稜線上で雷に見舞われ怖い思いをしただろうから、結果的に正解だった。井戸沢は北関東ではとても人気のある沢で好評価だが、あまりに小さく短くて私達としては期待外れの感があった。しかしその場の思い付きで下った湯川本流が思いがけず良い内容で補ってくれた。なお、コースタイムは今回は参考にもならんので省略します。

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