槍ヶ岳を目指して(個人山行)


吉岡 好英

 2008年12月29日19時30分ころ新穂高温泉に向けて、廿日市を出発。名神自動車道ではいつの間にか第2名神自動車道に入っており、四日市まで行く羽目となる。途中で時間調整をして30日7時頃、新穂高温泉に到着。予報では雪と思っていたが、幸運にも道路にはまったく雪がなく、快適なドライブであった。登山届けを提出後、今回の参加者男性2名、女性1名を連れて槍平へと向かう。穂高平への歩きで、早くも1名が遅れ始めるが今日は槍平まで6時間と余裕を持った計画なのであまり気にしていない。しかし白出沢に到着ではさらに遅れてくる。この時点で槍ヶ岳は無理と判断して、何とか槍平までは入りたいと考える。登山者とすれ違うが、彼らは天候悪化の予報で槍平から引き返してきたと言っている。白出沢を越える頃、足に異変が。何年か前の悪夢がよみがえる。何とかごまかしながら滝谷まで入るが、足の状態はさらに悪化する。ここでテント設営?と思うが、漢方68と水を補給しながら槍平へ到着する。やはり一睡もしないで歩くのは止めたほうがいい。冬期小屋は充分入れる余裕があったので、利用することに。それでも夕方には部屋の真ん中を除いていっぱいとなる。17時頃、若者二人がやって来て、「つめてもらえませんか」と言う。入り口付近にいた人が「真ん中が空いているので、そこを使ったら」と言うと、「そこはちょっと昨年見ているので・・・」 昨年の雪崩による遭難者を安置していたらしい。
翌朝、同行者に聞いたが、夜中にトントンと音がして気味悪く、トイレに行きたかったが誰かが起きるのを待っていて、一人が外に出ると一斉に出たらしい。(入り口の扉についていたロープが、風で金属製の扉に当たっていた)
31日、登山靴を履こうとすると、靴紐がなぜか締まらない。よく見ると靴が壊れている。なんとかこれを履くしかない。山小屋に泊まった登山者は下山して行った。雪は降ってなく空には箒ではいたような雲が。このまま新穂へ帰るのも面白くないので奥丸山へ案内する。一人は腰が痛いと辞退するが、二人は行ってみたいという。空模様が気になるが、悪化の気配があれば引き返すことを告げ出発。いきなりの急登であえいでいるが、空の気にしていた雲が消えてきた。これで今日は崩れることはないだろう。中崎尾根稜線へ上がると、奥丸山はすぐそこだがトレースがない。二、三歩進んでみるが、腰までのラッセルとなりそうなので諦める。稜線反対側(笠ヶ岳方面)はガスの中。どうやら天気は下り坂のようだ。樅沢岳から西鎌尾根、槍ヶ岳から西穂高岳と展望は抜群だ。初めての二人は大感激。展望を楽しんだ後、槍平へと下り、小休止の後、新穂高温泉へと引き返す。たぶん明日は荒れるだろう。新穂高でスパッツを外すと壊れた靴がさらに壊れており、破片がパラパラと落ちた。購入したのはアクタシ遠征前だから16年くらい経っているのだろう。皆さん、古いプラブーツには気をつけましょう。新穂高・中尾で一泊し、元旦は雪の白川郷を観光して広島へ帰る。

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