羅臼岳


吉岡 好英

6月10日 今日は羅臼への移動だ。宗谷岬を後にして、オホーツク海沿いを南下し、紋別で砕氷観光船・ガリンコ号と流氷科学館を見学する。サロマ湖岸の道路をさらに進んで網走へ入る。網走といえば刑務所。やはりこれは外せないので博物館・網走監獄を見学に行くが、入場料が高いので中に入るのは取りやめる。ウトロへと車を走らせていると、前方に雪の斜里岳が見えてくる。夏山というより春?という感じの様相を見せている。この山を右手に見ながら、まっすぐな道路をウトロへと向かう。途中で道路沿いのオシンコシンの滝に立ち寄る。観光バスの横で餌を待っているのか、キタキツネが石の上に座って待っている。まったく恐れる気配は無い。ウトロに到着後、明日の羅臼岳の登山口の様子を見に行く。登山口の木下小屋は鍵が掛かっており、まだ営業はされていないらしい。予定ではここから羅臼岳へピストンの予定だが、羅臼側に下山したらどうか?と石田さんの勧めで羅臼へ行ってみる。登山口から少し車を走らせていると、前方に車が止まり動こうとしない。よく見るとヒグマがいるではないか。ラッキー?野生のヒグマが見られるなんて、さっそくデジカメを取り出し写真を撮る。登山中でなくよかった~。知床峠では羅臼岳の頂がすぐ近くに見える。車を走らせているとエゾシカやキタキツネが多く見られる。羅臼の町で夕食をと思っていたが、食べるようなところはなさそうなのでキャンプ場の様子を聞きに行く。自然センターで聞くと、キャンプ場周辺では毎日ヒグマが現れて危険につき、キャンプ場は閉鎖中とのこと。また羅臼岳への登山道も雪が多く、さらにヒグマが出没するので薦めないと言われる。しかたなく最初の計画通りウトロ側からのピストンと決め、ウトロへ引き返す。ウトロの町で夕食の後、近くのキャンプ場へ行く。

6月11日 羅臼岳(1661m)
この辺りは3時過ぎには明るい。4時起床。朝食の後、テントを撤収し、登山口へ移動。登山口で登山届けに書き込んで出発。先行者は2人いる。歩き始めてすぐのところに、登山者数の把握のためか、赤外線?カウンターが設置されている。これで登山者と下山者を確認するのだろう。樹林帯の中を初めは緩く、やがて登山道はジグザグの道となる。急な道を歩いていると、目の前にエゾシカが現れる。恐れる気配はなく、のんびり?草を食んでいる。やがて尾根に出るとヒグマ出没地帯の看板が。この上650m岩山までは蟻が多くおり、ヒグマが多いと書いてある。どうしようもないが気を引き締める。一応ラジオを鳴らしながら歩くが、音が小さくてヒグマには聞こえそうにない。700mくらいの登山道上の雪渓には、いま通ったばかりのヒグマの足跡がくっきりと残っている。これを見たときは、引き返えしたほうがいいのでは?と思う。しばらく考えるが登山を続行することに。二人の登山者が下ってきた。話をすると、先行者の二人で雪が多いので引き返すという。雪もだがヒグマの足跡も影響したのでは? 先行者のトレースは極楽平で引き返していた。これから先はトレースがない。天気もよく、羅臼岳も良く見えていたので、これを目標に進んでいくが、どうもおかしい。かなり急な雪面を上りきっても、道らしきものは見つからない。さらに前方にはハイマツ帯があり、これを突破するのは相当の労力が必要だ。左手の下には沢があり、ずっーと上まで続いているのが確認される。それではと下りられそうなところを探し、慎重に下りていく。ここで地図を広げてみると登山道はこの沢に引かれているではないか。かなりの時間を無駄にする。気を取り直し、沢を上がっていくとやがて緩くなり、羅臼平に到着する。やっとここでザックを降ろす気になり、昼食とする。目の前をキタキツネが横切っていくが、カメラを取り出したときには姿が見えなくなっていた。
大休止の後、羅臼方面へと進んで行き、分岐点から頂上への登山道に入る。ハイマツの間には黄色石楠花が咲いている。まっすぐの登山道の突き当りにはオーバーハングの岩から水が滴り落ちている。岩清水の看板がある。ここから左に巻くのだが、右を巻き込んで上がって行くとやがて雪渓が現れた。30mくらいを上がりきり、しばらく岩稜を上がると、再び雪渓がある。これを上がりきり、右手に巻き込むように上がって行くと、羅臼岳の頂上へでた。知床横断道を挟んで知西別岳や斜里岳が見え、知床半島先端方向には三ツ峰、サシルイ岳、硫黄岳などがよく見える。羅臼側には残雪が多く残っている。また石田さんから知床五湖の入り口に車を止めていると無線が入ってきたので、その方向を見ると白い車が確認できた。今日は雌阿寒まで行く予定なので早々に頂上を後にする。一人の登山者が上ってくるのが見える。登山口を10分くらい遅れて出発した登山者だろう。岩清水まで下ると、その登山者は休んでいた。話を聞くと、やはり上りで苦労したらしく、私の迷ったトレースを辿ってきたらしい。下りは大谷を下ると話して分かれる。上る際、大沢へ下りた地点を通過し、さらに沢を下って行く。テープを見つけて、銀冷水方面へ進んでいくが次のテープを見つけることができない。上ってきた時のトレースを探すがこれも見つからない。広い極楽平は低い樹林帯の中に入ると、方向感覚さえ分からなくなる。しばらく見当をつけて歩くが、トレースが見つからない。こうなればGPSに頼るしかない。GPSをケースから取り出し、手に持って示されている方向に歩いて行く。何度か修正しながら歩いているうちに見覚えのある登山道に出る。弥三吉水の標識のところからはしっかりした登山道が現れる。下りも随分と無駄な時間を費やしてしまった。上がるときにあったヒグマの足跡は跡形もなく消えている。あとはヒグマに出会わないよう祈りながら、14時30分を目標に下っていく。登山口では石田さんがドライブを終えて待っていた。ヒグマと遭遇しなくてよかった~。頂上下で出会った登山者が無事下山するを気にしながら、登山口を後にする。
今日は雌阿寒岳登山口まで移動する。途中、摩周湖に寄ってみる。第三展望台では摩周湖全容が見渡せたが、第一展望台に移動した時は、アッという間に霧の摩周湖となってしまった。先ほどまで見えていた雄阿寒岳も霧の中へ消えてしまった。阿寒湖温泉で高いラーメンを食べて、雌阿寒岳登山口へナビを合わせる。オンネトーのキャンプ場でテントを張る。
コースタイム
木下小屋(6:03)—(7:33) 弥三吉水—(7:45)極楽平—(10:00)羅臼平(10:20)—(11:03)羅臼岳(11:22)—(12:04)羅臼平—(13:42)弥三吉水—(13:57)オホーツク展望台—(14:35)羅臼岳登山口(14:50)――(15:12)知床五湖入り口――(18:00)摩周湖第三展望台(18:07)――(18:13)摩周湖第一展望台(18:15)――阿寒湖温泉――(20:30)オンネトー湖畔キャンプ場

コメントを残す